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肉ギフトをもっと “おしゃれ”に?検索トレンドにみる「新たな価値観」とは

【食卓のリアルな事情&販促ヒント集】

生活者の購買動機の中でも、とりわけ「贈り物」需要は目的が明確&高単価が見込めるテーマのひとつではないでしょうか。
先日、牛肉など肉関連ワードのリサーチをしていた担当者との会話の中で、「肉関連の贈り物で少し面白い検索ワードの動きがあった」との情報をキャッチ。くわしく聞いてみると、「肉×ギフト」でのサジェスト候補上位に「おしゃれ」関連のワードが挙がってきて興味深かった、とのこと。確かに贈答の場面で松阪牛などの高級肉をチョイスすることは容易に想像できますが、一方で“おしゃれ”系のイメージは?…どちらかといえば特別感や重厚感などのイメージのほうが強い気がします。
そこで今回はコトの真相を探るべく、「肉」の贈り物について調べてみることにしました。

 

■贈答場面でのキーワードトレンド
「肉」での贈り物を調べる前に、まずはGoogleトレンドで贈り物=「ギフト」ワードでの検索人気をを見てみましょう。季節性も含めて検証するために「お中元」「お歳暮」もあわせて比較してみます。

<読み解きポイント>
・検索人気としては「ギフト」が圧倒的(1.5~2倍程度)
・「お中元」「お歳暮」の検索タイミングとほぼ同時期に「ギフト」でも検索されている
⇒「お中元」用途での「ギフト」検索は2週間前くらいがピーク
⇒逆に「お歳暮」用途での「ギフト検索は2週間後くらいがピーク

「お中元」や「お歳暮」時期でも「ギフト」検索が積極的にされていることから、これらの用途をカバーしているといえそうです。さらにこれらよりも検索トレンドが高いため、贈答場面で検索する際の具体的なワードとして、「ギフト」はとても定番になってきているといえるのではないでしょうか。

 

■最近の「肉×ギフト」検索傾向
つづいて、肉の贈り物として「肉ギフト」ワードについて調べてみました。

<読み解きポイント>
・直近10年間を見てみるとここ数年は10年前と比べ2.5~3倍程度の伸び

・またここ数年は5月と12月に特に突出して検索が伸びている(↑)

このように「ギフト」だけでなく、「肉×ギフト」でも検索は活況・旺盛であるといえます。その一方で、矢野経済研究所『食品ギフト市場に関する調査を実施(2022年)』によれば、2020年の食品ギフト市場規模では2020年は前年比92.8%と減少、2021年は同104.6%と復調するもコロナ禍前の水準には戻っていない模様です。さらにお中元・お歳暮用途で見てみると、コロナ禍以前からすでに減少傾向にあり市場全体としては縮小しつつあるといえそうです。

⇒詳細は以下から
■矢野経済研究所『食品ギフト市場に関する調査を実施(2022年)』
https://www.yano.co.jp/press-release/show/press_id/2968

ギフト系検索が旺盛なのに、市場全体で見てみると、お中元・お歳暮分野中心に縮小傾向…?このギャップはどこにあるのでしょうか。
もしかしたら、「市場全体からお中元・お歳暮分野を除いた、例えばカジュアルギフト(誕生日や〇〇の日ギフトなど)に答えがあるのでは?」と試しに、カジュアルギフトと聞いて思い浮かんだ「スイーツギフト」ワードを一緒に見てみると…

<読み解きポイント>
・ここ数年両ワードとも右肩上がりで検索人気上昇
・人気度数としては「スイーツギフト」が高いものの、「肉ギフト」検索も健闘

カジュアルギフトまわりでの検索ニーズは年々高まっており、さらに「スイーツギフト」「肉ギフト」ともに検索旺盛…これはひょっとしたら、「カジュアルな場面でも肉の贈答が増えてきている」のかもしれません。
つづけて調べてみましょう。

■カジュアルギフトに「肉」を積極利用する可能性
贈り物需要自体もその場面での「肉」需要も、年々高まっているであろうことが推測できたので、ここでは「肉 ギフト」検索でのサジェスト傾向をみてみます。

〇「肉 ギフト」検索の特徴
まずはこのキーワードと「スイーツ ギフト」での傾向を比較してみます。

※表の内訳は諸事情につき加工していますが、表の上から順に検索ボリュームが多くなっています。

<読み解きポイント>
・「肉 ギフト おしゃれ」での検索ボリュームが第2位
・「肉ギフト」では「~花」「~薔薇」「~ブーケ」など肉そのものや肉とセットにしたギフト全体の彩り、見栄えなどをより意識されている
・「肉ギフト」ではギフト券、ギフトカード関連も上位に。スマートに肉ギフトをとらえる傾向顕著

 

試しに、その他ギフトとして「酒 ギフト」「茶 ギフト」でも見てみると…

<読み解きポイント>
・「酒 ギフト」や「茶 ギフト」と「肉 ギフト」とを比べても、「~おしゃれ」をはじめ見た目にも気を遣う検索意図がみられるキーワードのボリュームが「肉 ギフト」で多い

 

肉ギフトというと「重厚感」などをついつい想起しがちですが、これらとはベクトルの異なる「おしゃれ」系が上位に来ているものも、先ほどご紹介した、
「カジュアルギフト市場は市場全体の中でも年々活況傾向?」
「カジュアルギフトに肉をチョイスする傾向増加?」
といった仮説にもマッチングするのではないでしょうか。

 

■企業動向ふくめて仮説を検証
この仮説をさらに裏付けるべく、メーカー⇒生活者におけるコミュニケーションのトレンドを各企業の動向からもみてみました。

〇肉が花束になった。肉花ギフトボックス2種が本日(4/12)発売。焼肉会席料理の店“神楽坂 翔山亭”から
https://www.famitsu.com/news/202104/12217522.html

〇従業員の福利厚生に利用する新提案!お肉の職人が厳選したお肉ギフト「薔薇BEEF。」ECサイトがオープン!
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000001.000085086.html

各社肉そのものの味や価格だけでなく、その見た目にも趣向を凝らしていることが分かります。
これら各社の事例をみてみることで、「肉ギフト」ならではの特性も見えてきました。
先ほどのワードトレンドでも「肉ギフト 薔薇(類似として花・ブーケなど)」での検索が旺盛でしたが、他のスイーツや酒などと異なり、肉そのものを薔薇のブーケに見立てて盛り付けるなど、加工しやすい肉商品ならではのギフト活用が顕著になってきているようです。このような肉ならではの特性を検索ユーザーもよく理解し、よりおしゃれな・見栄えの良いギフトとして求めていく傾向が垣間見えます。

 

■まとめ
これらのことから、定番でありつつ年々さらに需要の高まる「肉ギフト」ですが、カジュアルギフトを通じて思わぬ多様性も発生している可能性がありそうです。
これまでどちらかといえば「機能的価値(例:等級で判断して商品選択するなど)」が強かった「肉ギフト」において、新たに「情緒的価値(「見た目にもうれしい・楽しい」といった相手方の感情を意識しての選択など)」部分での価値訴求※に注目が集まりつつあるのかもしれません。

※「機能的価値」「情緒的価値」などに着目して訴求を考える弊社サービス、「商品価値リノベーション」はこちらから

 

従来捉えられがちなイメージの方向性からアプローチするだけでなく、昨今のトレンド需要を貪欲に取り込んで、新しい価値やイメージへ向けて何が伝えられるか?あらためて見直してみてはいかがでしょうか。