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全米展開も?ファストフードの新星『Chicken Salad Chick』から学ぶブランディングのヒント

こんにちは。世界のママを研究しつくす!「グローバルママ研究所」のNanaです。

「土日くらい食事は手抜きしたい…」

手抜きに抵抗があるものの、ひそかに日本のママたちが願っていること。実際、日本のママたちは諸外国と比較すると頑張り屋さん。家事労働時間が極端に長くなっています。内閣府の統計によると、日本の6歳未満を持つ家庭では、妻の育児家事時間は一日あたり、合計7時間41分。これに対して、アメリカの場合は5時間39分となっており、約2時間もの開きがあります。夫の協力が大きいところがあるのですが、多くのアメリカ人家庭では、あまり料理に重きが置かれていません。そのため、すぐに食べられる手軽なテイクアウトやデリバリーが発達。さらに、オーガニックやグルテンフリーなど、近年の健康志向を反映したものがますます求められています。

今回ご紹介する、全米で人気急上昇中のあるファストフードもその一つ。どういった理由で人気が出ているのか覗いてみましょう。

「体にいかにも悪そうだけれどやめられない!」
アメリカのファストフードといえば、ハンバーガーにフライドポテト。そんなイメージを思い浮かべる方も多いのでは。しかし、最近ではファストフードでもヘルシー志向が浸透しつつある。なかでも、注目したいのが、気軽にヘルシーでおいしいチキンサラダを楽しめる専門店だ。チキンサラダとは、各家庭によってそれぞれ味が異なる、伝統的なアメリカ南部の家庭料理のこと。
今回ご紹介する『Chicken Salad Chick(チキンサラダチック)』は、アメリカ人であれば、どこか懐かしさを感じるであろうチキンサラダに新たな息吹を吹き込んだ革命児だ。2008年、アメリカアラバマ州に一号店をオープンしてから、南部を中心にフランチャイズを含め、60店舗以上を展開。今後、アメリカ全域に拡大予定だというこちらのチェーン。
人気の秘密はどこにあるのか、生活者視点からレポートする。

■チキンサラダ専門店『Chicken Salad Chick』とは?

最もベーシックなチキンサラダ「Classic Carol」は、蒸しササミに刻んだセロリ、秘密の調味料を入れて、少量のマヨネーズであえたもの。これをベースに、フルーツやナッツ、BBQソースなど、さまざまな具材が入ったチキンサラダがラインアップされ、その数は全部で12種類。毎日来ても違う味を楽しむことができる。さらに、ベジタリアン対応としてポメントチーズやスパイシーポメントチーズ、エッグサラダを選べるほか、サイドメニューや日替わりのスープ、サラダなどもある。
注文の仕方は、ちょっと複雑だ。まず、好きなチキンサラダを選び、それをスクープかサンドイッチにするかを選ぶ。トマトとレタスの追加は無料で、サンドイッチは3種類のパンから好きなものを、トーストするかしないかまで選べる。さらにもう一品、サイドメニューか、スープ、もうワンスクープ、チキンサラダを選べるようになっている。さすがアメリカ。何でも自分好みでカスタマイズできるのがスタンダードである。筆者もAかBかぐらいは選べてもさすがにここまでくると困ってしまうが、選び方がわからなくても店員さんがフレンドリーに教えてくれるので心強い。迷った場合は無料でサンプルを試せるのもうれしいポイントの一つだ。

○心を打つ、ブランド誕生の物語

Chicken Salad Chickといえば忘れてはならないのが、その誕生秘話である。もともと、3人の子どもを持つシングルマザー、ステイシー・ブラウンさんが、お手製のチキンサラダを近所やスクールバザーで売り始めたのがすべてのはじまり。大のチキンサラダ好きだった彼女は、レストランへ行くたびにさまざまな味のチキンサラダを試していたそうだ。あるとき、過去に食べたさまざまなチキンサラダをもとに、オリジナルチキンサラダを考案し、友人らにふるまったところ、またたく間に話題となり、大人気となった。
ところがある日、衛生局から来た通達が運命の分かれ道となった。「自宅の台所で作ったものを販売してはいけない」という。さてどうするか…。意を決して、店舗を構えることを決意したステイシーさんは、2008年にChicken Salad Chick1号店をオープンした。当初は、持ち帰りのみであったが、イートインスペースを設置できないかとのお客さんの願いを受け入れ、現在のレストラン形態へと発展を遂げた。
実はこの創業ストーリーは、店のメニューの裏にも大きく掲載され、レジ横にも大きく飾られている。店のストーリーをお客さんに知ってもらう工夫をすることによって、親近感をうまく引き出し、まるで昔から知っている友人同士であるかのような関係性をすぐに築くことができる。それ以外にも、メニュー表をよく見てみると、友人の名前や愛称をもとにメニュー名がつけられていて茶目っ気たっぷりである。店を訪れる人たちが思わずファンになってしまうような、ちょっとした工夫が店の随所にあるのだ。

○フォトジェニックな店内と各種サービス

もう一つ、忘れてはならないのがファストフードとは思えないようなその内装だ。店内はおしゃれなカフェのようになっていて、落ち着いて食事を楽しむことができる。ただし、カジュアル感はあるので、子連れでも気軽に行くことができる。要するに、ファストフードの気軽さとレストランやカフェのおいしさ、おしゃれさのいいとこ取りである。また、アプリをダウンロードすれば、1ドルの利用に対して、1ポイントが付与され、ポイントに応じて割引特典をもらえたり、グッズがもらえたりとリピート対策もぬかりない。個室スペースもあり、ベビーシャワーで利用したり、ハロウィンシーズンには、おばあちゃんたちが魔女の帽子をかぶってランチをしていたりとさまざまな用途で利用できる。

○ファストフードにも広がるヘルシー志向

最後に、ヒットの背景にあるのが食に対する意識である。日本では、「一つの食卓を囲み、母が作ったおかずとご飯をバランスよく食べる。」という感覚が当たり前のようにあるが、ここ、アメリカでは違う。アメリカ人のママ友の話を聞いていると、テイクアウトでも気にしない、作っても一品のみであまり料理に時間をかけないという人たちがほとんど。もちろん、しっかり作る人もいるとは思うが、多くの家庭が共働きで、家事に時間をかけないという考えのようだ。「時間はかけたくないけど、ヘルシーなものが食べたい」そんなニーズから、ファストフードでもヘルシー志向が高まっているように感じる。Chiken Salad Chickでは、すべてのメニューに、大きくカロリー表示がされており、さらにベジタリアン、グルテンフリーの表示もある。最近では、Low Carb Diet(糖質制限)が流行っていることも追い風となり、低糖質なチキンサラダは今後ますます人気を博していくだろう。

参照URL:
【Chicken Salad Chick】公式ホームページ
http://www.chickensaladchick.com

■支持されている背景・理由

○ファストフードの気軽さとレストランのおいしさ

レシピはいたってシンプルであるが、その分ごまかしがきかない。毎日生のササミ肉を蒸して調理し、細かく切って、チキンサラダを作っているそうだ。その他のメニューも、サイドメニューのドレッシングに至るまですべて手作りというから驚きである。いつ行っても新鮮なものを安心して食べられるのが人気の一番の理由だろう。

○懐かしさと新しさの融合

アメリカ版おふくろの味といった、ノスタルジーをそそるシンプルなメニューに、フルーツやナッツ、ベーコンなど新たなおいしさが加わり、新鮮味がある。また、ブランドストーリーやフレンドリーな接客で温かみを提供しながらも、SNSやアプリといった最新のテクノロジーを使ったポイント特典なども融合させながら、新規もリピート顧客も含め、幅広い世代を惹きつけている。

■アメリカ人ママの心をくすぐる3つのポイント

1.思わずファンに!心を打つブランドストーリー

3人の子どもを持つシングルマザーの奮闘ストーリーやユーモラスなメニュー名など、思わずファンになってしまうようなきっかけが店のあちこちにある。

2.ヘルシー志向の子連れでいけるファストフード

肥満大国アメリカ。子どもの肥満も深刻化するなか、低糖質かつカロリーダウンも期待できるチキンサラダは親子で安心して食べられるファストフードといえる。

3.なつかしさとテクノロジーがぴったり融合

アメリカ版おふくろメニューであるチキンサラダにノスタルジーをそそる店舗デザイン。でも、SNSやポイントシステムで利便性も追求する、その絶妙なバランスもお客さんを惹きつけている。

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日本でもヘルシーな「サラダチキン」がコンビニやスーパーなどで販売され、男女問わず人気を集めています。高タンパク、低カロリーなチキンはダイエットに最適とか。ファストフードなのに、罪の意識を感じさせない「Chicken Salad Chick」。ぜひ、日本にも上陸してほしいものです!

グローバルママ研究所

世界33か国在住の170名以上の女性リサーチャー・ライターのネットワーク(2017年4月時点)。企業の海外におけるマーケティング活動(市場調査やプロモーション)をサポートしている。

http://gm-ri.com/