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News Update

【イタリア飲食店事情】日本でも広まるか? 社会貢献型レストランとは?

こんにちは。世界のママを研究しつくす!「グローバルママ研究所」のNanaです。社会貢献できるレストランって?日本ではあまり事例がありませんが、今回は、食にこだわるイタリアで大成功を収めている社会貢献型のレストランをご紹介します。食事を楽しむのが一番の目的でありながらも、自然と社会貢献ができるとあって、現地では絶大な人気を誇っています。そこには、どんなカラクリがあるのでしょうか。


カトリックの総本山、バチカン市国を内包するイタリア。敬虔なカトリック信者が過半数を占めるこの国では、さまざまな慈善活動が生活の一部として根づいている。なかでも、新たな活動として注目を浴びるのが、刑務所の服役囚がスタッフを務めるレストランや無料または低価格で食事ができる飲食店だ。出所後の社会復帰や低所得者層への支援が目的だが、社会貢献事業の一環さながら、賞を獲得するほど定評ある味とサービスで人気を博している。

商品・プロモーションの概要

高級レストランのスタッフはすべて服役囚!?

ミラノのボラーテ刑務所では、責任者以外のスタッフを服役囚で構成したレストラン 「インガレーラ(イタリア語で「独房の中」の意味)」を運営。一般客を対象に、“普通”のレストランとして、完全予約制で営業している。味やサービス面では、口コミサービスサイト大手トリップアドバイザーで5つ星を獲得するほどの名店だ。通常のレストランと異なる点は、「身分証明書の提示」と「案内人の付き添い」が必要になることのみ。服役囚たちの人権を尊重し、出所後の社会復帰の支援を目的としている。

食の楽しみは諦めない、お金がなくても一流料理が味わえるレストラン

同じくミラノでは、低所得者向けに、無料や低価格で食事を提供するレストランがある。その一つが、スーパーの廃棄食材を活用した料理を無料提供するレストラン「レフェットリオ・アンブロジアーノ」。提供する料理のレシピ考案者は、一流シェフばかりだ。それもそのはず。同店の経営者は、ミシュラン3つ星を獲得したレストラン「オステリア・フランチェスカーナ」のオーナー兼セレブシェフのマッシモ・ボットゥーラ氏。2015年のミラノ国際博覧会と2016年のリオデジャネイロ・オリンピックで、廃棄食材を利用して貧しい人々に料理をふるまうプロジェクトを実施し、成功を収めた人物だ。のちに、カトリック修道会のカリタス・アンブロジアーナ(ミラノ教区カリタス)の支援を得て、プロジェクトを継続的に展開することとなったのが同店のはじまりだ。もう一店は、支援団体のONLUSによるレストラン「リストランテ・ルーベン」。わずか1ユーロで食事を提供している。同サービスを利用するには、低所得者と認められた人のみに配布される60日間パスが必要となり、16歳以下の子ども同伴で、レストランを訪れることが可能だ。
参考URL:
インガレーラ:
http://www.ingalera.it/
レフェットリオ・アンブロジアーノ:
http://www.refettorioambrosiano.it/
リストランテ・ルーベン:http://www.fondazionepellegrinionlus.it/ristorante-ruben/

支持されている背景・理由

おいしい料理を軸に、社会貢献が加わったポジティブな相乗効果

ポイントは、いずれのレストランも、専門家による監修のもとで進められていることにある。それゆえに、料理の質についてはお墨つきであり、これらのレストランを訪れる客たちは、好奇心からの話題性を得るだけでなく、最高の料理も同時に味わうことができる。ユニークな形で楽しさや希望を与えながら、スマートに社会貢献ができることは、訪れる客と提供する側の双方にとって、ポジティブな結果を生んでいると言えるだろう。

イタリア人の心をくすぐる3つのポイント

1.思わず訪れたくなるようなユニークなコンセプト

一流料理が味わえる贅沢なレストランと慈善活動。一見、相反するかのように感じるが、料理を楽しみながらも、同時に社会貢献もできるユニークさが受けている。

2.カトリックと切り離せない「慈善」について、リアルに学べるきっかけに

敬虔なカトリック信者が多いイタリアだが、信者が年々減少傾向にあることが懸念されている。「カトリック離れ」が進む現代だからこそ、気軽に取り組める慈善活動は、人々に社会を見直す機会を与えている。

3.提供される料理の水準の高さで、リピーターを創出

レストランで社会貢献。話題性は十分だが、客が料理に満足しなければ、一度きりの来店になってしまう。その点、一流料理を提供するこれらのレストランでは、顧客満足度も高く、持続可能なリピーターを生み出している。

おいしい料理を食べられる基本ニーズは満たされている。それに加えて社会貢献ができるというユニークさが人気の秘訣。さらに、本格的な一流レストランの味が楽しめるというのがなんともうれしいポイント!日本でもこのような社会貢献型レストランが広がる日がくるのでしょうか?楽しみですね。

グローバルママ研究所
世界35か国在住の200名以上の女性リサーチャー・ライターのネットワーク(2017年12月時点)。企業の海外におけるマーケティング活動(市場調査やプロモーション)をサポートしている。