【基本】マーケティングとプロモーション~4Pと事例をご紹介~
昨今、マーケティングの重要さが謳われています。そんななかで、「ぼんやりとしかマーケティングを理解していない……」「マーケティングとプロモーションの違いがわからない」と感じている人も数多くいます。
今回はベースとなる基礎的な知識についてみていきましょう。
1.マーケティングとは?
マーケティングとは簡単にいうと、商品とお金の交換がWin-Winになることを目的とした企業活動です。欲しいときに欲しいモノを届け、消費者にとっても企業にとってもハッピーな結果をめざすということです。
では、マーケティングを成功させるために何をすればいいでしょうか?
マーケティング戦略に4Pという手法があります。
4Pとは、Product(商品)・Price(価格)・Place(流通)・Promotion(販売促進)の略です。
この4つのPの最適な組み合わせを考えることが、マーケティング戦略を立てる際の重要なステップになります。欲しいモノを、ちょうど良い値段で、必要な場所で、欲しいときに届けることができたら、マーケティングは成功したといえるでしょう。これら、4Pのそれぞれの要素を組み合わせることを「マーケティング・ミックス」といいます。たとえば、Product×Promotion×Priceだと、ある新商品を売るためにCMというプロモーションをうって1000円で売るといったようなことです。
マーケティングとは何かご理解いただけましたでしょうか?
では次に4Pのうちの1つ、プロモーションについてみてみましょう。
2.プロモーションとは?
プロモーションとは、消費者を購入に至らせる経路のことです。つまり、どう売るかということです。
プロモーションには大きく分けて、PR活動・広告活動・SP活動・セールス活動の4つがあります。
①PR活動
PRはPublic Relationの略で、2012年にアメリカPR協会が
“Public relations is a strategic communication process that builds mutually beneficial relationships between organizations and their publics.”
(Public Relationsとは、組織と組織に関係する社会に互いに有益な関係をもたらす戦略的コミュニケーションプロセスである)Public Relations of Society of America https://www.prsa.org/all-about-pr/
と定義しました。
たとえば、商品をニュースとして取り上げてもらうための新商品発売会などがあります。PR活動は、ほかのプロモーション活動よりも低コストで第三者のメッセージとして伝わり、信頼性が高まりますが、内容をコントロールできないというリスクもあります。
②広告活動
広告の主要な媒体は、マス広告(TV・ラジオ・新聞・雑誌を媒体とする広告)・インターネット広告・OOHがあります。TV CMやSNS広告、電車の中吊り広告などがそれら広告の例です。内容もコントロールでき、たくさんの人に訴求できますが、コストが高いというデメリットもあります。
③SP活動
SPはSales Promotionの略で、マス広告の媒体以外を活用する広告活動のことです。たとえば、商品ディスプレイや試供品配布などがあげられ、購入意向がある顧客を購入に至らせる活動になります。購入に直結するので売上効果は高いですが、商品当たりの費用が高くつくという面があります。SPだけでプロモーションをうつことは稀で、ほかのプロモーションと組み合わせることが常です。
④セールス活動
セールスは人的販売のことで、直接会ったり、電話やインターネットでのやりとりを行ったりして購入に至らせる営業活動です。消費者と対面でコミュニケーションがとれるので、消費者それぞれにあわせたプロモーションができます。
プロモーションとはマーケティング戦略の4Pの1要素で、大きく分けて4つのプロモーション活動があることをご理解いただけましたでしょうか?
次は、プロモーション戦略を考える際のポイントについて考えてみましょう。
3.プロモーション戦略を考える際のポイント
第2章で述べた4つの活動でプロモーション戦略を考える際に、それぞれの特徴を捉え、顧客に合わせて最適なプロモーションを選択することで、より効果的なプロモーションをうつことができます。
PRのポイント
①プレス・リリース
PRとして多くニュースで取り上げてもらうことで、よりたくさんの人に届けることができます。そのためには、社会的な視点から紹介することと話題性のある紹介をする必要があります。
つまり、商品のターゲットが持つ社会的な問題を解消できるというメッセージということです。たとえば、ペットボトルを捨てるときに場所をとり、すぐにゴミ箱からあふれてしまうという問題に対し、潰して捨てることのできるペットボトルを生み出した事例などです。このように社会的問題を解消し話題性をもたせることで、ニュースとして取り上げられ、たくさんの人に商品を訴求することができます。
②新商品発表会
マスコミ向けに新商品を発表することもPR活動にあたります。
たとえば、有名なタレントを起用したり、話題性のある場所で開催したりすることで、商品以外でもニュースになり、TV番組や新聞で取り上げてもらうことができます。
広告のポイント
広告はほとんど広告代理店や広告会社などが制作します。企業側がプロモーションの意図を正確に伝え、広告制作側が企業にプレゼンするという流れになります。広告は、「注目される内容・表現」「商品の情報を伝える」の2点が踏まえられていることが必要です。たとえば、有名タレントをイメージキャラクターに起用することで「広告そのものが注目」される、キャッチコピーで「商品の情報を伝える」などです。これらを広告案に踏まえているかがプロモーションの結果につながっていきます。
SPのポイント
商品を購入するか迷っている人を後押しするのがSPです。「どういう理由で、どんな購入を躊躇するのか」を理解することで、より効果のあるSPをうつことができます。たとえば、「新しい化粧品が気になっているが、以前失敗したことがあるので購入を迷っている……」という人には化粧品のサンプルを配ることで、購入に至らせることができます。
セールスのポイント
セールスは、対面で会う・電話やインターネットを通して買い手と売り手がコミュニケーションをとるといった、人を通すプロモーション活動です。そのなかで買い手が購入を検討しているかを見極め、商品を勧める・購入を提案するという流れにつなげていきます。相手とのコミュニケーションのなかで、購入意思をはかり、購入へと至らせることが重要となります。
それぞれのプロモーションで戦略を考えるポイントを紹介していきましたが、いかがでしたでしょうか?
次に、マーケティングとプロモーション施策の成功事例をご紹介します。
4.事例
「無印良品」のマーケティング
株式会社良品計画のブランド「無印良品」は、製品(Product)面で創業当初から「素材の選択」「工程の点検」「包装の簡略化」の3つのコンセプトを大事にしています。たとえばコットンなら、手作業で摘まれた国内産の綿を使用し、管理された工程で、無駄な包装なく販売されています。加えて、「無印良品ネットストア」や実店舗以外でも商品を販売するなど、流通場所(Place)を店舗以外にも置きました。
また、販売促進(Promotion)面ではインターネットとソーシャルメディアを活用して成功させました。SNSで原材料地の画像をアップしたり、工場でもインタビューを掲載したりすることで、プロモーション面でも「素材の選択」「工程の点検」「包装の簡略化」の3コンセプトを軸にして商品をアピールしています。店頭プロモーションでも、商品の吊り広告のなかに3コンセプトを盛り込んで訴求しています。プロモーションで伝えたい情報を明示した施策を行うことで、商品・ブランドイメージを確立させました。
このように明確なコンセプトがうち出された、Product×Promotion×Placeのマーケティング施策で無印良品というブランド価値向上に成功し、さらに多くのファンを獲得することができました。
参照:
Insight for D 「EC×リアルを成功させた無印良品 [前編] -顧客可視化までの道のり」 https://d-marketing.yahoo.co.jp/entry/20161121427172.html
What is MUJI? https://www.muji.com/jp/about/?area=footer
5.まとめ
今回は、マーケティングとプロモーションの違いをベースにお伝えしました。
日々変わるマーケティングの世界で、4Pから派生した4Cというものもあります。
4Cとは、Customer Value(顧客価値)・Cost(顧客にとってのコスト)・Convenience(顧客利便性)・Communication(顧客とのコミュニケーション)の略です。
4Pは商品を売る側の視点から提唱された考え方に対し、買う側の視点から捉えたものが4Cになります。4Cは、より顧客を軸に考えるようになったといえます。
社会の変化にあわせて変動するマーケティングの世界で、企業は常に何を軸と置くのか、考えていく必要があります。
参照:
Urumo! 「本当に知ってる?マーケティングにおけるプロモーションとは」 https://www.innovation.co.jp/urumo/promotion/
参考文献:「この一冊ですべてわかる マーケティングの基本」 著:安原智樹(日本実業出版社)
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しろ
2019年度入社の新卒。マーケティングやデジタルについて日々勉強中。おんせん県出身で、大学ではイギリス文学を専攻。ハマり性の飽き性で、趣味がコロコロ変わります。