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ブランディングはなぜ必要?事例もあわせてご紹介

だんだんと涼しい日が増えてきて、夏の終わりを感じる今日この頃。これから来る秋や冬に向けて衣替えの季節ですね。服だけではなく、カーペットや布団など、部屋の模様替えを行う人も多いのではないでしょうか。家具を買い替える、そんなときに皆さんはどのお店を思い浮かべますか?私は「お、ねだん以上。」のニトリです。低価格で品質も安心なため、引っ越しや家具の買い替えの際は毎回利用しています。
では、なぜ私は「低価格で品質も安心」と感じ 、そして「家具を買うならニトリ」と選択したのでしょうか。今回は、企業が自社のブランド価値を高め、「○○なら○○(自社サービス)」という認識をターゲットである顧客に浸透させるためのマーケティング手法の1つ、「ブランディング」についてご紹介します。


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ブランディングとは

まず、ブランディングについてご説明します。先にも述べたとおり、ブランディングは企業が自社のブランド価値を高めることで顧客にブランドを認知・浸透させるマーケティング手法です。例えば、私には「家具を買うならニトリ」という意識が浸透しています。もちろん世の中には数多くの家具店が存在しますが、その中でもニトリを迷わず選んでいます。このように、顧客の購買行動の際に自社の商品・サービスを想起させることで他社と差別化させ、迷わず選んでもらうための施策です。

マーケティングとブランディングの違い

「自社の商品・サービスを選んでもらうためということは、マーケティングと同じなのでは?」と思う方も多くいらっしゃるかと思います。そこで、マーケティングとブランディングの違いについてご説明します。まず、マーケティングとは自社から「うちの商品・サービスはとても良いです」と消費者に向けて発信し、顕在顧客や潜在顧客を増やしていく施策のことです。いかに多くの消費者に情報を届け、「欲しい」と思ってもらうために行動することが重要です。対して、ブランディングは先述したとおり、顧客から「〇〇社の商品・サービスはとても良い!」と思ってもらうための施策です。他社との差別化を図り、その商品・サービスならではの価値・イメージを顧客に想起させるのです。
マーケティングとブランディングはバランスがとても重要になります。マーケティング活動ばかりを行って、自社の商品・サービスをいくら広告やTVCMなどでアピールしていても、その商品・サービスの価値を固め、その良さを伝えられなければ意味がありません。また、ブランディング活動ばかり行って自社の商品・サービスのイメージを固めても、消費者への発信をしなければ良さが伝わることはありません。このように、どちらかばかりに注力するのではなく、両方を組み合わせて実行することが重要なのです。

ブランディングの重要性

次に、ブランディングの重要性についてご説明します。ブランディングを行うと主に3つのメリットが生まれます。

1.価格競争からの脱却

同じような商品であれば、顧客は当然安い方を購入するでしょう。そのため、競合他社と安さを競うケースも多くなっていると思います。しかし、ブランディングが確立できれば、顧客は価格に関係なくその企業の商品を購入したいため、価格競争になることはありません。例えば、スターバックスのコーヒーは他社よりは少し高めですよね。しかし、お店はいつも混みあっていて、大変人気です。「少し高いけれどスターバックスのコーヒーを飲みたい」というファンや、「コーヒーといえばスターバックス」という意識が浸透している顧客が大勢いるためです。

2.リピート率の向上

基本的な顧客の種類は、新規顧客と既存顧客の2種類です。企業は新規顧客を獲得し、いかにリピーターとなってもらうかに注力します。いくら新規顧客ばかりを獲得しても、リピーターとなる顧客がいなければ継続した売上にはつながらないのです。ブランディングが確立できれば、既存顧客がファンとなり、自社の商品・サービスに愛着を持ってくれるため、リピート率の向上が期待できます。

3.人材確保

ブランディングの確立で生まれるメリットは顧客に対してのみではありません。社内の人材確保にも効果があります。現在の求人市場は売り手市場だといわれています。売り手市場とは、求人募集が多くあり、就職・転職希望者が企業を選ぶというものです。そんな市場において、やはり優位に立てるのは名前が知られている企業です。ブランディングが確立すれば、認知度も上がり企業価値も高まるため、優秀な人材が自社を指名して入社してくれることが期待できます。さらに、従業員も自社に対しての愛着を持つようになるため、離職率も低下し優秀な人材を確保し続けることができるのです。

ブランディングに必要なこと

ブランディングを行うにあたり必要となることが主に2つあります。

1.環境分析

まずブランディングに必要なのは「環境分析」です。自社が現在の市場においてどの位置にあるのか、競合他社はどの位置なのか、また、ターゲットとなる顧客の要素についても明確にしていく必要があります。分析は「PEST分析」「3C分析」を使用します。PEST分析とは「政治的(Political)な要因」「経済的(Economy)な要因」「社会的(Society)な要因」「技術的(Technology)な要因」から仮説を立て、業界の動向を予測していくものです。そこから自社にとってプラスなこと、マイナスなことを整理していきます。次に3C分析とは、「市場・顧客(Customer)」「競合(Competitor)」「会社(Company)」の軸に沿って分析をするもので、そこから成功要因を見つけ、さらに自社の強みと弱みを理解していきます。

2.ブランドコンセプトの明確化

続いて、必要となるのは「ブランドコンセプトの明確化」です。自社の商品・サービスのメリットだけをアピールしても、顧客はファンにはなってくれません。他社がより良いものを販売すれば、そちらを購入してしまいます。それを防ぐために、自社のブランドの価値を意味付けし、共感や憧れ、信頼を得るためにコンセプトを明確化する必要があるのです。
例えば、先ほど例にもあげた「スターバックス」は「Third place」をコンセプトとしています。商品であるコーヒーではなく、顧客にとって、家でもない、職場や学校でもない新たな第3の場所を提供しているのです。美味しいコーヒー、そして居心地の良い場所を求めた人々がスターバックスのファンとなっているのです。このように、自社が顧客にどのような価値を提供し、どのようなイメージを持ってもらいたいかを明確にします。
また、価値には、「機能的価値」「感情的価値」「自己表現としての価値」があります。「機能的価値」は商品そのものの機能の価値です。「感情的価値」は顧客の感情に訴え、その企業の商品を使うことに価値があると認知させることです。「自己表現としての価値」は機能的価値、感情的価値に加え、その商品をとおして感動を体験させることです。自社の商品やブランド戦略にあったものを選びましょう。

ブランディングの事例

では最後にブランディングの成功事例と失敗事例をご紹介します。

「近大マグロ」の成功事例

まずは、今や日本中に名前を知られている「近大マグロ」のブランディングについてご紹介します。近大マグロは、その名のとおり、近畿大学が出荷しているマグロです。近畿大学は世界で初めてマグロの養殖を成功させ、その後世間に養殖マグロとしてブランドを認知させました。成功の要因は、もちろん世界で初めてマグロの養殖に成功していることもありますが、なによりそのネーミングにあります。「近大マグロ」と大学名を前面に出し、さらにはマグロに卒業証明書をつけて販売しました。「大学出身のマグロ」というブランドは、大学ならではのものです。また、卒業証明書にはQRコードが記載され、そこからマグロの生産履歴が閲覧できるようになっています。これにより、安心・安全性を示すことができました。さらに、近大マグロの価値を高めるだけではなく、「近大」と名付けたことで、近畿大学のプロモーションも可能となり、近大マグロのヒットに伴い、近畿大学の入学志願者を大幅に増やすこともできました。

「Dr Pepper TEN」の失敗事例

次に、「Dr Pepper TEN」のブランディングをご紹介します。
2011年に新発売した「Dr Pepper TEN」。この商品は、わずか10キロカロリーというもので、カロリーを気にする男性向けに発売されたものでした。しかし、海外で放送されたテレビCMでは「It’s Not For Woman(女性向けではない)」と掲げられ、さらにはこの商品のFacebookページは女性と認証されればアクセスできないというもので、男性向けを徹底していました。この女性を締め出すようなプロモーションには、女性の消費者から憤りの声があがり、ネットで叩かれる結果となりました。

 

いかがでしたでしょうか。ブランディングには、市場を分析し自社の強みを理解すること、そして何より顧客にどのような価値を提供するのかを明確にすることが重要です。私が「家具を買うときはニトリ」と想起するのは「お、ねだん以上。」というキャッチコピー、さらにニトリが提供する値段以上の価値を品質の安心・安全性から実感できているからこそだと思います。
しかし、コンセプトをいくら明確にしても、「Dr Pepper TEN」のようにメディアや広告でのプロモーションの仕方によっては、批判につながってしまうこともあります。企業のブランドイメージを損なわないようなプロモーションを心がけましょう。

 

Seto
2018年からキャリアチェンジした新人。まだまだ慣れない言葉たちに苦戦しながらも日々なんとかやっています。趣味は朗読。南国育ちですが、日本酒が好きな変わり者(と言われます)。