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リードナーチャリングとは? メリット・手法を解説

数年前から、MA(マーケティングオートメーション)ツールなどデジタルツールの普及に伴い、特にBtoB企業に有効なマーケティング戦略として「リードナーチャリング」という手法が注目されるようになりました。情報収集方法の変化や意思決定プロセスの複雑化などで従来の営業スタイルが通用しなくなった企業によって、新たな顧客獲得・売上拡大を目指して取り組みが進んでいます。そこで今回は改めてリードナーチャリングの重要性やメリット、手法をご紹介します。

リードナーチャリングとは。新規顧客獲得ばかりに目を向けていませんか?

リードナーチャリングは「見込み顧客(リード)の育成(ナーチャリング)」のことです。リードナーチャリングのひとつ手前の施策としてリードジェネレーションという見込み顧客獲得のプロセスがあります。セミナー開催や展示会出展、WEBからの資料ダウンロード、テレアポリストの購入など、少なくないコストをかけて獲得するこれらのリードですが、そのうち商談に持ち込め受注に繋がるものはそう多くはありません。むしろ、ほとんどないというのが現実ではないでしょうか。そしてまた新たなリード獲得のための施策を繰り返していませんか? 多くの企業でこうした商談に結びつかなかったリードがいわゆる休眠顧客として放置されています。

休眠顧客は本当に受注の可能性が「ゼロ」なのか

しかし、こうした休眠顧客は本当に今後受注につながることはないのでしょうか? リード獲得の背景を見ると、必ずしもそうではないはずです。セミナーや展示会などで獲得できた見込み顧客は、関連するサービスや商材に何らかの興味関心があったから、足を運んでいるからです。つまり、すぐに商談・受注に結びつく検討段階ではなかっただけだと言えます。リードナーチャリングは、こうしたすぐに商談には結びつかなかったリード(見込み顧客)に対し、メールなどで適切なタイミングで最適な情報を届け、長期的にコミュニケーションをとりながら、見込み顧客を顧客へと育成する手法のことです。継続的なアプローチによって課題への気付きを与えたり、商品・サービスの購買意欲を高めて、案件を創出していきます。

なぜリードナーチャリングなのか。従来の営業スタイルが通用しなくなった背景とは

過去の営業では、資料請求やテレアポなどで確度の高そうな顧客を獲得し、何度か商談に行って説明する対面でのアプローチが有効だったり、また顧客側も営業から収集した情報をもとに検討したりするということが当たり前ではなかったでしょうか。しかし、現在はインターネットによる情報収集が当たり前に。検索によって簡単に製品・サービスをたくさん見つけることができ、無料トライアルや口コミや評判の検索、競合比較も容易にできるようになりました。そして、独自に収集できる情報量が増えたことで顧客は以前よりも慎重に比較検討を行うようになったのです。さらに比較できる情報が多いということは購入の意思決定の期間の長期化につながりました。こうした背景のなか、営業プロセスも変化せざるを得なくなりました。顧客企業が情報を収集できる現在、営業が何度か説明に足を運んで受注といったことはまれですし、その長期の検討期間を訪問営業ですべて対応するには時間もコストもかかります。つまり営業が訪問する前に、顧客の購買意欲を高める必要が出てきたのです。そこで、効率的に営業活動を行うためにも、リードナーチャリングが注目されているのです。

リードナーチャリングの重要性。行わないデメリットとは?

さて、リードナーチャリングを行わないとどうなるでしょうか? 休眠顧客が生まれ、さらに新たなリードを獲得しまた新たな休眠顧客が生まれ、、と、繰り返すうちに、どんどん営業先が狭まり失われていきます。また、放置している休眠顧客のアプローチタイミングを逃してしまい、営業機会の損失にもつながります。先に述べたとおり、獲得できているリードは現在の検討度合いは高くなくとも商品・サービスへの関心が期待できるリードなのです。リードナーチャリングを行うことで、これらの機会損失を防ぐことが可能になります。また、最適なアプローチタイミングで商談につなぐことで、効率的な営業を行えるようになるのです。

リードナーチャリングのメリット・効果

1.休眠顧客リストを活用できる

これまでアプローチしていなかった休眠顧客リストを活用して、案件の創出ができます。これら既存のリードをきちんと活用することで、展示会出展や広告出稿などで新たなリード獲得のための費用をおさえることができるようになります。

2.営業の短縮化、効率化ができる

リードナーチャリングによって、見込み顧客の行動を可視化します。そのため適切なタイミングでのアプローチが可能になり、ニーズのない営業訪問を防ぎ、営業訪問からの長期化を防ぐことができます。

3.長期的な営業活動を仕組み化できる

顧客の購買プロセスの長期化に伴い、営業活動も長期化せざるを得ません。しかし、すべてを属人的に行おうとすると、営業の疲弊や抜け漏れ、取りこぼしにつながります。リードナーチャリングによって、顧客のステイタスに応じたコミュニケーションを、「仕組み」+「人」で対応します。設定した基準による判断で自動的な営業フォローを行えるようになります。

リードナーチャリングのプロセス

1.まずは休眠顧客の名刺をデータ化し、一元管理

リードナーチャリングを始めるために、リード情報をデータ化し一元管理しましょう。展示会で交換した名刺、資料ダウンロードで獲得した情報など、社内に眠っているリードを集めるところからがスタートになります。そうすることで情報の管理・共有がしやすくなり、整理・抽出も簡単にできるようになります。重複や不要データをメンテナンスし、ターゲット数を把握します。これが今後のリードナーチャリングの基盤となります。
※ナーチャリングツールや、名刺管理、顧客情報管理のツールの導入を検討したり、最初はエクセル等でまとめるところからスタートしても良いでしょう。

2.顧客の購買行動を分析・理解

次は、ナーチャリングのシナリオを作成する準備として、顧客の購買行動の理解です。どの顧客が成約に近いのか、アプローチすべきかといったトリガーになる行動や、そこまで育成するにはどの段階(フェーズ)の顧客にどんな情報を提供・施策を実行すれば良いのか、過去の受注データなどから傾向を調べます。ペルソナやカスタマージャーニーの作成も有効です。

ペルソナの設定については、こちらの記事でもご紹介していますのでぜひご覧ください。
ペルソナ設定のレシピ~具体例とともに~【サンプルDL付】

 3.購買行動分析をもとに、見込み顧客を分類する

1でリスト化した見込み顧客が、2で分析した購買行動のどの段階かを分類します。その際に、スコアリングを取り入れてみても良いでしょう。業種や役職、WEB上での行動(資料DL、問い合わせ、事例ページ閲覧など)に応じて得点を付与していくことで、顧客のフェーズが分類され可視化できます。

4.アプローチするシナリオを設計する

次に、どの段階の顧客にどんなアプローチをするか、シナリオを設計します。そして、どのステイタスになったら営業にパスするかも事前に決めておきます。アプローチ方法には、メルマガやステップメールなどのメールマーケティング、ホワイトペーパー、セミナー、WEBサイトの記事などがあり、特にメールは、もっとも基本的で手軽に行える手法です。

ステップメールについては、こちらの記事でもご紹介していますのでぜひご覧ください。
【入門】ステップメールとは?メルマガとは違う書き方とシナリオ設計の方法を解説
【ステップメールの書き方】例文テンプレートを事例別にご紹介!

5.PDCAをまわす

上記シナリオを実行し、営業につないだら、そこまでのシナリオとアプローチが適切だったか確認します。途中の施策の反応や、顧客訪問をした営業からフィードバックをもらい、シナリオの見直し、場合によってはカスタマージャーニーの修正もします。こうして、実際の行動をもとに、より受注につながるシナリオの精度を高めていきます。

重要なのは、コンテンツの充実とエンゲージメント向上

いかがでしたでしょうか。重要なのは見込み顧客と理想的なコミュニケーションを実現することです。そのために、オウンドメディアやホワイトペーパーなどのコンテンツを充実させ、その顧客の状況に応じた興味喚起につながる情報を継続的に提供すること。そして、そうした情報提供によって、顧客から信頼を獲得し、エンゲージメントを高めることが、顧客との強固な関係性につながるのではないでしょうか。もちろん、理想のかたちをすぐに実現することは難しいですが、改善しながら継続的に施策を続けていきましょう。

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【基本】コンテンツマーケティングとは? その種類とメリット・デメリット

ishi
元編集ディレクター。2017年秋よりマーケティング部に異動してマーケティングストーリーラボ編集長に。慣れないマーケティング用語に悪戦苦闘中です。