大手キュレーションメディア閉鎖問題を斬る!
コンテンツSEO、WEB集客なんて簡単だ!~番外篇~
こんにちは。イーサンです。
さて、前回まで二回のコンテンツSEO記事を掲載してきましたが、
過去記事はコチラから
いったんお休みをして、いま話題(?)のキュレーションメディア閉鎖問題について書いてみたいと思います。(ちょっと旬を逃した感もありますが・・。)
一応、この業界の端くれにいる人間として、思うところもありますので、実際の事案の顛末は様々な方が情報をアップしていますのでそちらにお任せするとして、各種情報に接して思うところと、その要因となったであろうことを主に「SEO」というところにフォーカスしてまとめてみたいと思います。
「キュレーション」が問題なわけではない
また、これら一連のサイト閉鎖を受けて「キュレーション」という言葉自体があたかも悪者であるかのように捉えられている節もありますが、決してそうではない、ということは最初に書き添えておきます。(問題となったサイトの、サイト上位に表示させるためのなりふり構わぬやり方が問題であり、「キュレーション」という概念自体が問題であったわけでは決してない、と我々は考えています)
ということで、本題に。
要因は二つある
今回の件で問題になった原因はさまざまあると思います。また、あまりにも無責任な記事を大手サイトがアップすることはほめられたことではありません。ただし、そうなっても仕方がない状況はあったのかなと思っております。
個人的にこれらの問題が起こった要因と考えていることは二つです。
1、成果を求めるあまり、質より量を重視する運営方針になっていたが、その肝心なコンテンツの中身である記事を執筆する際のモラルは、ライター任せになっていたこと。(企業側は責任を負わない仕組みと巧妙な規約等によって)
2、大手キュレーションメディアを運営するサイトの大量記事執筆による上位表示テクニックに対する、Googleのアルゴリズム対策が遅れていること。
大まかにいうと、上記二つに集約されるのかな、と思っています。
1、成果とモラルの関係性について。
報道されているとおり、大手キュレーションメディアは外部のライターにマニュアルを渡し、そのガイドラインに則った形で安価に記事を書いてもらい、大量記事執筆~アップを可能にしていました。
実際にコンテンツマーケティングを実践していたり、自身でWEBコンテンツをアップしたりしたことがある方ならばなんとなくわかると思いますが、記事を書こうと思ったら(特に自分の得意分野や専門外のことを記事にする場合)ネット検索は当然のごとく作業フローの中に入ってきます。
SEOの知識がある人は安易なコピペに手出しはしない
ある程度のモラルがあったり、(企業に所属していて何かあった場合にその記事の責任を問われる立場にいる方は一定程度そういったモラルを持っていることが多いと考えられます)SEOの基本的な知識があったりする方であれば、どこかのWEBサイトからそのまま記事を持ってくるようないわゆるコピペやリライトと言われる手法を安易に使うことはしないでしょう。
なぜなら、それらの行為がGoogleからのペナルティを受けて、サイトの評価が下がる=上位表示が難しくなることにつながるため、いくらネタに困っていても、記事作成の手間を省くためにそれらの手法を選ぶ場面は少ないと思います。
安価に記事作成させるとしっぺ返しを食らう
ただし、上述のような安価に1記事あたりの契約で雇われたライターが同様のモラルと知識を持って記事作成に当たっていたかと言われれば、疑問を持たざるを得ません。
今回の件では、1記事あたりの執筆料はかなり少ないものであったと報道されていますし、その非常に少ない対価に対して、最小限度の労力で業務を済まそうとするのは、至極当然のことのように思います。(決して問題となったような記事作成をしたライターの肩を持つわけではありませんが)
キュレーションメディア側は、あくまでもプラットフォーム提供をしているのみ、という姿勢で運営を行っていたようですし、それら記事のエビデンスや信憑性へのライターの意識が薄くなることは必然であったと言えるでしょう。
コピペが推奨されていたわけではもちろんない
また、効率的に大量記事アップを可能にするマニュアル(今回WEB上で内容を明らかにされたもの)は、一見するとコピペやリライトを助長するような言い方にはなっていません。
当然直接的なコピペはSEOでペナルティを食らうことは分かっているからです。ただし、WEB上にある情報を自身の言葉で噛み砕いて「リライトする」ことは推奨されていました。
ライター達は、言われた通りの方法で記事作成を実践し、結果としてWEB上にある様々なサイトの情報を継ぎ接ぎしたようなコンテンツが大量に上位表示される結果になってきたのだと想像されます。(中にはマニュアルの通りに様々なサイトや文献情報を参考にしながら、情報を咀嚼し、自分自身の言葉で、しっかりとした記事作成をしていたライターもいたとは思いますが・・。)
楽して記事作成する方法はいくらでもある
一方で、大量記事作成のためにリライトツール等を使って効率的に記事作成をしていたライターもいたでしょう。これは、どこまで運営企業が把握していたのかは明確には分かりませんが、SEOに精通し、サイトを上位表示させる術に長けている運営者達が、(同様の手法を使って実際に複数サイトで成果を出してきていたことを考えると)これらの状況をまったく把握していなかったことは考えにくいと思います。
そういったやり方は、モラル的にどうなのかという問題はあるにせよ、Googleが重視しているコンテンツSEOに対し、技術的には則った形となっています。結果として、法律には抵触しないけれど、編集方針とかもなく、ライター任せで記事を書かせることにより、ネット上に似たような薄い情報のコンテンツがひしめき合う状況を誘発していたことは否めません。
モラルはとりあえず置いといて、まずは成果を追及するということについて
企業側は、上述のような方法にて、効率的に安価で大量の記事が上げられる仕組みを生みだし、サイトのセッション数やPV数という「成果」を手にします。
(すでに成果を出しているサイトを中心に、他ジャンルのサイトを新たに複数立ち上げ、莫大な広告収入を得る今後の事業の柱としての構想を描いていたのでしょう)
ひと昔前ほど安易に検索上位に上がれないと言う状況はあるものの、各社がコンテンツマーケティングに注力してくる中、圧倒的な資本力と編み出した効率的な仕組みによって質より量で他を凌駕し、WEB上の情報を駆逐していくやり方は、彼らから言わせればルールの中で成果を上げていく、という意味での正義であったのだと思います。(画像の盗用や文章のコピペは問題ですが、リライトは程度やそのやり方によってグレーにも黒にもなりうると思う)
その中で、モラルに則って記事を非公開にすることや、記事の信ぴょう性のチェック、という手間のかかる作業は後回しになっていたということでしょう。どういった業界であってもモラルと成果はある意味相反する二つの要素です。
まだまだ遅れている業界の法整備
成熟した業界であれば、それらに対して、自主的な規制や、法律によって、行き過ぎた成果追及のやり方には一定の制限がかかることが一般的でしょう。
それらの法やルールの中で、この二つ(モラルと成果)のバランスを絶妙にとって成果を上げていくことが本来的な戦い方であるはずが、法整備等も遅れているこの分野においては、各社の裁量や自主規制に任された形になっているため、やったもん勝ちになっている部分が否めません。
上場企業という社会的にも責任ある形で成果を上げていくべき集団が、第二の収益の柱となる事業を確立することに焦り、「成果」をストイックに追い求めた末の問題発覚~拡大といった顛末になったのだと考えます。
2、Googleアルゴリズムについて
これは、なんとなくわかっていたことではあったものの、今回の件で改めて現時点でのGoogleアルゴリズムの限界を感じてしまった次第です。検索上位に来る情報が、似たり寄ったりで薄い情報が多くなっていることに日々検索という行動をとる中で皆さんもだんだんとお気付きになっている部分もあるのではないでしょうか。
情報のジャンルにもよりますが、(件の企業が「バレット」と呼んでサイト運営していた各ジャンルの情報を検索してみればよくわかると思います。)
グルメ情報の似たり寄ったり感はなんとかならんものか!
グルメ情報など、そもそもの検索ボリュームが多い内容についてはやればやっただけ成果が出るため大手サイトも目をつけやすく、そう言った状況が生み出されてしまったことが想像されます。
例えば都内で最寄りのランチ情報を調べてみると、各サイトが同じようなお店を「人気店」として紹介していて穴場的なお店の情報にほとんどたどり着かないことなど、ザラにあります。上位表示されているサイトを参考にしながら、上述のような方法で記事を大量にアップするサイトが増えれば、そう言った状況になるのも当たり前です。
これは完全に個人的な話ですがイチ検索ユーザーとしてはこの事態に正直辟易としております。(グルメ情報についてです)
サイト価値向上の2つの要素について
本来、サイトの価値を向上していくためには
1、サイトにくるユーザーに楽しんでもらうこと
2、検索エンジンに評価されるサイトにすること(=SEO対策)
の2つの要素が重要ですが、こういったサイトではひとつ目の対策をほぼ無視した形で、とにかく検索上位に来ることだけを目的としたサイト作りを先行させています。
本来的には2つの要素を両軸で盛り込んでいくべきなのですが、内容を充実させて人々が楽しむことができるコンテンツを制作することよりも、これらのこと(SEO対策)を効率よくやっていく方が、検索ユーザーからの集客(セッション数を上げること)を手っ取り早く実現する上では確かに成果にはつながりやすいため、単純にそこだけを追い求めるサイトが増えてしまっている現状が少なからずあるのだと思います。
実際、自分たちでサイト運営している中で、渾身の記事やコンテンツが全然アクセスを集められず、単に旬なネタや検索数が多いコンテンツがバズるようなタイミングに、「コンテンツの質」ってなんだろう、と自問自答する場面に出くわすことは、よくあると思います。
Googleアルゴリズム開発が追い付いていない!?
Googleも、明らかなコピペ記事にはペナルティを与えるというアルゴリズム上での対策を講じていますが、アルゴリズムの隙をハックするようなやり方(上位表示されているサイトの中身を巧妙に継ぎ接ぎし、ターゲットキーワードを散りばめた、文字数がただただ多いだけの記事を量産する手法)で記事制作が行われると、(あれ?この記事も意図せずやたら文字数多くなってきてるぞ。)中身のないコンテンツがどんどんと上位表示されてしまい、
検索結果に出てくるコンテンツがつまらないものばかりになってしまいます。
Googleが黙ってこの状況を放置するはずはない
さすがにGoogle側も、検索ユーザーの離反は望んでいないはずですので、こういった問題に日々対処しているのだと思いますが(そう信じたいです)、表示される検索結果を見る限りなかなか追いついていない部分も多いのだろうなあというのが、率直な現時点での感想です。
検索アルゴリズムのアップデートに関して大方針は示されますが具体的の中身は原則公開されませんのでGoogleの中を見てきたわけではない私の想像の域を全くもって出ない私見ではありますが。
今後はどうなっていく?
ということで、長々とお伝えしてきたような、今回の件で2つの大きな要因があると私は考えていますが、その2つはすぐに解決されるものではありません。今回の問題が解決されるためには1つには規制が追いつくこと。
2つ目には、ズルい方法(基本はみんなルールに則ってやっているので成果を出している側を吊るし上げてズルいというのはあまりフェアではありませんが)で成果を出しているサイトを上位に表示させない検索ユーザー本位のアルゴリズムアップデートが必要です。
今回の問題は、一般の方にも広く知れ渡るような形でセンセーショナルに報道されましたので、大企業はこういったやり方に二の足を踏んだとしても、今度は中小企業や個人ブロガーのモラル意識の低い人はむしろチャンスだと考えてグレーな方法で自分たちのサイトが上位表示されるよう画策するでしょう。
ルールが変わらなければ、大きく状況は変わらない
今回、この長ったらしい記事を通して何が言いたかったというと、表面的な明らかに度を超えた事例はとりあえず日の目を見えなくなるとしても、ルールが変わらなければ、同じ方法で成果を求めようとする新たなプレーヤーがでてきて、結局状況はあまり変わらないのではないかということなのです。
なんだかんだGoogle大好き人間な自分としてはやっぱりGoogleに頑張ってもらって検索ニーズにマッチした適切な情報を提示してもらいたいと願っていますし、ストックされた膨大な情報を適切に提示できるのはGoogle以外ありえないと信じているからなのです。
まとめ:企業のオウンドメディアで情報発信していくにはどうすればよい?
この記事を読んでいただいているのは、企業に属し、自社の情報を発信したり、自社サイトに集客するための手法を日々悩まれていたりするような方々なのかなと思っております。
そういった方々が、今回の件を受けてどうしていくべきか考えてみました。
コンテンツ重視で成果を上げる方法を身につけておく
基本的には、Googleのコンテンツ重視の考え方は変わらないものと思います。今回のような問題が増えてくれば、より一層安易な手法で生み出された記事は、上位表示させない状況になってくるものと思われます。
そうなった時、いかに自分たちのサイト内に
・オリジナルで
・魅力的な
・リピートしてサイトに訪れたくなる
コンテンツを蓄積しておくことができるか、が重要になってきます。
日々の業務の中で、目の前の成果を求められる場面はビジネスをしている上では多々あると思います。
ただ、そういった縛りの中でも自分の信念をしっかりと持って、コンテンツマーケティングに取り組んでいくことこそが、将来的な自社のファンを生み出したり、長期的な成果に結びつくものであると、私は信じています。
イーサン
ミッションインポッシブルに出演していないほうのイーサン。2人の男児の父。
昨年5kgのダイエットに成功したものの、社内では痩身の様子が病的だと噂され評判が悪い。趣味はランニングと料理。