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News Update

子どもの心をわしづかみ!オーストラリアのスーパーで大成功したプロモーションとは?

こんにちは。世界のママを研究しつくす!「グローバルママ研究所」のNanaです。
いつの時代も子どもたちの間で流行るものといえば「カードゲーム」。今や、世界中に人気が広がっている「ポケットモンスター」もルーツをたどると、本格的な国産トレーディングカードゲームとして1996年に発売されたのがはじまり。以来、20年以上愛され続けています。トレーディングカードの世界では、たった1枚のレアなカードを収集するのに数十万から数百万円を投資する人もいるとか!?気に入ったものを収集することは本能的なものであるとも言われていますが、ここまで来ると不可解でしょうか…。
今回ご紹介する事例は、オーストラリアのスーパーで子どもたちの収集欲に火をつけた、販促活動の好事例です。


オーストラリアの大手スーパーマーケットのWoolworths(ウールワース)。こちらのスーパーが毎年定期的に行っているのが、子どもをターゲットにしたモノ集めのプロモーションだ。なかでも、動物カードシリーズは、買い物を日課とする母親だけでなく、祖父母も孫のカード集めに協力するなど、一大ブームを巻き起こし大成功を収めた。同社は、このプロモーションにより利益は大幅に増加し、競合他社に大きな差をつけたことで知られている。今回はオーストラリアのヒットプロモーションからその秘訣を探る!

大ヒットした動物カードシリーズ

ウールワースの子ども向けプロモーションの内容は?

ウールワースの代名詞のようになっている子ども向けプロモーション。爆発的人気を収めた動物カードシリーズは、一つのシリーズにつき、108枚の動物カードで構成されており、カードにはそれぞれ番号が振られている。カード2枚入りパック1つを入手するためには、20豪ドル(約1,600円)分の買い物が必要となり、レジやインフォメーションセンターでレシートを提示すると金額に応じたカードパックを渡される。なお、これまでに数シリーズの動物カードを活用したプロモーションが行われている。108枚の動物カードは、
「砂漠に住む動物」
「湿地帯に住む動物」
「森に住む動物」
「海に住む動物」
など、特徴ごとに12枚(12種の動物)で分類され、それぞれのカードには、写真、名前とともに動物の秘密や特徴が記載されている。子どもたちはカードを全種類集めるために、同スーパーだけで買い物をするよう母親を促す。だが、同じ番号のカードを引き当てることが多く、全カードをそろえるのは実は至難の業だ。店舗によって、カードの種類に偏りが出ていると噂になってからは、カードを全種類集めるために、他店舗をはしごして買い物をする保護者が増加。また、可愛い孫のために、せっせとカードを集める祖父母も増えた。さらに、不足カードを補うために、どの学校でも子どもたちの間でカードのトレードが大いに流行った。そこで、ウールワースはすかさず、カード配布プロモーションが終了した翌週末にカード交換会をスーパー前で実施。週末ということもあり、多くの家族連れが来店し、不足カードを入手するために長蛇の列を作り、店舗の売り上げ増加に一役買った。さらに、この動物カードを入れるための特別アルバム(5豪ドル、約400円)や、それぞれのカードを通すだけで動物の声が聴ける小型機器(アルバムと同額)を販売。特別アルバムは国内どの店舗でも売り切れとなり、入手できない子どもが続出した。なお、アルバムには、特徴ごとの動物カードが1ページで12枚を収納できるようになっており、その左ページには、その動物のさらなる秘密やクイズなどがびっしりと書かれた用紙が一緒につづられている。

特別アルバムと小型機器

アルバムには動物の特徴ごとにカードが収納出来るようになっている。

なぜ、子どもたちに支持されたのか?

ヒットの秘訣は、「子どもは誰しもコレクターである」という性質をうまく利用したプロモーションだということだ。実際、同スーパーの別プロモーションで、大人向けに有名シェフのカードシリーズが出たが、ここまでの人気はでなかった。また、このカードが少額でも有料であれば、ここまで人気は出なかっただろう。母親の日課である買い物をするだけで、カードが無料でついてくる。いかにも「おまけ」な要素が強かったのがポイントだ。子どもが夢中になって集めはじめ、それに協力をする形で両親や祖父母も買い物にいそしむという循環がブームを生み出し、同スーパーの売り上げ増加につながったのだ。

参考URL
http://www.woolworthslimited.com.au/page/The_Newsroom/Press_Releases/Archives/2013/Hold_on_to_your_cards_-_Woolies_prints_more_Aussie_Animals_albums/
http://www.dailytelegraph.com.au/news/opinion/collective-gasp-from-parents-everywhere-as-woolworths-super-animals-cards-released-today/news-story/9d1db387da2718093dcb64f7cd738e07
http://www.smh.com.au/nsw/woolworths-animal-cards-desperate-parents-pay-100-20131014-2viwx.html

 

ウールワースの無料カード配布にみる、子ども向けプロモーション成功のポイントとは?

1.顧客心理を巧みについた金額設定

カード1パックを入手するための買い物の金額設定が20ドルと手軽だったことがヒット&売上アップの秘訣だろう。あと数点買い足せばもう1パックもらえるという、顧客の心理をうまくついた金額設定だったことが、さらに売上を伸ばしたといえる。

2.性別に関係なく好まれる動物カード

性差関係なく楽しめるカードであったことも特筆すべき点だ。偏りがないため、より多くの子どもに影響を与えることができた。実は、同スーパーの子ども向けプロモーションで、過去にディズニーのカードシリーズが出たことがあったが、最大のターゲット層である小学生は、ディズニーを卒業している子どもも多く、動物シリーズほどのヒットにはつながらなかった。

3.希少価値と無料カードの価値をあげる付属品!

108枚からなるカード収集プロモーションのため、入手困難なものがあることで希少価値が生まれた。また、無料商品にアルバムや動物の声が聴ける小型機器などの付属品をつけることで、カード自体に付加価値が生まれ、収集意欲をさらにかきたてることに成功した。


オーストラリアのスーパーにおける販促キャンペーン事例はいかがでしたか?カードを集めるだけでなく、友達とトレードしたり、コレクターアルバムを作成したり、子どもの心理をうまくとらえたこちらのキャンペーン。集めることで動物の生態について学べる、学習要素が含まれているという点は、親心も同時にがっちりとらえているといえます。店舗を活用したプロモーションのヒントとして、ぜひご参考にしてください。
グローバルママ研究所
世界33か国在住の170名以上の女性リサーチャー・ライターのネットワーク(2017年4月時点)。企業の海外におけるマーケティング活動(市場調査やプロモーション)をサポートしている。
http://gm-ri.com/