マーケティングストーリーラボ(MSL)

CONNECT THE STORIES, TO LIVE AND LONG ENGAGEMENTS “生きたStoryを感じる”「場創り」と「コンテンツ創り」

News Update

デジタルマーケティングで目指す「個客」志向 ~感覚値で言う「顧客のために」から「顧客中心ビジネス」へ~

最近、「明治 ザ・チョコレート」の話題が目につきませんか?

その斬新なパッケージデザインをスーパーなどで目にしてハッとした方もいらっしゃるのではないでしょうか「素敵~♡」と目をひかれつつ、老舗メーカー明治の商品と気づかなかった方もいらっしゃることでしょう。

なかなか社内決裁がおりず、斬新な新商品に反対する勢力(?)に対して「あなたはこの商品のターゲットではない」とリーダーが論破したというエピソードにも注目が集まりました。

チョコ

 

マーケティングコミュニケーション事例から思うこと

私個人としては「BEAN to BAR」の実現までのストーリーの打ち出しの見事さに、そしてイマドキなマーケティングコミュニケーションの設計に、とても勉強させられました。また、カカオ豆という原材料の特殊性(先進資本国と発展途上国の経済格差、その是正をめぐる「南北問題」、という視点もある)を鑑みると、カカオにこだわること、そしてこだわった結果の商品の価格づけなどの面では賛否両論あったろうに…と思いを馳せました。商品開発ご担当およびマーケティングご担当の方たちの苦労がしのばれます…。

とはいえ、そういったことを微塵も感じさせないさわやかさで、この新商品の原材料を調達するベネズエラにおいては「メイジ・カカオ・サポート(カカオ生産国や農家への支援や独自の取組み)」を実施しています、とさらっとPR。世界的な社会問題に真っ正面から向き合い、やれることはやっている、という形で課題認識の存在を表現、誇大も隠蔽もなく表現しているように、私には思えました。

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(株)明治の事例は上図のステップをすべて踏まえて、最先端の企業コンセプトにまで到達している事例と言えそうですが、皆様の担当されているサービス(ブランド)のマーケティング環境はいかがですか。

今の日本の企業の組織体制と文化において、デジタルトランスフォーメーションがうまくいっていない、取り組みを始めたばかり、始めたはいいけど部門の壁があって組織内横断的に(顧客の視点になり代わって)施策を打てていない、という声を企業のご担当者様から頻繁にお聞きします。

他にお聞きするような声を下記に列挙します。

■外資系で本国の厳しい制約があるなか、どのようにデジタルへの取り組みを実践すればよいのか分からない

■メーカーにおけるデジタルの活用は、どこまで踏み込んでいくべきなのだろうか

■全く関係のない部署からECを担当するように言われ、売上を上げるために何でもしてみたいと思っているが…(どんな施策があって、何をどの基準で選べばよいのか、まるで分からない)

■新年度からデジタル対応の新組織担当者に任命された

そういった企業においては、まず「顧客志向」というステップをクリアしなければなりません。企業都合ではなくて、顧客志向に考える、ということ。このステップを経ることで、ブランドの位置、顧客との関係性が本当の意味で変化します。

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「顧客のため」は、耳ざわりのよい言葉。安易につかうと危険!?

まずは顧客志向をしているのであれば

・デジタル社会への変革を乗り切るビジョン設定→企業体質変革

・モバイルファースト対策

・四六時中携帯環境下での購買意思決定。プロセスの変化への対応

などへの施策がマストで行われることと思います。

そして施策の結果として起こる内向きの変化は、“組織文化のデジタル化”。トライ&エラーで新しいことへの挑戦が社内で讃美されるようになったり、「Done is better than Perfect」(完璧であるよりもまず終わせる方がいい)となったりもします。

そして何より、統合マーケティングを志向するようになります。そうでないと、「うちのお客様には変わらぬ価値の提供をすべきだ」「現在の売上上位顧客の満足が大切だ」と過去の手触りや、感触で持ち出す「顧客のため」的な発言力が社内で力をもってしまいます。

これでは本当に顧客志向のマーケティングコミュニケーションはできません。今現在、顧客一人ひとり、今日の午前中買ってくださったお客様が、いったどのような暮らしをしてどのような情報収集行動をとり、どんな趣味嗜好をもっていて、いつどこでどのようなことをしているなかで自社サービスに価値を感じてもらえているのか…。それぞれをデータでしっかり把握、One to Oneにコミュニケーションしようとすることこそ「顧客志向」の統合マーケティングであり、デジタルマーケティングであり、その結果として「顧客志向」と言い切れるのです。

データから導く「カスタマージャーニー」&「ペルソナ」、結果はROIで評価

日本ではweb業界で、そのUI/UX向上のためにワークショップ形式で関わるメンバーが「カスタマージャーニー」を描くことが多かったのですが、今は「MUJI Passport」「UNIQLO」を代表例に店舗とWeb、SNSといった各接点をユーザーがどう行き来してどのような消費行動(意欲の変化)が生まれているのか、絵に描くようになりました。

これらの絵を描く前提には当然ながらデジタルマーケティングがあり、顧客セグメントがあり、ペルソナがあります。一度これを策定すると、マーケティングコミュニケーションの各側面でこれをベースに話をすることができるようになるでしょう。

すなわち、ブランド(サービス)で1つのアカウントをもってSNS運用しようとするなら、その投稿ルールやコミュニケーションのトンマナを左右するのはこのペルソナであるべきですし、メルマガを配信するタイミングも同様です。これを徹底することで各施策のROIに変化が現れ、予算配分の指針を得られるようになるのです。

YOSSY

ピカピカの1年生(になるはず)の息子を溺愛し、旅と家族と友達とお酒を愛するコンテンツマーケティングプランナー。
デジタルマーケターとしては駆け出し。…でも重回帰分析まわせるようになったし、もともと「トライ&エラー体質」だし!!笑 開き直ってるも~ん。