マーケティングストーリーラボ

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【フランス販促事情】活字離れを防げ!デジタル時代にいちはやく対応する新進気鋭の子ども新聞が手掛ける販促施策とは?

こんにちは。世界のママを研究しつくす!「グローバルママ研究所」のNanaです。デジタル化が進んでもなんとか子どもに新聞を、活字を読む習慣を身につけさせたい。親がそう願う気持ちは世界共通ではないでしょうか。ところが、いざ子ども新聞を購読してみても、毎日新聞の山が高くなるだけ!?親が思い描いたように進みません。そしていつの間にか挫折の道へなんてことも…。
今回はフランスからのレポート。新聞社でもないのに子ども新聞を発行し、親子でリピートしているという、とある新聞の人気に迫ります。

フランスの子どもたちは活字がお好き?日本では中学受験対策用として注目される「子ども新聞」だが、日本のような中学受験の概念がないフランスにも、人気の小学生新聞が存在する。インターネットの普及で新聞離れが叫ばれて久しい世の中、フランスの小学生新聞は、どのように購読者を獲得しているのか?現地より、その販促のヒント等を紹介する。

ハーヴィーやイルマなど、この夏のハリケーンを受けての特集。

商品・プロモーションの概要

きっかけは暇つぶし!?小学生新聞が誕生するまで

1985年にフランスで設立されたプレイ・バック(Play_Bac)社。そのスローガンは「子どもたちの教育に改革を」である。起業のきっかけは、創業メンバー3人が長距離電車で移動中の暇つぶしにはじめた「クエスチョン&アンサー」遊びだった。クイズの出題は、主に高校卒業試験のバカロレア(Bacと略される)からの抜粋。このとき出題した問題をのちに1冊の本にしたことで、プレイ・バック社の歴史は始まる。1995年にはフランス初となる日刊小学生新聞「モン・コティディアン(Mon_Quotidien)」(10歳~12歳対象。計6ページ)を発行。続いて低学年向けの「ル・プチ・コティディアン(Le_Petit_Quotidien)」(6歳~10歳対象。計4ページ)を発行した。年齢に合わせて「1日10分」で読める分量ながら、大人が読んでも楽しめる充実した内容になっているのが同社の新聞の特長である。メイン記事のテーマは、季節の話題や動物、科学、歴史など、日によって変わる。また、国内ニュースのほか、海外の話題も加わってバラエティーに富んでいるほか、「単語解説」コーナーでやや難しめの語彙を毎日増やせる点も、親にとっては見逃せないポイントである。また、図解入りでわかりやすく説明されている記事が多いため、学校教材として使用されることも。これには、学校への積極的なプロモーション活動が背景にあると考えられる。

お得感を感じる割引と定期刊行物によるプロモーション

プレイ・バック社の新聞は定期購読のみで、店頭では販売されていない。しかし、小学生新聞と中・高校生新聞、合わせて計15万部の発行数を誇り、日本の大手新聞社が発行する小学生新聞の部数(10万~20万部前後)と比較しても引けを取らない数字といえる。なぜ、新聞社ではない、児童・青少年用の出版物を専門に扱う一企業が、このように多数の購読者を獲得できているのだろうか?その秘訣は、同社の発行する新聞以外の刊行物・グッズにある。
プレイ・バック社の新聞以外の刊行物は、書店やキオスク、大型スーパーなどで広く展開されており、実際に手に取って見ることができるのだ。代表的なものとしては、年4回発行の特集版(全カラー約50ページ)や扇形カード式の「クエスチョン&アンサー」、1日1単語が覚えられる「日めくりカレンダー」がある。特に扇型のカード製品やコンパクトな卓上カレンダーは、手頃な値段(10ユーロ前後)でデザインもよく、プレゼントにも最適な売れ筋商品。多岐にわたる商品展開で、子どもを持つ親の間では周知されている会社なのだ。また、同社は他にも小学生向け英仏バイリンガル新聞「My_Littlle_Weekly」(計4ページ)を週に1回発行している。こちらは日刊新聞とのセットでしか購読できないが、日刊新聞の料金(低学年用は1か月8.90ユーロ)に毎月1ユーロをプラスするだけと、かなりの割安感がある。その他、割引制度はデジタル版(PDF)のみの購読や、3つのオプションから選べる契約期間にも準じて適用される。
このように多様な選択肢と割引制度を設け、新たな顧客の呼び込みにも熱心に取り組んでいる姿が伺える。

参照URL:「Play Bac社公式ホームページ」httpswww.playbacpresse.frindex.php

低学年用日刊紙「ル・プチ・コティディアン」と英語とのバイリンガル新聞 「マイ・リトル・ウィークリー」の表紙。

支持されている背景・理由

変化する顧客ニーズを迅速に察知!

単なる新聞という形態のみならず、持ち運びに便利なカードやまとめてじっくり学べる季刊誌まで、さまざまな形態の魅力ある商品群が小売店を含めて展開されている。これにより、新聞のブランドを目にする場所や接触ポイントが増え、自然と親しみがわくのと同時に、最終着地点である新聞購読者獲得へとつなげやすくなる。また、デジタル時代の要請に合わせて、アナログ(紙面)とデジタル版の両方が用意されている。もちろん、デジタルPDF版のみの購読も可能だ。英仏新聞については、英文テキストを読み上げる音声機能もあり、消費者の多様なニーズに応える努力を怠らない。このように、歴史は浅く、新聞社が母体ではないという背景を持ちつつも、さまざまなチャネルを用意したうえで、時代が求めるデジタル化などへいち早く対応。幅広い層から支持を得ているのがPlay Bac社の強みなのである。

フランス人ママの心をくすぐる3つのポイント

1.「1日10分」で子どもを飽きさせない!

低学年でも集中できる「1日10分」がポイント。楽しみながら読める適度な分量で、タイムリーな話題が散りばめられている。

2.カードからそれとも、新聞から?

思わず手に取りたくなるようなカード製品やカレンダーなど、さまざまな商品を出している。そのため、子どもの好みに合わせスタートできる。何らかの形で活字を読ませたい親たちの心をピンポイントで捉えているのだ。

3.戦略的な価格設定と地味なプロモーション

セット購読による割引はもちろんのこと、学校のほか、店頭における地道なプロモーション活動が功を奏している。

プレイ・バック社の日めくり卓上カレンダー、こちらは英単語を覚えるもの

 

近年、活字離れしている子どもでも、新聞がより楽しく読めるよう至るところにアイデアが散りばめられていますね。年齢に合わせて「1日10分」で読める分量にしたり、カードやカレンダーなど新聞以外のものを商品化したりするなど、ヒットのヒントがたくさん。是非プロモーションの参考としてください。

 

グローバルママ研究所
世界35か国在住の200名以上の女性リサーチャー・ライターのネットワーク(2017年12月時点)。企業の海外におけるマーケティング活動(市場調査やプロモーション)をサポートしている。
http://gm-ri.com/