マーケティングストーリーラボ(MSL)

CONNECT THE STORIES, TO LIVE AND LONG ENGAGEMENTS “生きたStoryを感じる”「場創り」と「コンテンツ創り」

【ヨーロッパコスメ事情】イタリア発『キコ・ミラノ』がSNS上で仕掛けるイメージ戦略とは?

こんにちは。世界のママを研究しつくす!「グローバルママ研究所」のNanaです。
近年、各国においてブランドによるSNSマーケティングが勢いを増しています。従来型の広告媒体よりも安価で着手でき、ターゲットも絞り込みができる、さらにはインターネット上におけるクチコミ効果としての広がりもあり、各企業が続々とSNSによるプロモーション予算を増やしています。今回取り上げるのは、ヨーロッパを中心に着実に店舗数を増やしているイタリア発のコスメブランド『キコ・ミラノ』。昨今のマーケティングの主流であるペルソナ設定をあえてしていないにも関わらず、オシャレにうるさいヨーロッパ人女性たちから支持されている、その理由に迫ります。

1997年に誕生し、2000年代半ばからヨーロッパを中心に着実に店舗数を増やしてきた、イタリア発のコスメブランドKIKO_MILANO(キコ・ミラノ)。そのコレクションは、プロの世界でも通用するほどの品質の高さとバリエーションの豊富さが特徴だ。あらゆる年齢やスタイル、肌質、肌の色に対応した同社のコスメは、全て「イタリア製=Made in Italy」。ペルソナ設定はあえてせず、良質なのにプチプラ価格なことが、多くの人々から支持を得てきた理由である。また、ユーザー主体のSNSを活用したプロモーション活動にも積極的だ。そんなキコ・ミラノがしかけるイメージ戦略とは?筆者が住むフランス国内の店舗とSNSでの発信例を取り上げ、その実態に迫りたい。

商品・プロモーションの概要

コスメ界のファスト・ファッション!?キコ・ミラノの経営理念

キコ・ミラノは、イタリアにスターバックスを導入したことで話題になった小売大手のペルカッシ・グループが経営している。スターバックスと同じ手法で、キコ・ミラノもフランス国内の一等地やショッピングセンターの目立つ場所に店舗を構えている。立地のよさに加え、小規模で商品を手に取りやすい店舗デザインも特徴で、最先端のコスメ・トレンドを発信している。さらに各アイテムの平均価格は10ユーロ(約1,300円)未満という手の届きやすい価格に設定されているが、商品は全てイタリア製であることを強調。メディアからは「コスメ界のファスト・ファッション」のキャッチコピーで呼ばれ、服飾小売大手のZARAやH&Mに例えられることも多い。確かにトレンドものをいち早く、低価格で届けている点ではファスト・ファッションと共通しているが、同ブランドが目指すところはそのもう一歩上の、クオリティとクリエイティビティの融合なのだとか。国産にすることで一定の品質を維持しようとする姿勢には「アートとファッションの発信地」と自負するイタリア企業ならではのプライドが垣間見られ、その経営理念は実際に同ブランドの商品を手に取る消費者にもアピールしているようだ。また、同社ではEUで2004年以降禁止されている動物実験を行っていないことはもちろん、EU圏外で動物実験が行われた商品も一切取り扱っていないことを宣言し、環境に配慮したクリーンな企業であるという主張も忘れていない。

多国籍のユーザー主導で作り上げられる親しみやすいブランドイメージ

少なくともフランス国内で派手な広告を打っている印象はないキコ・ミラノだが、SNSを使った宣伝には積極的だ。ハッシュタグ#kikotrendsettersを設定し、インスタグラム上でユーザーに自社製品を投稿してもらう。インスタには商品だけの写真もあれば、同ブランドのアイテムでメイクを施したユーザーの姿も次々に登場している。ここで主体になっているのは完全にユーザーで、欧州各言語(伊、仏、西、独、英語のほかポルトガル語など)に細分化された同社の公式ツイッターアカウントに対し、世界各国のユーザーが同じハッシュタグを使って投稿するので、さまざまな国の言語が入り混じった状態だ。流行を取り入れたラインアップ、幅広いカラーバリエーションなど、消費者の好みに合うように多様なスタイルを提供しているキコ・ミラノ。注目すべきは、発信するのは完全にユーザー主導であるということ。写真投稿SNSというインスタの特徴を活用し、言葉がわからなくても画像や写真を媒介に、同じキコ・ミラノの製品愛用者という共通項によってユーザー同士で通じ合うことができるようになっている。そして一般人によるSNS画像を通してキコ・ミラノの製品は国境を越え広く拡散していき、よりグローバルで親しみやすいブランドとしてのイメージ作りに成功しているといえる。

参考URL
https://www.kikocosmetics.com/fr-fr/(キコ・ミラノフランス公式サイト)
http://www.percassi.com/en/index/core-business/percassi-cosmetics/kiko-milano.html(ペルカッシ・グループ公式サイトのキコ・ミラノ紹介ページ)            
https://www.instagram.com/explore/tags/kikotrendsetters/(インスタグラムのハッシュタグ# kikotrendsetters一覧)

支持されている背景・理由

コスパの良さと店舗デザインの工夫、ユーザー主導のイメージ戦略

ファスト・ファッション同様、流行をいち早く取り入れたコスメが低価格で購入できる。それに加え、商品はイタリア製であるため品質が保証され、コスパも高い。さらには、競合会社の仏ブランド「セフォラ」や、フランスで「パフュームリー」と呼ばれる伝統的な香水・化粧品店と比べると、店舗面積は約半分以下。そのコンパクトさを活かし入口から広い間口を取り、店舗内に何があるのかひと目でわかるレイアウト/陳列になっているため、消費者が店内に入りやすいデザインになっている。筆者の在住するフランス国内で大規模な広告を見ることはないが、好立地の店舗展開とSNSを活用したユーザー主導のプロモーションにより、認知度を高めている。

ヨーロッパ女性の心をくすぐる3つのポイント

1.コスパの高さと「イタリア製」の信頼感

バリエーションが豊富な流行のコスメをプチプラ価格で提供、コスパが高いことに加え、品質が保証されるイタリア製品ということで、消費者の信頼を集めている。

2.アクセスしやすい立地と、コンパクトさを活かした店舗デザイン

街の一等地に展開するアクセスしやすい立地の良さに加え、コンパクトな店舗をうまく利用入口の間口を広く取ることですっきりと見やすいレイアウト/陳列にしてあるため、消費者が気軽に入ることができる。

3.ユーザー主導のブランドイメージ戦略

企業自らが設定したハッシュタグつきのSNS投稿を一般人にしてもらうことで、ブランドや商品を幅広く拡散する手法を利用。多額の広告費を使わず、ユーザー主導による親しみやすいブランドイメージを作り上げている。

商品の品質も保証されてコスパも高いとなると、女性としては嬉しいばかり。流行を取り入れたメイクにも、気軽に挑戦できますね。購入した化粧品をユーザーがSNSで投稿することによって、広告費をおさえつつも、親しみやすいブランドイメージをうまく作り上げているのが最大のポイント。自社のイメージ戦略に是非、お役立てください。

 

グローバルママ研究所
世界35か国在住の200名以上の女性リサーチャー・ライターのネットワーク(2017年12月時点)。企業の海外におけるマーケティング活動(市場調査やプロモーション)をサポートしている。