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News Update

「機能性表示食品」施行から1年経過した現状と対策まとめ

機能性表示制度 これまでの経緯をおさらい

2015年4月から始まった「機能性表示食品」制度。第二次安倍政権の成長戦略の中で2013年6月に打ち出された方針のもと、アメリカのダイエタリーサプリメントを参考にしながら、検討されてきた制度です。


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通常打ち出すことができない食品の「機能」に関して、企業の責任において商品の広告やパッケージに表示することを認めた「機能性表示」制度は上記のような経緯の中誕生しました。

「機能性表示」の制度開始前は、食品の「機能」を謳ってよいものは、

・トクホ(特定保健用食品)
・国の規格基準に適合した栄養機能食品

上記2種類のみでした。しかし、特にトクホに関しては、申請に関する費用が数千万円~数億円かかるうえに、認可を受けるまでにも数年かかると言うことで、実質的には大企業のみに門戸が開かれていた制度だったと言えます。
一方、健康食品(いわゆる食品)の市場規模は年々拡大傾向にあり、中には薬事法ギリギリでのグレーゾーンな広告展開をする企業もあり、国としてはしっかりと制度を整えた上で、中小企業等にもチャンスを与えて、健全な形で市場拡大させたいという思惑があったのではないでしょうか。

機能性表示制度の認知度は?

弊社(株)YUIDEAが昨年11月にインターネットにて実施した調査では、1年以内に健康食品を購入した生活者226名へのアンケートにて7割弱の方が「機能性表示」の内容について理解をしている、と答えています。
健康食品購入経験者ということで、そういった情報について敏感な層ではあるものの、少しずつ生活者への認知も広まってきていると言えそうです。

■機能性表示の認知度は7割弱

アンケート結果

健康食品に関するアンケート(インターネット調査)
2015年11月に(株)シータス&ゼネラルプレス実施

同調査におけるそのほかのアンケート結果はコチラ

シニアはネットで、若者はコンビニで〈健康食品に関する自主調査①〉

若者は「ランキング・口コミ」、シニアは「特保マーク」がお好き?〈健康食品に関する自主調査②〉

 機能性表示制度 いったい何がイイの?

事業者側のメリット

食品の身体への機能性を謳った商品を、

・商品を使った臨床試験
・研究レビュー

上記の2種類のエビデンスのどちらかにて届け出た上、商品パッケージや広告への記載で販売が可能になります。
特に今回の制度の利点は「研究レビュー」(システマティックレビュー)を用いた届け出を許可している点にあります。
臨床試験に比べて、多くの労力とお金をかけずとも、申請が可能となり、この点が中小企業等にもチャンスを広げるという部分でハードルが下がっていると言えます。

生活者側のメリット

これまで、トクホと栄養機能食品に限られていた「機能性」を謳った商品が市場に多く出回るようになり、選択肢の幅が広がります。

・トクホ商品数:1251(16年4月時点)※制度開始から25年
・機能性表示商品数:310(16年6月時点)※制度開始から1年

トクホが制度開始から25年で1251品、一方、機能性表示食品は制度開始1年で300商品超え。たったの一年でトクホの4分の一に迫っています。これからも日々商品は増え続けることが予測されますので、生活者にとっては選択肢の幅は広がっていくと言えるでしょう。
また、届け出された情報は公開されるため、生活者自身でその情報を確認することも可能です。自身の身体に摂り入れる「食品」について、適切な情報を得られるということは重要ですし、この制度の大きなメリットだと思います。

申請商品数、申請成分の内訳は?

前述した通り、6月時点で310商品が申請受理されています。そのうち、どういった機能を持った商品が多いのか、調べてみました。

■1/3はダイエット関連商材

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・内臓脂肪を減らす
・食後の血中中性脂肪や血糖値の上昇をおだやかにする
・中性脂肪を減らす
・体脂肪(内臓脂肪)を減少させる
・食事の脂肪の吸収を抑える機能があります
・脂肪が気になる方及び肥満気味の方に適しています
・肥満気味な方、体重(BMI)が気になる方、お腹の脂肪が気になる方、ウエスト周囲径が気になる方に適した食品です
等々、挙げだしたらキリがありませんが、様々な機能と申請の内容にて実に100商品以上が「ダイエット」関連商品となっています。各社様々な成分にて生活者にどういった表現であれば響くのか試行錯誤しながらの申請、商品開発状況が伺えます。

たしかに、自分もノンアルコールビールなどを購入する際、こういった機能を謳った新商品が出るとついつい手が伸びてしまうことがあります。誰もが気になるお腹周りの「メタボ」なアイツは、年齢を重ねるごとにどうしたって無視できない存在になってきますよね。

申請における要注意ポイント

また、事業者側にとって注意したいポイントとして申請方法によって「機能」として表現できる言い回しに差がでること、があります。

たとえば、
商品を使った臨床試験を行った場合
「内臓脂肪を減らす機能があります」
上記のような直接的な言い回しが可能ですが、
研究レビューをエビデンスとした場合、
「内臓脂肪を減らす機能があることが報告されています」
と、間接的な表現になり、それらをパッケージや販促物にも記載することとなります。

前述した通り、商品開発にかかる予算差が非常に大きくなるため、上記の言い回しの違いによって売上結果にどの程度影響するのか、2種類の製品を持っている場合には比較してその後の機能性表示食品の商品開発に活かしていっても良いかもしれません。

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まとめ

■各社の対応はまちまち

制度開始から1年。著名な健康食品の会社でも1商品程度しか申請していない会社もあれば、複数の商品を発売している会社もあり、各社対応はまちまちです。業界動向をみて冷静に今後の対応を決めていきたいと考える企業も多いようです。

また、販売が伸びている企業の商品は、併せて莫大な広告費をかけている場合も多数あり、
一概に「機能性表示」だけの恩恵とも言えない部分もあります。

■相次ぐ不当表示問題と機能性表示食品制度

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ただし、健康食品業界においては、消費者庁による景品表示法及び健康増進法による不当表示問題(違反行為)事例もいまだに公表されており、決められたルールの中で生活者に「機能」を訴えかけて売上につなげていく上では、この「機能性表示」食品制度をうまく活用するのが最も近道と言えそうです。

今回は、柄にもなく、そんな真面目な結論で終わりたいと思います。
でわでわー。

(株)YUIDEAでは「機能性表示」販促支援事例も多くございます。是非ご相談ください

イーサン
ミッションインポッシブルに出演していないほうのイーサン。2人の男児の父。
昨年5kgのダイエットに成功したものの、社内では痩身の様子が病的だと噂され評判が悪い。趣味はランニングと料理。