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News Update

『採用広報』的発想で長期人材難への備えを!気づいた企業は、もう始めています

最近人材にまつわるCMが増えてきたと感じることはありませんか?また、働き方改革の影響も相まって「働く」「働き方」「社員」「雇用」「定時」etc…といったテーマでドラマがつくられ、それがSNSで大きな話題を呼んだり。あらゆる角度で働くこと、働く人がクローズアップされるようになりました。

特に「人材採用」・「人材活用」などのHR(Human Resource)領域は今後の企業戦略上、重要視する会社も少なくありません。そんな中、企業独自の視点で発信される「採用広報」という考え方が注目されています。コンテンツマーケティング・オウンドメディアといったコミュニケーションが定着しつつある近年、それらメディアと非常に親和性が高くかつ有用性の高い採用広報について、今回少し考えてみたいと思います。

コンテンツマーケティングについてはこちらでご紹介しています。ぜひご覧ください。
【基本】コンテンツマーケティングとは? その種類とメリット・デメリット

いま、なぜ「採用広報」が注目されるのか?

空前の売り手市場

少子高齢化の加速などさまざまな要因が絡み合い、空前の売り手市場が続いています。あらゆる業界で人材難が進み、2018年は「人手不足による倒産件数」が前年4割増しで過去最高になったとのこと。人材獲得競争が激化しているIT業界では、「2030年までにエンジニア人材が78.9万人不足する(経済産業省調べ)」という試算まで出ています。

 

出典元『経済産業省 IT人材の最新動向と将来推計に関する調査結果を取りまとめました』より図解を要約したもの

★2020年の不足数は2016年の216%増
★2030年に不足数は2020年の214%増、2016年の461%増

高齢化や少子化がこのまま進めば、必然的に労働人口も減りそれに比例して人材の獲得競争がさらに加速することは想像に難くありません。

一過性の問題ではありません。

さて、ここで注目したいのは、この売り手市場が「一過性のものではない」と予測される点。求人市場にはよく需要の波があると言われますが、今回は2008年9月のリーマンショック前後に起きた求人数の急激な変動ではなく(リーマンショック後、それまでピークを迎えていた求人数は激減・直前までの売り手市場から買い手市場へ反転した)、今後も続く少子高齢化などによって中長期的な課題であると予測されます。
だからこそ「その場しのぎではない」、中長期的な採用活動と課題への対応が求められるのではないでしょうか。そこで有効なのが、「採用広報・採用ブランディング」視点での発想です。エントリー数や内定数などに直結しにくい広報・ブランディング的な取り組みは、短期的な採用活動においてはどうしても後回しになりがちでした。でも、中長期的なサイクルを前提にしてみると話は変わります。
求人サイト上での大型広告出稿による露出拡大などは瞬発的・カンフル剤としては有効な取り組みかもしれませんが、ブランディング面にはなかなか機能しないもの。42.195kmのフルマラソンを全力疾走で走り切るのが不可能であるように、「持続可能&効果的な取り組み」が必要になってきます。

効果のある採用広報へ取り組むために

大事なのは、コツコツと、でもいち早く取り組むこと。

前述のとおり採用広報活動は中長距離的な取り組みであることが前提。ではその場合、どんな点に気をつける必要があるでしょうか?
ここで大事なのは、来たるべき時に焦らないよう、事前に備え、先手を打つこと。
短期的な成果だけを見るのではなく腰を据えて取り組み、いい意味での余裕を作り出すためスピーディーに「まずはやってみる」トライアルの意識がカギを握ると思います。採用広報にフライングはありません。中長期だからこそ、少しでも先手を打ってコツコツと取り組み、短期的成果だけに執着しない態勢を早くから整えるべきではないでしょうか。

気づいている企業は、もう始めている

・採用広報取り組み事例
それではここで、中長期的採用難を見越し、取り組みをはじめている企業をご紹介します。

<さくらインターネット>
サーバーホスティングサービスを展開するさくらインターネットも、採用広報に注力する一社です。同社の取り組みの中で象徴的なのが、「さぶりこ(Sakura Business and Life Co-Creation)」と呼ばれる、同社独自の働き方に対する考え方。自社の就業スタイルを外部にも分かりやすく理解してもらえるよう、ユニークな支援制度や育児休暇取得率・復帰率の見える化などさまざまな情報が発信されています。

https://www.sakura.ad.jp/corporate/corp/sabulico/

それと同時に注目したいのが、「リファラル採用」です。社外だけでなく、社内広報も積極的に展開し、社員からの紹介を促進しています。実績としては2015年に6%だったリファラル率が2016年は30%、2017年には44%まで到達!もはや同社における採用戦略上欠かせない存在となっているのではないでしょうか。ここで改めて、さくらインターネットの取り組みのすごい所を勝手ながらまとめてみました。

・働くうえで、自社のどこに魅力を感じてもらえるか?どこを強みとして訴求するべきか?がきちんと整理されている
・それと同時に、企業自体だけでなくそこで働く人の魅力も発信し、会社・社員が一丸となって採用広報に取り組んでいる
・企業活動における風土や文化・価値観を言語化してまとめている
・これらの取り組みを社内でも懇々と伝えていくことで、社員の理解・共感を喚起⇒インナーブランディングにつなげている
・結果、「自然と人を紹介したくなる」場を醸成。そこにリファラル採用のスキームを制度化することで、より相乗効果が高められている

いかがでしたでしょうか。これらすべてをいきなりスタートする、というのは大変ですが、コツコツと自社の魅力や発信ポイントを整理するところから始めるだけでも、大きな一歩と言えそうです。

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コンテンツマーケティングの企画立案から制作実行までを一気通貫で担うコンテンツプランナー。取材・ライティング分野を軸に、「売れる(成果につながる)コンテンツ」を求め目下マーケティング領域で試行錯誤中。