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Webサイトリニューアルプロジェクトの大事なポイント

筆者は2000年から約20年間、Webサイトリニューアルのプロジェクトに数多く関わってきました。最近では、サスティナビリティ、ブランディングといった観点を踏まえた、コーポレートサイトリニューアルのご相談が増えてきています。
そういったWebサイトリニューアルのプロジェクトでは、スケジュールの遅延、追加した要望で予算が超過する、仕様の解釈が細部で行き違う、システムのトラブルなど、様々なトラブルを経験したというお話しを耳にします。

もちろんWeb制作ベンダーに起因するトラブルも多いのですが、リニューアルの発注者の立場でも、トラブルを未然に防ぐために準備しておくべきことがございます。今回は、Webサイトリニューアルの発注先選定から要件定義のフェーズにおいて、トラブルを回避、リスクを低減させるために発注者が心がけておくべきポイントをご紹介します。

ゴールを明確に

Webサイトは、1つのメディアに過ぎません。企業活動においては、デジタルでのコミュニケーションを通して、企業が獲得したい目標、成果があります。そのためにWebサイトを公開し、運営し、情報を発信(受信)しているはずです。昨今では、Webサイトに閉じたデジタルコミュニケーションで企業の成果が獲得できるケースは減少しており、SNS、広告、リアル店舗など、様々なシーンとの関連性の中で、Webサイトに一定の役割が割り振られています。

これら一連のコミュニケーション手段全ての役割や目的が整理されていることが最良ですが、Webサイトリニューアルのプロジェクトにおいては、最低限以下の3点は関係者の認識がズレなく共有できている状態にしておきましょう。

1. Webサイトの役割
2. リニューアルの目的
3. リニューアル後のWebサイトに期待する成果

上記3点から、Webサイトユーザーに提供したいメリット、メリットを実現するための機能が洗い出され、最適な運用の手法やコストも明確になってくるはずです。
この機会にKPIとして数値目標まで設定しておくことができれば、運用シーンでの成果把握も捗り、効率的なWebサイト運営に繋がります。

プロジェクトにはマネージメントが必要

Webサイトリニューアルを社外企業に委託して進める場合、多くのプロジェクトでは以下のような業務が発生します。

① 社内で稟議を通し、プロジェクトのスケジュールと予算を獲得する
② プロジェクト全体のマネージメントを行う
③ RFP(提案依頼書)を作成し、コンペを実施し、パートナーを選定する
④ パートナーと協力して要件定義を行う
⑤ Webサイトを構築する
⑥ Webサイトを運用する

多くのプロジェクトでは⑤の構築フェーズに多くの時間が割かれ、重要視されがちですが、プロジェクトの成否は開発や制作がスタートする⑤フェーズ以前に勝敗が決していることが多いのです。

例として、社内で決定したスケジュールに無理があり、そもそも誠実なパートナーがコンペに参加してもらえず、事前に提示された予算内の納品物しか想定していないパートナーを選定してしまうケースもあるでしょう。ベンダーの立場から見ると、①の時点で計画に無理があり、提案やコンペ参加以前にお断りをしたくなるケースは、しばしば見かけられます。

また、ベンダーにもそれぞれ得意な分野があります。プロジェクトマネージメント経験が豊富で、管理用ドキュメントを成果物に含めて考えるベンダーは、当然プロジェクト管理のコストが高額になります。逆に、小規模な制作会社には、マネージメントなどはあまり気にせずにデザイン主導で制作を進める企業もあるでしょう。単純に優劣は付けられませんが、自分たちがプロジェクトのマネージメントをできない場合、マネージメントをパートナーに依頼するのかどうかをしっかりと検討の上、パートナー選定を行うことが大切です。

パートナーにマネージメントを委託したとしても、スケジューリングやタスク管理、品質チェックなどのドキュメントを納品してもらうことで、自社にマネージメントのノウハウを蓄積できる機会になります。リニューアルプロジェクトを通して、プロジェクトマネージメントの勉強をする意識を持って取り組めば、社内に多くの知見を還元できることでしょう。

RFP(提案依頼書)はどのように作るべきか

RFPの中でWebサイトのコンテンツ企画やアイディアの提案を求めるケースが往々にありますが、企画やアイディアでパートナーを選定するのか、選定したパートナーと要件定義のフェーズで一緒に企画を煮詰めるのかでは、大きな違いがあります。たまたま面白いアイディアを思いついたベンダーの提案を採用してしまい、プロジェクト全体の目的に合致しないパートナーを選定してしまうことがあり得ます。

コンテンツ企画を提案してもらい、インフラや必要なシステム選定も提案してもらい、スケジュールや見積もりは自由に記載させるようなRFPを何度も見てきました。これで数社から提案が持ち寄られた場合、何を基準にパートナーを選定すれば良いのでしょう。ベンダーから見ても、何をメインに提案すれば良いのか判断できず、RFPを見た時点で提案を控える判断をするケースもありました。

自社のプロジェクト担当者メンバーでできることを整理し、パートナーと一緒に考えることと提案して欲しいことを仕分け、何をポイントにしてパートナーを選定するのかを線引きします。できるだけ正直にRFPに記載しておけば、プロジェクトに適したパートナーが、しっかりとした提案を持ち込んでくれることでしょう。

とは言え、Webサイトを主業にしていないプロジェクト担当者にとって、RFPの作成は慣れない業務であることがほとんどです。コンペ参加の声がけを予定している候補企業に、事前にRFPを確認してもらい、ベンダーの視点から無理な要求や提案しづらい点が入っていないかのアドバイスを受けると、コンペ成功に近づけるでしょう。
RFP制作を代行するサービスも見受けられますし、弊社でもRFPの制作を有償で代行したり、無償でアドバイスのみを差し上げたりするケースは増えています。ご要望があればお気軽にご相談くださいませ。

Web上には、「RFP作成のポイント」などを紹介しているコラム記事などが豊富に存在します。
RFPを制作してみることで見えてくる自社の課題、Webサイトの改善点などが見えてくることもありますので、一度は参考資料を見ながら取り組んでみられることをお勧めします。

要件定義こそが最重要

コンペによってパートナーを選定すれば、いよいよプロジェクトのキックオフです。まずは、要件定義がスタートします。プロジェクトにおいて、要件定義は最重要フェーズです。

極論ですが、要件定義が成功すればプロジェクトの成功は約束されたのも同然です。要件定義フェーズでは、プロジェクト全体の計画書や、成果物の内容を定めたリストなど、プロジェクトマネージメントで必要とされるドキュメントを作成しながら、プロジェクトのタスクを5W1Hに当てはめていきます。いつまでに、誰が何を決め、何を作り、どのように検証し、いくらの費用を支払うのか、全てが正確に記載されたドキュメントが作れた場合、ほとんどのトラブルは回避できます。

完璧な計画はあり得ませんが、できるだけ精緻に計画しておくことは、プロジェクト全体において非常に大切です。誠実で優秀なパートナーであれば、最適な仕様を提案し、どの程度の要件変更が生じれば追加費用が発生するのかを提示し、必要十分な要件定義資料作りに協力してくれるはずです。単なるスケジュール表だけでなく、マイルストーンごとに重要な日付を明記し、どの工程に遅れが生じれば遅延が生じるのかが視覚化されたスケジュールを提示してくれることもあります。発注者企業の責任範囲や、発注者が決定した事項が後工程で変更になった場合のリスクなども、説明してくれることでしょう。

システム開発がメインの案件では常識的ですが、Webサイトリニューアルにおいても、要件定義が完了した時点でパートナーから構築・運用フェーズの見積を改めて提示してもらうことをお勧めします。提案時に受け取っている概算の見積は、要件定義で明確になった成果物と対象が違うものになっていることが多く、ここで正確な見積額を両社で確認し、リニューアルの完了までにかかる費用と日程の確認をしっかり行いましょう。

要件定義がしっかりと行えると、精緻で漏れの無い成果物がドキュメントに記載されます。プロジェクト完了後のどこかのタイミングでパートナーを変更することがあっても、このドキュメントをきちんと更新運用していれば、Webサイトやシステムの状況を資料共有のみで伝えることができるでしょう。管理ドキュメントも、きちんと運用するように心がけておきましょう。

まとめ

一般的に、発注企業の担当者には、Webサイトリニューアルの経験が豊富な方はほとんどいません。社内でいきなり担当を命じられてとまどったり、信頼できる相談者が社内にいなかったり、心細くなってしまった方にこそ、以下のポイントを覚えておいていただきたいのです。

ゴールを明確に

Webサイトリニューアルのプロジェクトにおいては、最低限以下の3点は明確にしておきましょう。
1.Webサイトの役割
2.リニューアルの目的
3.リニューアル後のWebサイトに期待する成果

プロジェクトにはマネージメントが必要

自分たちがプロジェクトのマネージメントをできない場合、マネージメントをパートナーに依頼するのかどうかをしっかりと検討の上、パートナー選定を行うことが大切です。

RFP(提案依頼書)はどのように作るべきか

自社のプロジェクト担当メンバーでできることを整理し、パートナーと一緒に考えることと提案して欲しいことを仕分け、何をポイントにしてパートナーを選定するのかを線引きします。
コンペ参加の声がけを予定している候補企業に、事前にRFPを確認してもらい、ベンダーの視点から無理な要求や提案しづらい点が入っていないかのアドバイスを受けると、コンペ成功に近づけるでしょう。

要件定義こそが最重要

要件定義フェーズでは、プロジェクト全体の計画書や、成果物の内容を定めたリストなど、プロジェクトマネージメントで必要とされるドキュメントを作成しながら、プロジェクトのタスクを5W1Hに当てはめていきます。いつまでに、誰が何を決め、何を作り、どのように検証し、いくらの費用を支払うのか、全てが正確に記載されたドキュメントが作れた場合、ほとんどのトラブルは回避できます。

皆様が担当されるWebサイトリニューアルのプロジェクトが、大きなトラブルなく成功に導かれることを、深く祈念しております。