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カスタマージャーニーで何がわかる?基礎知識と作成方法を解説

マーケティング施策を成功させるためにきわめて重大な要素は、顧客の行動や思考・感情を正確に把握していることです。顧客を理解していることで、どういったタイミングでどのようなメッセージを送れば喜ばれ、購買意欲が高まるか、根拠をもって考えられるようになります。その結果、マーケティングの効率改善や成果の最大化を目指すことができます。
ここでは、顧客理解の手法として企業から注目されている「カスタマージャーニー」について、基礎知識からカスタマージャーニーマップの作成方法まで解説していきます。

カスタマージャーニーとは「顧客の購買プロセス」のこと

カスタマージャーニーとは顧客が商品・サービスやブランドを選択して購入に至るまでのプロセスのことで、直訳すれば「顧客の旅」という意味になります。
メールや商品サイト、店頭での販促活動など、購買プロセス全体における顧客との接点はさまざまです。マーケティング施策を一貫性のあるものにするためには、それぞれの接点の立ち位置と果たすべき役割を把握している必要があります。カスタマージャーニーからこれらを知ることで、接点ごとに顧客が必要としている情報を適切に提供していくことができます。

しかし、ひとくちに「カスタマージャーニーを知る」といっても、そう簡単に顧客の購買行動全体が把握できるわけがありません。そこで、用いるのがカスタマージャーニーマップというフレームワークです。
カスタマージャーニーマップは最初に商品・サービスの購入やサイトの閲覧といった顧客のゴール(到達地点)を設定し、現状の各接点とそれに対する感情や思考を調査して時系列順にマッピングするフレームワークです。このマップを作ることで、顧客と自社がどういった接点を持ち、どのような体験を提供すればゴールに至ってもらえるかが「見える化」します。現状のマーケティング施策の課題を洗い出す、また、新たにマーケティング施策を考えるうえで個々の顧客接点に横ぐしを刺すような方針として利用することで、一貫性のある適切なマーケティングが可能になります。

なぜ今カスタマージャーニーが必要なのか

購買行動の複雑化

では、なぜカスタマージャーニーを知る必要があるのでしょう。
生活者の購買行動は、10年ほど前と比べてもきわめて複雑化しているといえます。
たとえば、以前であれば商品・サービスについて情報を得るための接点は、テレビCMや雑誌・新聞といったマス広告が主でした。しかし、現代において私たちはスマートフォンやタブレットという個別のデバイスから情報にアクセスすることができます。商品を吟味したければ店舗にいながら口コミサイトを見られますし、すぐに必要なものがあれば通勤中にワンクリックで買い物が終了します。顧客と商品・サービスの接点が増加したからこそ、複雑化・個別化した購買行動に適したマーケティング施策を行わなくてはなりません。徹底した顧客理解がそれを助けることから、カスタマージャーニーに注目が集まっています。

テクノロジーの進歩

また、一人ひとりがデバイスを片手に情報にアクセスすることができる現代は、裏を返せば個別の顧客、「個客」へのアプローチが可能になった時代だと捉えることもできます。テクノロジーの進歩によりデータ収集や分析の量と質は向上し、顧客の行動データを高い精度で入手できるようになりました。しかし、せっかく顧客の行動をデータとして手に入れられても、活用できなければ宝の持ち腐れです。以前より顔が見えるようになった顧客に対するマーケティング施策に、その行動情報を活用していくための設計図になる点も、カスタマージャーニーへの関心が高まった理由といえるでしょう。

カスタマージャーニーを作成するメリットとは

顧客視点に立った施策立案が可能になる

顧客が自社の商品やサービスを購入する際のプロセスを、具体的かつ正確にイメージできている人は、マーケターにもそれほど多くないでしょう。これが難しいのは、サイト担当やマスマーケティング担当というように接点ごとに担当が分かれ、自身の担当する接点の範疇だけで施策を考えてきたためです。
カスタマージャーニーを把握することで、顧客の購買プロセスの全体を時系列に沿って可視化すれば、“担当する接点”での施策という視点から離れて、“どの時点でどういった意識をもって顧客が接触する接点か”という顧客視点からマーケティング施策を考えていくことができるようになります。それにより、顧客がそのタイミング・接点で求めている情報でアプローチすることが可能になり、関心を引いたり購買意欲を高めたりするという成果につながります。

マーケティング施策に一貫性が生まれる

カスタマージャーニーマップを作成する際、顧客に関する広範囲の情報が必要になるため、マーケティング担当以外にも営業や開発、店舗担当といった複数の部署を横断したプロジェクトにする必要があります。プロジェクトに複数の関係者が参加すれば、話し合う中でカスタマージャーニーに対する認識が統一されます。それにより、実際にマップをもとに施策を行う場合にも、的確かつ一貫性のある意思決定が可能になります。
また、顧客の購買行動を可視化して社内でマップを共有することで、プロジェクト参加者以外のメンバーも認識を統一できます。自分が担当している接点が顧客の購買プロセスのどのあたりに位置するかを理解すれば、より顧客の目的とメリットを意識したコンテンツの制作につながります。

カスタマージャーニーマップの作り方

カスタマージャーニーマップとは、ペルソナの購買プロセスを時系列で可視化するフレームワークです。今回は、カスタマージャーニーマップ作成の最も基本的な方法について解説していきます。

作成フローは以下の図のようになっており、まず事前にフレームを作成してから調査とマッピングを行っていきます。

 

条件設定

①ペルソナを設定する

まず、カスタマージャーニーマップに取りかかる前にペルソナを設定します。
ペルソナは「30代女性」といった大きな枠組みではなく、細かい項目を立てていくようにしましょう。たとえば「世帯」「職業」「住まい」などの静的な情報から、より細かく動的な「通勤時間」「休日の過ごし方」「よく接触するメディア」「ファッション」といった項目など、具体的なひとりの人格をつくることで行動や心理を調査する際にもより実際に即した対象から情報をつめることができます。
また、一度ペルソナを設定したらヒアリングやアンケート調査により、ペルソナの実態とのギャップを訂正していきましょう。

より詳しいペルソナ設定の方法については、こちらの記事をご覧ください。
ペルソナ設定のレシピ~具体例とともに~【サンプルDL付】

 

②ゴール(到達地点)を設定する

次に、カスタマージャーニーのゴールを考えていきます。
前の項目で設定したペルソナに最終的にしてほしい行動は何か、は企業や商品・サービスの内容により違います。基本的なゴールとして例にあげているのは「購入」になりますが、「お問い合わせ」「リピート購入」「情報発信」など、他にもさまざまなゴールが想定できます。設定したゴールにより調査すべき情報や行うべき施策が変化するため、慎重に決定すべき項目です。

 

③フレームの縦横軸を設定する

最後に、実際に調査した情報をまとめるためのフレームを設定して、マップの前提となる条件は一通り決定したことになります。
フレームに用いる一般的な要素は以下の通りです。

ここで大切なのは、カスタマージャーニーのゴールはさまざまに設定できるため、それに合わせてフレームの要素も変えていく必要があるという点です。たとえば、「リピート購入」をゴールにした場合、横軸に「商品の利用」などの段階を加えるなど、目的に合ったフレームを作成しましょう。

情報収集

④顧客情報を調査・収集する

実際にマップを埋めていく際、まず行うのがペルソナの行動調査です。
商品・サービスなどの利用について、定量調査と定性調査を併用して捉えていく必要があります。
定量調査では、アンケートやアクセス解析によりペルソナの行動パターンを捉えます。定性調査では、行動観察やヒアリングから実際の様子を知ることで、感情面の裏付けとなる情報を得ることができます。

調査方法についての詳しい説明は、こちらの記事をご覧ください。
【基本】マーケティングリサーチとは?成功事例と具体的な調査方法

マッピング

⑤ラフにマッピングしてみる

情報を収集しペルソナの行動が分かってきたら、作成したフレームに沿ってラフにマッピングしてみましょう。
記入の順序は【行動→接点→思考・感情→課題】をおすすめします。
ペルソナの行動を起点に、その際に接触する接点とそれによる思考・感情の変化を捉え、最後に課題を洗い出して施策の検討につなげます。

 

⑥マップ上の情報を整理する

ラフなマッピングが終わったら、情報を整理していきます。
行動や思考・感情をストーリー化するつもりで、つながりを考えていきましょう。
感情のまとめ方として、購買意欲の高まりを折れ線グラフで表現するなど、より直感的に理解できるような工夫をすると、“使える”マップになっていきます。

作成を失敗しないために

組織横断で制作者を集める

商品・サービスと顧客との接点はさまざまに存在しています。また、顧客の購買行動もさまざまです。それぞれの接点の担当者が集まる、または、まったく関係のない部署の人間をプロジェクトに含めることで多くの視点を取り入れれば、より正確なカスタマージャーニーを捉えていくことができます。
加えて、メリットとして述べたように認識の統一にも役立つため、一部のマーケティング担当に限らず組織横断でのワークショップを行い、カスタマージャーニーマップを作成することをおすすめします。

データから顧客理解を深める

カスタマージャーニーは設定したペルソナの実際の行動と感情に基づいたものです。「カスタマージャーニーマップの作り方」でも述べたように、定量調査・定性調査の両方を駆使して集めた情報をもとに作成します。
しかし、作成を進める中で担当者の恣意的な判断がはさまれてしまう失敗は少なくありません。それでは顧客への理解が深まることもなく、マーケティング施策を考えるうえで役立つ資料を作ることもできません。
データを基にしたマッピングを行い、根拠となるデータを集められなかった部分に関しては仮説検証を正しく行いましょう。

ラフなマッピングから始める

データを用いてマッピングしましょうとは言いつつも、カスタマージャーニーマップの作成は情報の収集も含め複雑な作業です。最初から精度の高いマップを作ろうと考えると、全体を可視化するのに膨大な時間と労力がかかるうえに、効率的とはいえません。
まずは、可能な範囲での情報を用いて全体像を捉えてしまいましょう。その作成過程で、顧客の行動について何が理解できておらず、どういった情報が不足しているかが見えてきます。この発見を生かしつつ、はじめに作成したマップを草稿として情報の集め直しや全体の調整を行い、ブラッシュアップしていきましょう。

バージョンアップを重ねる

また、カスタマージャーニーが注目される背景には、情報行動や購買行動が複雑化したことがあげられると前述しました。情報や購買にかかわる行動は移り変わりも激しくなっています。顧客が一度作成したマップ通りの行動をその後ずっと続けるわけではありません。新しい情報サービスやデバイスが普及すれば、1年といわず数カ月で劇的に情報行動が変わることだってあります。
期間を区切って、またはキャンペーンごとなど、マップは繰り返し見直してバージョンアップする必要があります。そのため、マップの見直しの機会を組織内でルーティーンとして規定しておくことが好ましいです。

まとめ

今回は、カスタマージャーニーについて基本知識とマップ作成の手法をお伝えしました。
マップ作成において大切なことは、ひとりよがりにならないよう作成体制や情報収集の段階から考えること、まずはラフにマッピングしてみてからバージョンアップしていくことです。カスタマージャーニーを把握すれば、顧客理解が深まるだけではなく、社内で一貫したマーケティング施策を打ち出していくことが可能になります。個客との接点が増加した今、その接点ごとにより良い出会いができるよう活用していきましょう。

 

ついたち
2019新卒で入社して半年。アクセスデータ解析の細かさに惹かれて、デジタルマーケティングに興味津々。多趣味なので、いろいろな話に相づちを上手く打てます。