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【基本】デジタルマーケティングの始め方~目的や手法をご紹介~

「デジタルマーケティング」と聞くと皆さんはどんなことを思い浮かべますか?Eメール?Webサイト?SNS?と、さまざま出てくるかと思います。「どんなものかは知っているけれど、何から手をつけていいか分からない」、「やってみてはいるけど成果が見えない」という担当者の方も多いのではないでしょうか。
今回は、デジタル化が進む近年、企業の売上UPのためには欠かせない「デジタルマーケティング」について、その始め方を事例とあわせてご紹介していきます。

デジタルマーケティングとは?

デジタルマーケティングとは、その名のとおりデジタルを通じてマーケティング活動を行うことです。このデジタルは、次の4つを指します。
①PCやスマートフォン、タブレットなどの「デジタルデバイス」
②SEO対策やリターゲティングなどの「デジタルテクノロジー」
③SNSやWebサイト、ECサイトなど、企業と消費者の接点となる「デジタルメディア」
④デジタルデバイス、デジタルテクノロジー、デジタルメディアを利用することにより蓄積される「デジタルデータ」
この4つを活用してマーケティング活動を行うこと、すなわち「商品・サービスが売れる仕組み」を作ることを「デジタルマーケティング」といいます。Webサイト、ECサイトの閲覧・アクセス履歴のデータを収集・分析することで、顧客の求めるニーズを素早く把握・可視化することで最適なマーケティング活動を行えるのです。

Webマーケティングとの違い

デジタルマーケティングという言葉同様、よく聞くものとして「Webマーケティング」があります。同じものじゃないの?と思う方もいらっしゃるのではないでしょうか。実は、この2つは扱う範囲が異なります。Webマーケティングは、Webサイトをチャネルとしたマーケティング活動であり、そこにスマートフォンやアプリなどは含まれていません。あくまでWebサイトを活用したマーケティング活動なのです。対するデジタルマーケティングは、先述したとおりWebサイトを含め、スマートフォンやアプリ、SNSなど広い範囲に展開するものです。つまり、デジタルマーケティングの中にWebマーケティングが存在するといえます。図にすると以下のとおりです。

デジタルマーケティングは必要?

では、デジタルマーケティングはなぜ必要なのでしょうか。

デジタルマーケティングの目的

近年、スマートフォンやタブレットなどの普及により、消費者はインターネットを通じて、常に欲しい情報を探すことができるようになりました。また、それにともないインターネット上の情報も膨大なものとなり、消費者は常に情報の取捨選択を行っています。そのため、企業からの情報が届きにくくなっているのです。消費者から「欲しい情報」と思ってもらうために、消費者・顧客のニーズや好みを把握し、それにあわせて一人ひとりに最適なアプローチを行う「One to Oneマーケティング」の必要性が増しているのです。
そこで重要となるのが「デジタルマーケティング」です。消費者・顧客がどんな人で、どんなニーズがあるか、データを基に分析し、企業の情報を最適な手法・タイミング・頻度で届けること重要なのです。

デジタルマーケティングを始めるためには

4つのステップ

デジタルマーケティングを始めるには、主に4つのステップがあります。

1.ゴールの明確化


まず、何のためにデジタルマーケティングを行なうかを考え、その目標を明確にします。目標設定の際は、まず対象の商品・サービスを決め、そのマーケティング活動の中で、デジタルマーケティングがどのような役割を果たすかを定義します。次に成果を測る指標と数値目標を決定します。例えば、「会員数を15%増やす」「問い合わせ数を25%増やす」などです。ここが定まっていないと、方向性が定まらず失敗する可能性かあります。

2.STP分析

次にSTP分析を行います。STPとは「Segmentation(市場細分化)」「Targeting(市場の決定)」「Positioning(自社の立ち位置)」の3つの頭文字をとったものです。まず、「Segmentation」にて市場全体をニーズの似ている顧客層に分類します。これは商品・サービスのコンセプトを明確にする際に用います。次に、「Targeting」です。Segmentationで細分化された市場の中で、どの市場を対象とするかを決定します。Targetingには「市場ガバレッジ戦略」という3つの戦略があります。
①無差別型
特定のターゲットを決めずに不特定多数の消費者に向けて、共通の商品・サービスをアピールする戦略です。多くの消費者へ訴求はできますが、ニーズが多様化する近年では、売上に繋げることは難しいかもしれません。
②差別型
複数の市場セグメントに対して、それぞれのニーズにあわせた商品・サービスをアプローチする戦略です。売上には繋がりますが、セグメントごとに異なるマーケティングが必要なため、コストがかかる可能性があります。
③集中型
1~3つ程度の少数の市場セグメントにターゲットを絞り経営資源を集中させる戦略です。広範囲の消費者への訴求はできませんが、特定の市場セグメントにおいては高いシェアを獲得できる可能性があります。
この3つの戦略から、自社の戦略に沿ったものを選びます。
最後に「Positioning」です。Positioningはターゲットとした市場セグメントにおいての自社の立ち位置を決定するものです。消費者からどのようなブランドとして認知されたいかを「重要性」「独自性」「優越性」を意識しつつ考えます。このとき「ポジショニングマップ」を用いると作業を効果的に行えます。以下の図のように、競合他社のポジションを確認し、自社のポジションを考えます。

3.カスタマージャーニーマップの作成

商品・サービスと出会った顧客が、実際に購買するまでの行動や心理状態を時系列で把握し、明確化したものを「カスタマージャーニーマップ」といいます。カスタマージャーニーマップの作成には、まず「ペルソナの設定」が必要です。ペルソナは性別、年齢、職業など具体的に設定することが重要です。
ペルソナの設定方法はこちらをご覧ください。
ペルソナ設定のレシピ~具体例とともに~【サンプルDL付】:https://msl.yuidea.co.jp/knowledge/2810
ペルソナの設定が完成したら、次にそのペルソナの行動を想定していきます。どこでどのように認知し、何をきっかけに購入したのか、仮説を立てます。このとき、ペルソナの行動をフェーズごとに分けて考えましょう。例えば、「認知」「興味・関心」「検討」「購入」のように設定します。フェーズを決定したら、ペルソナの行動を洗い出します。この作業は一人で行うと考えが偏るため、複数人で行うことを推奨します。次に、仮説を立てたペルソナの行動を検証します。顧客にヒアリングしたり、アンケートをとって検証していきます。仮説がずれていた場合は、ここで修正してきます。最後にフレームワークを決定し、カスタマージャーニーマップの完成です。

4.KPIの設定

続いてKPIを設定します。KPIとは、「Key Performance Indicator」のことで、「重要業績評価指標」や「重要目標評価指標」と訳されます。これは、施策に対する評価を計測するために必要です。KPIを設定することで以下のようなメリットがあります。
・目標の進捗が可視化できる
・施策に対する評価が明確になる
・問題点が洗い出せる
・達成感が得られ、モチベーションアップにつながる
KPI設定のコツについてはこちらをご覧ください。
Web担当者が不幸になるKPI -オウンドメディアのKGI・KPI設計3つのコツ-:https://msl.yuidea.co.jp/content-marketing/ownedmedia/788
これらの主な4つのステップを経て、デジタルマーケティングを実行します。
では次に、デジタルマーケティングの主な手法を4つご紹介します。

主な手法

1.Eメール

まず、Eメールマーケティングとは、メルマガや広告メールなどでプロモーションを行ったり、Webサイトへの誘導を図る手法です。このメリットは、能動的、かつ直接顧客にアプローチできることです。顧客の行動に関係なく、企業側から情報を発信することができます。例えば、購入履歴から類似商品の案内を送付したり、消耗品であればそれがなくなる時期にあわせて購入を促すメールも送付できます。最近では、企業のLINEも普及し、メールではなくLINEでのアプローチも増えてきています。利用者も多く、メールよりもチェックが気軽にできるLINEは、今後重要となる施策として注目されています。

2.Webサイト

消費者の多くが、購買前の情報収集の場として「Webサイト」を活用しています。ここをうまく利用することが、自社の商品・サービスの認知度アップや売上アップには欠かせません。では一体どのように活用すれば良いのでしょうか。2つご紹介します。
①集客施策
WebサイトはEメールとは違い、消費者がサイトにアクセスしなければ情報が届きません。そのため、消費者にサイトに来てもらうための工夫が必要となります。その代表的な施策が「SEO対策」と「インターネット広告」です。
「SEO」とはご存知のとおり、「Search Engine Optimization」の略で「検索エンジン最適化」のことを指します。インターネット上でキーワード検索された際に、上位のページに自社のWebサイトが出てくるように、コンテンツの内容や構成を工夫し、アクセスを増やす施策が「SEO対策」です。
SEO対策についてはこちらをご覧ください。
コンテンツSEO、WEB集客なんて簡単だ!:https://msl.yuidea.co.jp/content-marketing/seo/930
次に「インターネット広告」とは、インターネット上に出稿する広告を指します。種類もさまざまあり、用途によって選ぶことができます。
・リスティング広告
インターネットで検索した際に、検索されたキーワードに関連して表示される広告です。キーワードごとに出稿でき、また、配信ターゲットも細かく設定することができるため、比較的安価な予算から取り組むことができます。初めてインターネット広告を利用する方にはこちらがオススメです。
・ディスプレイネットワーク広告
Webサイト内に表示されるバナー広告です。広告を表示させるサイトのテーマやターゲットを設定することができるため、コンバージョンしやすいのが特徴です。訪問者を追いかけて表示される「リターゲティング広告」もこれにあたります。
・ネットワーク広告
複数のWebサイトを集めてネットワークを形成し、その中でさまざまなサイト上に広告を掲載する仕組みです。この広告を利用すれば、各媒体との手続き等は事業者が代行してくれるので手間が大幅に省けます。また、自動でコンバージョン率の高い媒体を選出してくれます。
・動画広告
その名のとおり動画の広告です。YouTubeで動画を見ているときにときどき表示される広告動画はこれにあたります。動画は商品・サービスの魅力をストーリーで伝えることができますが、広告出稿費にプラスして動画制作費が発生するため費用がかかります。
・ネイティブ広告
記事やコンテンツ内にとけ込むように表示される広告です。「PR」や「AD」といった表記がある広告です。広告らしさがないため、比較的敬遠されずに消費者をサイトへ誘導することができます。しかし、広告だと認識されにくいため、すぐにコンバージョンにつなげることは難しいと考えられます。
②コンバージョン獲得施策
Webサイトを運営するにあたって、コンバージョンを決め、それを達成する必要があります。そのために行うのが「アクセス解析」と「サイトの改善」です。
「アクセス解析」では、どんな消費者が訪れているのか、またどのコンテンツが興味を持たれているのか等のデータ分析をします。そして、その分析結果を基により見やすいレイアウトにしたり、興味関心の高いコンテンツを増やすなどの「サイトの改善」を行います。この2つを実行することで、コンバージョンが達成できるWebサイトを目指します。

3.SNS


Twitter、Facebook、Instagramなどを通じて情報を発信し、直接消費者とコミュニケーションを図る手法です。利用者が多く、利用頻度も高いため重要視する企業が増えてきています。自社のアカウントを開設し、消費者にとって身近な、かつ自社ならではの情報を発信することで、ファンを獲得していきます。SNSは拡散機能があるツールもあり、消費者の共感を得ることができれば、拡散され認知度を上げることも可能です。さらに、消費者のリアルタイムな反応も見ることができるため、次の施策に繋げることもできます。

4.マーケティングオートメーション

メールの配信、見込み顧客の管理、スコアリングなどのマーケティングの一連の業務をすべて簡素化・自動化する手法です。マーケティングオートメーションツールを活用することで、既存顧客だけではなく、見込み顧客を含む顧客分析をし、各顧客にあった最適なマーケティング活動を効果的に、そして効率よく実施できます。実績につなげやすいためツールを導入する企業が増えています。

デジタルマーケティングの活用事例

では、最後にデジタルマーケティングの活用し、新商品開発を行った事例をご紹介します。

株式会社マンダム「GATSBY」


みなさんは「ゆでたまご男子」をご存知ですか?女子大生の間で「理想の男子像」としてあがった言葉だそうです。肌がツルツルしていて血色も良く、さらには清潔感があり、性格面でも、初対面ではカタいイメージから仲良くなると優しく、かつ自分の軸は持っている男性を指すようです。このような言葉が生まれているように、近年男性のスキンケアも注目され、市場も拡大しています。
マンダム社が販売する「GATSBY」も男性向けのスキンケア商品です。男性若年層をターゲットとするこの商品。今までは、ニキビなどの肌のトラブルで悩む男性をメインターゲットとしていましたが、近年の男性の美肌への関心の高まりにあわせ、「見た目に働きかける」ことを意識した新商品「つるんと肌シリーズ」の開発などを行いました。
この新商品開発のために、実際の消費者にインタビューしたり、市場の調査を行ったりと、ターゲットとなる男性層が何を求めているかを繰り返し調査し、コンセプトを決定していきました。さらに、流行なども意識して、定期的に調査を行い、トライアンドエラーを繰り返して開発しました。プロモーションにおいては、消費者が情報収集する場であるWebを重視しました。商品の使い方やスキンケアへの意識を高めるようなコンテンツを用意し、情報ニーズに応えました。さらには、SNSを絡めた企画「女子大生が理想の男子について語る会」も行い、認知度アップも実現できました。実は、冒頭に登場した「ゆでたまご男子」は、この企画の中で生まれた言葉です。
https://bit.ly/2Ar34Pl(Twitter:「#女子大生が理想の男子について語る会」)

このように、市場やターゲットとなる消費者のニーズを分析し、商品のコンセプトを決定、さらにはWebやSNSでの発信で消費者へ啓蒙活動を行うことで、見込み顧客を育成していくことで、売上に繋げていくのです。

 

デジタル化が進む近年、デジタルマーケティングの領域も広くなり、手法も増えています。自社の商品・サービス、そしてブランドにあったものの選択が重要となります。明確なゴールを設定し、何がうまくいき、何がダメだったのか分析、改善し続けることが必要です。多様化する消費者のニーズに応えることができるように、市場の傾向や消費者の意見には目を光らせておきましょう。

 

Seto
2018年からキャリアチェンジした新人。まだまだ慣れない言葉たちに苦戦しながらも日々なんとかやっています。趣味は朗読。南国育ちですが、日本酒が好きな変わり者(と言われます)。