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News Update

生活者のこだわりを色濃く反映?最近の梅干しトレンドから販促ヒントを読み解いてみた

【食卓のリアルな事情&販促ヒント集】

今回は毎日の食卓や弁当でもおなじみの「梅干し」をテーマに、生活者の関心を読み解いてみたいと思います。

まずはGoogleでキーワード「梅干し」を検索(2022年4月現在)してみたところ、SERP(検索結果画面)で印象的だったのは主に「レシピ系(梅干し自体の漬け方/梅干しとあわせる食材や調理方法など)」と「健康系(梅干し摂取による効果や塩分に対する心配など)」の2軸でのページが上位獲得している点でした。

 

■検索結果から“生活者の関心事”を推理する
このMSL上でも何度かお伝えしているとおり、Googleのページ評価基準としてユーザーの検索意図に合致しているか否か?が重要であるため、当該キーワードで検索した場合SERP上位に来ているものは、ユーザーの検索意図に合致している可能性が高い=「上位表示コンテンツはユーザーの関心事に近しい」と推測できます。
この視点を意識しながら考えると、「梅干し」ではレシピ系や健康系でのテーマでユーザー関心度が高まっているといえそうです。そこで健康系の延長として「梅干し×効果」で検索してみたところ、メーカーや専門家による発信と見られるページが多く上位に位置し、その中で効果・効能や朝に食べるメリットなどが紹介される傾向にありました。

<「梅干し×作り方」SERP上位ページの一部(調査時点)>
・【基本の塩分18%】手作り梅干しのレシピ(作り方)。初めて …
・【梅干し専門店直伝】簡単に出来る自家製梅干しの作り方
・梅干しの作り方/漬け方 – 白ごはん.com
・梅干しの作り方・漬け方 | 梅干しの通販 和歌山の南高梅専門店 …
・梅干し – レシピ大百科 – AJINOMOTO Park
・梅干し|だいどこログ[生協パルシステムのレシピサイト]
・「ジップロック®」で梅干し作り|レシピライブラリ|旭化成 …
・梅干しの作り方・レシピ – 紀州梅苑

この中を見てみると、簡単に塩分を抑えて漬ける情報など“ヘルシー&美味しい”を意識したと思われる情報発信が多々見受けられました。例えば、「漬けてからどれくらいで食べられるか?」「どの時期に漬けるのが良いか?」など作り方のタイミングを推し量ろうとする傾向がコンテンツ内容から推測できたほか、SERP下部でGoogleよりレコメンドされている「他のキーワード(当該に類似したキーワード)」では「酸っぱい梅干し×作り方」といったワードもピックアップされていたことから、より検索ユーザー固有のニーズやこだわりを色濃く反映して検索、情報を得ようとする動きも見られました。

ここまでの仮説を踏まえると、「健康のために梅干しを取り入れたい」「自分好みの梅干しを自家製したい」といったユーザーの検索意図がひしひしと伝わってきます。例えば好みの味ひとつをとってみても、一見するとそもそも酸っぱい印象が定着する梅干しに対しあえて「酸っぱい」をつけくわえて検索していることなどから、意外と梅干しは「ユーザーの様々なこだわり、理想的な味わいの追求(例えば「より酸味の強さがほしい」など)ができる食材のひとつ」といえるかもしれません。

 

■夏場にかけて梅干し検索ニーズが上昇
検索の時期傾向もみてみましょう。「梅干し」検索の中でレシピ系を中心にグルーピングして見てみると、5~7月頃にかけて増え、特に6月頃に大きな伸びが見られます。

また健康系で一緒に検索される各サジェストワードを見ても同様に、夏場にかけて一気に検索ボリュームが増える傾向にあるようです。
<主な健康系サジェストワード>
・塩分…5月から7月に増加、6月大幅増加
・効果 自立神経…7月から11月に増加、8月から11月はほぼ100%増
・熱中症…6月から8月に大幅増加
・栄養…5月から9月に増加 夏場に大幅増加
・アルカリ性…6月から8月夏場に増加 など

このことから梅干しの効果に対する認知が一定浸透されており、そのうえで検索傾向からみてみると、特有の季節、特に夏場での体調変化要因につながる事柄(熱中症など)に対して梅干しを活用しようとする動きがみられます。

 

■「酸っぱい」?「甘い」?さまざまな志向性のあらわれか
一方、この季節以外のタイミングをみてみると1月前後の寒い時期でも伸びていることがわかりました。特に先ほども登場した「酸っぱい(すっぱい)」サジェストワードでの顕著な伸びが気になります。

試しにGoogleトレンドで「酸っぱい梅干し」を見てみると、この10年程、特に昨年あたりから大きく検索の人気度が高まっていることが分かりました。

さらにここで酸っぱいとは対照的に、「甘い梅干し」も加えてみました。

上のグラフで赤(甘い梅干し)の突出するタイミングは毎年6月。青の酸っぱい梅干しを圧倒的に引き離す検索人気です。ただ平均でみると酸っぱい梅干しが通年でわずかに軍配。いずれにせよ、波の大きさはあれど、年々「酸っぱい」「甘い」梅干しの関心は高まってきています。このように各ユーザーの好み・志向などが近年より色濃く検索に反映されてきていることが分かりました。

 

■まとめ
このような検索トレンドの推移は、途中でご紹介した仮説「意外と梅干しはユーザーの様々な要望やこだわりを追求できる食材のひとつ?」ともマッチするのではないでしょうか。この仮説を意識されているか否かは定かでありませんが、梅酒で知られるチョーヤ梅酒株式会社では昨年このような取組みが展開されています。
〇「蝶矢梅キット」公式サイト
https://shop.choyaume.jp/collections/ume_kit
〇梅体験専門店「蝶矢」オンラインショップをオープン おうちで自分だけの梅シロップ・梅酒が作れる「蝶矢梅キット」を 通販開始!1月16日(土)から
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000038.000045487.html

「おうちで自分だけの梅シロップや梅酒を手作り」とあり、コロナ禍での新しいおうち時間の楽しみ方として、自分好みの梅酒づくりを提案されているようです。また京都と鎌倉にあるリアル店舗では、好みの素材を使って店内でオリジナル梅酒を作れる体験の場を提供。なんとその予約率は11.4倍にもなったとのこと。

このように好みを色濃く反映する食材は何も梅干しだけに限ったことではありません。ユーザーニーズの多様化が叫ばれる中、より自分(家庭)好みのものを求める傾向が高まっているのならば、企業としての提案や発信も多様化していく必要があるのではないでしょうか。

時間や環境など様々な要因を経て、生活者志向も様変わりします。このような部分にもアンテナを巡らし次なる販促のヒントにぜひご活用ください。