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News Update

情報社会で求められる教育とは?

こんにちは。インターン生のYURIす。
インターンの他にやっている塾講師で、先日中学生の担当生徒の保護者の方と面談する機会がありました。その際に話題として挙がったのが「今の中学生からセンター試験が廃止される」というものでした。これまで数え切れないほどの受験生の前に立ちはだかってきたセンター試験ですが、今後はより思考力を問う試験に変わっていくとのことで保護者の方も学習の仕方を懸念されていました。こういった大きな教育方針の変更には言うまでもなく技術革新の進展する現代社会への対応であることが挙げられます。文部科学省が定める新学習指導要領の施行が2018年4月と目前となり、新しい教育システムへの期待も高まります。
そこで今回は新学習要領改訂から、新しい時代を切り開く若い世代に求められる能力について見ていきます。


新学習指導要項で重要視される能力とは?

文部科学省は2017年3月31日に小中学校の次期指導要領を公示しました。今回の新指導要領のポイントには「アクティブラーニング」「情報活用能力」、「外国語での発表」があります。アクティブラーニングの実施では、教科書から学ぶ授業に加えて、対話形式の授業を通じて、興味のある対象に対して情報を精査し、自らの視点で考えることが要求されていきます。情報活用能力に関しては、コンピューターを使った情報収集やプログラミングについて学ぶ機会の充実が図られています。外国語学習においては、従来の話す、聞く、書く、読むの4技能に加え、話す(発表)を含めた5技能が設定されています。ここでは英語での意思疎通だけでなく、大勢の前で自分の考えを明確に伝える力を養うことが重視されています。このように新学習指導要領では、知識を蓄積するインプット型の教育から情報収集能力、思考力、伝える力といったアウトプット型の教育にシフトしていることが分かります。

参照:「新学習指導要領のポイント」
https://ictconnect21.jp/document/170331_next_shidoyoryo/

 

新たに求められる能力とAIで消える仕事の関連性

新学習指導要領や冒頭のセンター試験の廃止にも見られるように、従来の教科書の暗記といったインプット型の勉強だけでは今後通用できなくなってくることが予想されます。実際、今後AIに取って代わられてしまう仕事も指摘されており、英オックスフォード大学のオズボーン氏によると、AIによって消える仕事として銀行員(融資担当者)や保険業(審査担当者)があるとされています。また、10~20年以内に日本で働いている人の49%の仕事がAIやロボットに代替可能になるとの研究結果もあり、AIに取って代わられない能力での差別化が必要不可欠になってくるように思います。AIでなくなる仕事として挙がっていた銀行では、メガバンクが2017年に大規模な人員削減計画を相次いで明らかにしており、こういった未来予測が現実的になりつつあることもうかがえます。一方で、先日のフィンテックの記事(世界を一変させる、FinTech(フィンテック)について)でShimiさんが述べているように、
金融業らしいサービスや、金融業とは何かについて考え、利用者の目線に立ち、どのようなサービスができるのかを深く考えること
これこそ、私たちがやるべきことであり、新学習要領で求められる自ら情報を精査して知識を関連づけながら、独自の視点で物事を深く洞察する能力を身につけることが若い世代にとって非常に急務であると分かります。こういった点でアクティブラーニング、情報活用能力、外国語学習でのプレゼン力は今後の日本の未来を担う若い世代に問われているのだと感じました。

 

参照:Carl Benedikt Frey† and Michael A. Osborne
「THE FUTURE OF EMPLOYMENT: HOWSUSCEPTIBLE ARE JOBS TOCOMPUTERISATION?∗」
https://www.oxfordmartin.ox.ac.uk/downloads/academic/The_Future_of_Employment.pdf

日本経済新聞記事「労働人口の49%、AI・ロボで代替可能に」
https://www.nikkei.com/article/DGXLASDZ02HTU_S5A201C1TJC000/

WEBRONZA「銀行の人員削減」
http://webronza.asahi.com/business/articles/2017121800003.html

 

IT人材育成に力を入れる世界の教育事情

今回の指導要領の1つの軸である情報活用能力の育成に関して、高等教育、大学教育においては産学連携を通じた即戦力となるIT人材の育成が検討されています。というのも、現時点で既に先進IT人材は約3万人も不足しており、2020年には4万人まで及ぶとの予想もあります。こういった背景から先進的な取り組みとして、AI人材育成に焦点を充てたAIチャレンジコンテストの実施や情報、工業、農業など各分野でのエキスパート育成を目的とした5年一貫教育を行うスーパープロフェッショナルハイスクールの拡充が行われています。日本ではこのように高等学校・大学でのIT人材育成が急務となる中、世界で先行するIT教育事情を見てみましょう。

参照:NPO団体「Code.org」 https://code.org/
「フィンランド大使館」http://www.finland.or.jp/public/default.aspx?contentid=350772
「サイバー防衛新たな科目・・・イスラエル」http://www.yomiuri.co.jp/kyoiku/special/CO015612/20150926-OYT8T50000.html

このように世界のIT産業を牽引する国々では、低学年からのIT教育の必修化が行われ、科目の枠組みを超えたリベラルアーツとしてIT教育が実践されています。

 

参照:「第4次産業革命 人材育成推進会議 文部科学省提出資料」
https://www.kantei.go.jp/jp/singi/keizaisaisei/miraitoshikaigi/jinzaii

「人工知能技術戦略会議」
http://www.nedo.go.jp/content/100862415.pdf

将来のカギを握るIT人材の育成に向けて

日本でも新教育課程にITやプログラミング関連の知識習得が含まれるにあたって、今後家庭での教育の取り組みにも変化が現れてくるように思います。保護者側からのIT教育に関して、エンジニア向けイベント「Developers Summit 2018」では、幼いうちから子どもにプログラミングへの興味を持たせることの重要性を強調しています。継続的なIT教育に飛び込む子どもたちに対して、積極的に学んでもらえるように、保護者が生活の身近にあるプログラミングを紹介したり、一緒にゲーム感覚で楽しんだりと興味を引き出しながら学んでいくことが重要になると言われています。他にもIT企業が主催する親子向けプログラム体験イベントも最近では増えきており、そういった外部の機会も活用していくのも良いと思います。
このように家庭と学校の両方で幼い頃からIT教育を受け、論理的思考を身につけた人財が職場にやってくる日もそう遠くはありません。こういった人財と今後どのように社会を発展させていくか私たちはこれから考えていかなくてはならないのかもしれませんね。
いかがでしたか?
少しでもご参考になれば幸いです。

 

YURI
2015年12月からマーケティング部署でインターンをしております。
大学のゼミでは国際経営学を勉強中。趣味は韓国語とフラダンス。2016年に半年間のアメリカ留学を経験。日課は万歩計のチェックとお風呂上がりのアイス。何事も継続は力なりをモットーにがんばります。