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News Update

顧客のリアルな本音&行動が見えてくる?いまどきのお中元・お歳暮事情

【食卓のリアルな事情&販促ヒント集】

今回は前回好評だったギフトシリーズの第2弾!日本の風物詩でもある「お中元」と、同じくセットで語られる「お歳暮」まわりで面白い検索傾向を発見しました。顧客となりうる検索ユーザーの傾向から生活者のリアルな本音や行動が見えてくる…?ぜひ今後の販促にお役立てください。

 

■お中元・お歳暮にみる顧客のリアルと3つのフェーズ
まずはいつものように「お中元・お歳暮」における各時期の検索傾向を読み解いてみたところ、以下の3つのフェーズが共通項として浮かんできました。
①お中元・お歳暮の利用「時期」にまつわるフェーズ
②のしのつけ方など「儀礼」にまつわるフェーズ
③実際にお中元・お歳暮用の贈答品を購入する「品物探し」にまつわるフェーズ

 

早速お中元から見てみましょう。※諸事情により画像を一部加工してあります。

〇「お中元」の着目ポイント
>時期系検索/時期、いつから・・・4月から増え始め6,7月に一気に増加
>時期系検索/いつまで・・・助走期間ほぼなく7,8月に急増
>品物系検索/ギフト、人気、おすすめ・・・6月に伸び7月ピーク
>儀礼系検索/のし、お礼状、マナー・・・6月に伸び7月ピーク

 

 

〇「お歳暮」の着目ポイント
>時期系検索/時期、いつ・・・10月から増え始め11月に一気に増加
>時期系検索/いつまで・・・11月に伸び12月に駆け込み急増
>品物系検索/ランキング、ギフト、人気、おすすめ・・・10,11月に伸び12月ピーク
>儀礼系検索/のし、お返し、御礼・・・10,11月に伸び12月ピーク

 

 

▼ここから読み解けること
・お中元/お歳暮いずれも、検索上位には冒頭の3フェーズ(時期・儀礼・品物探し)に関するサジェストが挙がってくる
・「時期」とひとくくりにしても「いつ」と「いつまで」のサジェストでは検索意図が大きく異なる(前者は「開始」を意識し、後者は「終了」を意識)
・「お中元」はタイミング的に前より、「お歳暮」はギリギリの行動傾向(例:「お中元」では「儀礼」系が3か月の真ん中ピークに対し、「お歳暮」では後半の12月がピーク)

これらを読み解いていくと、以下のような検索ユーザーの考え方・行動がイメージとしてわいてきます。
①夏・冬が近くなると「贈らなきゃ」と思いだし、実際に検索して調べ始める
②だいたい3か月の最初(中元なら6~8月の6月)、ギリギリのタイミングはおさえつつ、厳密にはいつまでに贈ればいいかわからない(「時期系」サジェストが上位にきているため)ので関連ワードを検索
③具体的に贈答を考え出す頃から儀礼・作法について下調べ。のしのつけ方など分かりにくいことが多いため詳しくリサーチ⇒3か月の真ん中(中元なら6~8月の7月)とその後の月に検索が集中⇒ある程度②の時期を把握してから少しタイムラグが発生しているか(面倒くささのあらわれ?)
④実際の購入場所は二極化。(きちんと百貨店購入型/手軽にEC購入型)
⇒「百貨店購入型」は指名検索が多いため、すでにひいきの店を決めている可能性
⇒一方「EC購入型」は「おすすめ・ランキング」などを3か月の後半で検索する傾向

ここから、
▼そろそろ、と思いだしたら軽く時期だけを調べておしり(いつまでか)を把握
▼そこから逆算して(時間をおいて)儀礼など具体的な贈り方を把握

「百貨店購入型」は↑のプロセスも場合によっては省略し、具体的にリサーチ・購入行動へ。
一方、「EC購入型」は最後ギリギリまで寝かせておいておすすめ、ランキングなど具体的な品物選びアクション」などといった形で「腰が重い、引けている」ユーザー像が見えてきます。

 

上記の多くは今回の調査を行うまでもなく、多くの方が想像に難くなかったのではないでしょうか。もちろん、何となく想定しているユーザー傾向を定量的な裏付けを持って仮説をより確かなものにはできましたが、もう少し踏み込んで何か発見がないか探してみました。
そこで着目したのが、上記の③の赤文字部分です。

>>③具体的に贈答を考え出す頃から儀礼・作法について下調べ。のしのつけ方など曖昧なことが多いため詳しくリサーチ⇒3か月の真ん中(中元なら6~8月の7月)とその後の月に検索が集中⇒ある程度②の時期を把握してから少しタイムラグが発生しているか(面倒くささのあらわれ?)

 

「お中元・お歳暮」は他のギフトとは異なり、儀礼系のプロセスを踏まえるこの1点の要因に対し、ユーザーが「腰の重さ」を特に感じているのではないでしょうか。
時期外れにならないように、ざっくりとでも「はじまりとおしりの期間」は把握しておきたい。でも具体的に儀礼系を検索するのは1か月ほど後になってから。
ならば、ここでの取り組み障壁を緩和または取り去ることで、検索ユーザーの購入行動を前倒し、こちらが意図するプロセスや購入場所に誘導して売上アップにつなげられないでしょうか。
これを踏まえられているかは定かではありませんが、この仮説に関連しそうな実際の企業取り組み例をみてみましょう。

 

■株式会社ウェブギフト
【お歳暮の本音】100人に聞いたリアルな悩みとは…?マンネリ化したお歳暮の救世主はカタログギフトか!?
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000005.000051606.html

お歳暮にまつわる生活者の本音を調査。リサーチの中で「お歳暮のカジュアル化」に着目し、「お歳暮は持参から配送が一般的に」、「カタログギフトでのお歳暮は約8割が嬉しい」など利用障壁を感じさせない現代のニーズとしてリサーチ内容を紹介することで、EC上で完結する同社のギフトサービスへ促しています。

■株式会社新潟味のれん本舗
【若者のお中元離れが加速?】お中元を一度も贈ったことがない方が6割近くも。その理由とは?
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000024.000011044.html

自社にて「若者のお中元離れ」に関する調査を実施。その結果、例えばお中元離れの理由として「儀礼」が時代にそぐわないと思うか?の問いに対し、「とてもそう思う」・「ある程度そう思う」を含めると8割以上の回答に、またカジュアルに贈るためのトップ要因として「(価格が)安くて負担にならないもの」の回答が挙がったことなどに着目。金銭的に負担にならずかつ贈答としてもマッチするようなカジュアルな商品のすすめにつなげています。

 

「お中元・お歳暮」は昔からの風習・文化を今に伝える日本の風物詩ですが、前回記事でもご紹介したとおり、年々この分野での市場が減少しつつあります。
風物詩としての魅力をきちんと残したうえで、そこから手間・面倒くささを取り払った新しい一工夫・アプローチは他にもまだまだあるはずです。「再びこの風物詩を生活者にとってより身近なものにする」ための切り口からアプローチすることで、眠れるビジネスチャンスを掘り起こしてみてはいかがでしょうか。