マーケティングストーリーラボ(MSL)

CONNECT THE STORIES, TO LIVE AND LONG ENGAGEMENTS “生きたStoryを感じる”「場創り」と「コンテンツ創り」

News Update

台湾・コンビニ各社の販促に学べ!子どもだけではなく大人をも夢中にする「秘策」とは?

こんにちは。世界のママを研究しつくす!「グローバルママ研究所」のNanaです。
突然ですが、みなさんは一日、何回コンビニを利用していますか? なかには、毎日数回出入りする方も多いのではないでしょうか。コンパクトな店内に欲しいものがぎゅっと詰まっていて、ちょっとした買い物にコンビニはその名の通り「便利」ですよね。今やあって当たり前、「生活のインフラ」ともいえるコンビニ。その数は年々増大する傾向にあり、隣国・台湾でも、歩けばコンビニにあたるといわれるくらい、コンビニの数が多いそう。一番多い7-ELEVEN(セブンイレブン)は5,137店舗もあるとか(2017年3月末時点、同社HPより)。当然、競合がひしめく中、生き残り策は必須!日本でも、コンビニ各社が来店促進のために、さまざまなサービスや販促キャンペーンを展開していますが、台湾ではどんな施策が行われているのでしょうか。
今回は、そんなコンビニ激戦区の台湾で消費者を魅了してやまない販促キャンペーンをご紹介します。


【この記事を読んでいるユーザにおすすめの記事はこちら】
販促活動の次なる一手に!
「商品のどんな魅力を伝えるか?」によって、販促でのアプローチも大きく異なってきます。
そんな施策の起点となる「商品価値」を、もっと新しい視点・深い洞察をもって考えてみませんか?
独自の生活者視点や分析を強みとする弊社サービス『商品価値リノベーション』がその最適解を導きます。

◆本サービスの紹介ページはこちら

◆商品価値を考える時に役立つ資料も今なら無料でダウンロードいただけます


台湾に来た人なら必ず感じるのがコンビニの多さ。
100メートル圏内に2~3軒、しかも違うコンビニならいざ知らず、同じブランドのコンビニが近くにあるなんていうことは常識。共倒れするのではないかと思ってしまうけれど、意外にもそれぞれが共存しているのが不思議だ。台湾人いわく、コンビニは便利性を追求するお店なので「コンビニのためにできるだけ歩きたくない」ということなのだそう。しかも、台湾のコンビニは日本のコンビニ同様、サービスが発達している。商品の販売以外に公共料金の支払いや荷物・チケットの受け取り、無料のWi-Fi完備なんて当たり前。最近では広めの店舗であればイートインスーペースがあるので店内で購入したものを食べることもできる。暑い夏が長い台湾では待ち合わせにコンビニで飲み物を飲みながら…なんてこともできるのでコンビニはなくてはならない存在だ。各社、競合に負けないよう、オリジナル性を出すため自社ブランドを展開しているが、品ぞろえだけでは違いを出すのが難しいのも事実。
そんなコンビニが自分のお店に立ち寄って、買い物してもらうために行っている販売戦略の一つが「ポイント収集作戦」だ。会社によってはシールではなくカード式でカードに直接チャージされるものもある。これらのポイントは一定の金額を購入するともらえ、集めていくと景品と直接交換したり購入したりすることができる。
そもそも、このような販促キャンペーンが実施されるようになったのは、2005年に7-ELEVENで実施されたあるイベントがきっかけだった。キャンペーンの内容は、一定の金額を購入するとHello Kittyのマグネットがもらえるというもの。マグネットには世界各国の衣装を着たHello Kitty(全41種類)が印刷されており、何があたるかわからないというワクワク感も相まって、コレクターが出るほどの爆発的人気となった。あまりにも人気だったため、台湾ご当地版Kittyや1974年から2004年までのHello Kitty復刻版なども企画された。7-ELEVENのホームページにある社史によると、イベント期間10週間で億単位のマグネットが配られたと記載されている。もともと、Hello Kittyが台湾で人気があったことに加え、台湾限定であったことと何枚かに1枚しかないレアものも含まれていたので、「集めたい」という生活者の収集心理をついたものになったようだ。

参照URL:7-ELEVEN社史
http://www.7-11.com.tw/30/history.asp


写真:コンビニが並ぶ台湾

 

ポイントの集め方とは?

当初は一定金額を購入すると景品がもらえたが、各社の競争で景品自体が豪華になったこともあり、最近ではポイント制となっている。コンビニによって設定金額が違うが、59元、79元などの設定金額があり、その金額を購入するとポイントが1点もらえる。交換方法もさまざまでポイントが集まればもらえるものやポイント+お金を払うともらえるものなども出てきた。例えば、ポイント4点+89元や20点でフィギュアと交換などの方法がある。内容によってはポイントに加えて200元近く支払うものもあり、景品と言うより普通に商品を買うのと変わらないものもあったりする。現在台湾のコンビニ大手、7-ELEVEN、ファミリーマート、Hi-lifeの3社すべてで同様のプロモーションが行われており、期間によってさまざまな景品が準備されている。


写真:実際に配布されたノベルティグッズの一部

なぜ、支持されているのか?

まず一番に種類の豊富さがあげられる。7-ELEVENで当初出てきたマグネットも40を超える種類が配布されており、その後に出された復刻版でも30種類あった。そして、7-ELEVENの好調ぶりを目の当たりにした他社も追随し、色々な景品が配られるようになった。初期はマグネットやクリアファイルといった一般的に手に入りやすいものが中心であったためか、アイテムごとに10数種類ものラインアップがあった。
その後、キャラクターフィギュアが中心となり、最近ではフィギュアだけではなく、ミニカーやクリスタル製のブレスレッド、ランチボックスなどおまけそのものが多様化してきている。多様化し、豪華になったこともあり、初期より種類は少なくなったものの、それでも1度のプロモーション期間で5~6種類は取りそろえられている。そして、使用されるキャラクターもドラえもんやアナ雪、ワンピース、布袋戯(台湾で人気の人形時代劇)など、大人から子ども、女性や男性と対象が偏らないよう考えられている。実用的なものも多いので子どもだけなく大人も夢中になっている。そのため、人気商品になると交換するのに店頭に準備されているものだけでは足りず、予約が必要になることもあるほどだ。
2つ目に挙げられるのがプロモーションの期間が限定されていることだ。好評な場合は延長されることもあるが、通常は2~3か月ごとに内容が変わる。その期間が終了すると、当然ポイントも使うことができなくなってしまうため、また一からということになる。加えて景品の中には必ず「レアもの」が準備されていることが多く、場合によっては期間中に限定品が投入されることもある。他の商品より手にする確率が下がるため、当然ながら価値や人気が上がる。そのため、交換する際に柄やデザインがわからないように梱包も工夫されている。店員も中身がわからないようになっているので客は内容を選ぶことができない。自分がほしいデザインがもらえるかは運次第となる。いきおい、期間中に自分がほしいものと交換するためコンビニに通って必死になってポイントを集めることになる。
3つ目に挙げられるのが金額設定だ。各社、時期などによって多少の幅はあるももの、ほとんどが59元や69元といった設定になっている。コンビニで売られているホットコーヒーの価格が1杯45元、サンドウィッチ1つが40元くらいなので単品ではポイントをもらうことができない。でも単品でもらえなくても飲み物にちょっとしたパンやサンドウィッチを足すともらえる…という微妙な価格設定が功を奏している。イベント期間は「この商品を2個買うともう1ポイントプレゼント」などというプロモーションもされているので、生活者もついつい購入してしまうというわけだ。
最後に、フィギュアやキャラクターに興味がない人向けにもきちんとおまけが準備されていることも特筆すべき点である。フィギュアやキャラクターに興味がなくても、ポイントを集めると店内の指定商品と交換できたり関連企業や業務提携している他店の割引を受けられたりする。すべての層で何らかの恩恵が受けられるようなっているのでついつい集めてしまう、というのが生活者心理なようだ。

台湾人の心をくすぐる三つのプロモーションのポイントとは?

1.豊富に取りそろえられた景品の数々

毎回5~6種類はラインアップ。中には「レアもの」と呼ばれる希少価値の高いものが混ぜられているので手にしたい衝動に駆られやすくなる。そして景品以外にも割引などの特典があるため、景品目当て以外の客でもポイントを集める仕組みとなっている。

2.2~3か月という限定設定と景品の種類が選べないという不自由感飽きっぽい台湾人。

2~3か月と期間が限定されることで、常に目新しいキャンペーンが展開されていることになる。さらに、中身が選べないというちょっと不自由な選択となっており、必ずしも自分がほしい景品がもらえるとは限らない。手に入らなかった場合になにがなんでも集めたいという気持ちがくすぐられる。

 3.ちょっと買えばポイントがもらえる絶妙な金額設定

金額が高く設定されているとポイントを集める人が限られてくる。しかし、単品ではもらえないが、ちょっと何かを買い足すと設定金額を満たすという手軽な金額設定が人気であり、売上アップのポイントとなっている。

参照URL:
http://www.hilife.com.tw/index.aspx
http://www.family.com.tw/marketing/
https://www.7-11.com.tw/index.asp 

 

台湾のコンビニにおける販促キャンペーン事情はいかがでしたか?
絶妙な金額設定や限定感など、つい参加したくなってしまう、人の心理をうまくとらえていますね。収集癖をくすぐられて、特定のコンビニをわざわざ利用するなどということもありそうです。
販促キャンペーンを考えるうえでのひとつの材料としてぜひご活用ください。

 

グローバルママ研究所

世界33か国在住の170名以上の女性リサーチャー・ライターのネットワーク(2017年4月時点)。企業の海外におけるマーケティング活動(市場調査やプロモーション)をサポートしている。
http://gm-ri.com/