マーケティングストーリーラボ(MSL)

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News Update

コトラーのマーケティング4.0とは ~コンテンツは新しい広告、ハッシュタグは新しいタグライン~

かつてマーケター、という職種が日本には根付かないね、、、と言われた時代がありました。

実感として2000年代初頭からは「webマーケター」という表現でマーケターが語られる頻度が上がり、2010年代に「ビッグデータ」が語られるようになるとデータドリブンなマーケティングを当たり前化して、伝統的マーケティングの考え方を進化させることを志向するようになりました。そして、「統合マーケティング」を意図的に推進するミッションをもち、マーケティング部なる部署が事業会社内に普通に存在し始めたと思っています。
我が社YUIDEAもほぼこの流れにのっています。マーケティングの部署のめばえがあったのは2012年。2015年に初めてBtoBの展示会に出展し、MAツールを導入、統合マーケティング活動を始めたのは2016年です。このサイト「マーケティングストーリーラボ」の前身のオウンドメディアは2015年1月に本番公開。2017年からはメルマガと記事更新のタイミング、イベントやセミナーとのコンテンツを掲載、ほかのオウンドメディアとのリンクもアメーバ状に広げて、ペイドメディアへの出稿、2017年末には戦略的PR活動も開始しました。

私個人を振り返っても、この変革の時代にマーケティングに携われるようになったことは、チャレンジングではありますが、とてもやりがいが感じられる、豊かな体験です。コミュニケーションのための「編集」を生業としてきつつ、20年のキャリアを超えたところで大きくマーケターへのキャリアチェンジ。5年が過ぎました。つくづく時代が変わったな、と思うのは「デジマ女子」なる自主的な勉強会などで、世代や業界、業種、企業をを超えて切磋琢磨するゆるやかなネットワークがあること。MAツールなどの「ユーザー会」なども、企業に所属して働くマーケターには有り難い存在ですよね。(ひと昔前なら飲み会ベース、男性中心、業界や業種の掟が前提のコネクションづくりだったものが、です…。感慨深いものがあります。)

さて先日4月19日に、「日本マーケティング協会」(※YUIDEAも会員企業です)が主催するセミナーに参加してきました。タイトルは「スマートフォン時代のマーケティングを考える ~マーケティング4.0 成功のための究極法則~」。

「4.0」の位置づけ

マーケティング1.0:製品中心
マーケティング2.0:顧客中心
マーケティング3.0:社会中心

早稲田大学商学学術員恩蔵先生はマーケティングの変遷を上記のようにまとめました。そのうえでマーケティング3.0においては、「人々を単なる顧客とみなすのではなく、マインドとハートと精神を有する全人的存在として働きかける」…と説明されます。マーケティングのコンセプトが、人間の志や価値や精神の領域にまで押し上げられた、ということになります。そして、3.0に考え方のベースがあり、デジタル(スマホ)時代だからこそのSNSマーケティングの実践と考え方を提示しているのが4.0、とのことでした。まず、3.0のキーワードは「サステナビリティ」。マーケティングにいかに「サステナビリティ」の観点を入れるかどうかが3.0にあたるかどうかの論点になります。

まとめとしては下記のようになります。

マーケティング1.0:良い製品だから(所有したくて)買う
マーケティング2.0:企業に愛着があって買う
マーケティング3.0:企業の社会貢献に賛同して買う
マーケティング4.0:企業の社会貢献の仕方が自分の生き方や価値観に合うから買う

ところで、セミナーでの恩蔵先生の発言に、目からウロコの体験をしました。

マーケティング活動は、おしなべて1.0から4.0方向に一直線に向かうのではない。今日の社会においても1.0的マーケティングを志向することもあれば3.0、4.0を志向、実行することがあるし、組み合わせていくべきだ、、

たしかにユニクロのフリース、コカ・コーラのプロモーションは1.0である、とも言えそうです。

「マーケティング4.0」の本質と課題

3.0は新しいマーケティングを体系化したという点で高く評価されました。世界23もの言語で出版されています。が、ソーシャル・メディア時代への対応、という点においては満足のゆく議論はされていなかったとも言われています。「全人的」に捉えられるようになった顧客が、どのような体験を好み、求め、エンゲージメントを生み出すのか…。それを踏まえて、カスタマージャーニーの型はどうあるべきか。
ちなみに、コトラーの言うカスタマージャーニーは5Aで整理されています。
Awareness(気づき)/Appeal(訴え)/Ask(尋ね・質問)/Act(行動=購買)/Advocate(意思表明)

そのステップを図示すると次のようになります。

注目(Attention)、興味(Interest)、欲求(Desire)、行動(Act)からなるAIDAが古典的なカスタマージャーニーであり、広告や販売の領域で採用されてきましたが、AISASなどの修正版においてもそのモデルは漏斗(ファネル)のようにステップが先に進むほどブランド数が減少していくものでした。

この直線的で個人的な漏斗のようなプロセスは、4.0においては「アップデートされるべき」と明確に示されました。

簡潔にまとめると以下になるでしょうか。

①ビジネス環境には大きな変革が起こり、顧客側へのパワーシフトが進んでいる、
②そして、社会的価値を含めたブランディングで認知獲得するのがベターであり、
③コンテンツマーケティングによってサービスへの好奇心が生まれる(強化される)ことをふまえて
④コミットメント、エンゲージメントを引き上げる戦術的方策が求められる。
④なお、5Aのあらゆる段階においてデジタルマーケティングと伝統的マーケティングの統合をすすめ、各段階ごと、そして段階すべてを通してのコンバージョン率が測定されるべきである。

さぁ、どこから手を付けますか

話は大きく変わりますが、昨今のジャニーズ事務所の右往左往ぶりはこの時代の変革の波にドリフトされてしまっている…と私は思うのですが、皆さんはいかがでしょう?この時代に郵送でファンクラブ会員にファーストコンタクトをとる、が本当に可能でしょうか。大好きなアイドルの情報が欲しいのに、インターネット上でもTVやラジオなどのマスメディアでも事務所にコントロールされていて、やっと見つけたデジタルコンテンツにはアイドルの画像も動画もなく、イラストだけが掲載されている…。そんな事務所側のコントロールは本当に可能で、有効でしょうか。

まず、自分たちのサービスを社会的価値と絡めてあらためて定義する。そしてその価値を、自然な形(メディア)とタイミングで、記憶に残りやすい「ストーリー」の形をもって潜在顧客に語りかける。そういった戦略的PRやコンテンツマーケティングは、もはやどの企業にも必須です。デジタルマーケティングを包括した伝統的マーケティングは、「統合マーケティング」として階段を一つ上がり、実践することが必要とされるようになりました。

私たちマーケターには、担当サービス(ブランド)の潜在顧客、顕在顧客、優良顧客と「Always on」な環境をいかに創るか(継続していくか)が求められているのです。

 

YOSSY

小学1年生の息子を溺愛中。とうとう玄関の白壁は息子の絵でギャラリーのように!旅と家族と友達とお酒を愛してます。新しいもの(コト)好き。熱しやすく冷めやすいけど粘り強いのが強み?!マーケティングストーリーラボ主宰/コンテンツマーケティングプランナー。