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【アメリカの住宅事情】不動産売買市場サイトで圧倒的No.1! 「Zillow」の人気の秘訣とは?

こんにちは。世界のママを研究しつくす!「グローバルママ研究所」のNanaです。
2020年の東京五輪に向けた再開発ラッシュや、首都圏の富裕層をターゲットにした新築マンション、田舎の古民家ブーム、急速に増える都会の空き家問題…。
このように、日本には日本固有の住宅トレンドが存在しますが、ところ変わってアメリカは別世界。築年数が増えるごとに価値がどんどん下がる日本とは事情が異なり、中古物件であることが必ずしもマイナス要素になるとは限りません。
今回は、アメリカで大きなシェアを誇る不動産サイトを取り上げ、そのシェア獲得の手法を、解説していきます。


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巨大な中古住宅売買市場を誇るアメリカで、売買・賃貸になくてはならないプラットフォームとなっている不動産情報サイトが、“Zillow(ジロー)”だ。アメリカ全土において、1.1億件もの物件を掲載し、物件概要、過去の価格推移、独自の見積売買価格、売買事例や学校などの周辺環境、固定資産税、ローン計算機能など、あらゆる情報を網羅している。不動産というリアルとITを融合し、積極的なM&Aと周辺ビジネスへのマーケティング展開で、月間閲覧数はなんと1.6億と、不動産情報サイトでは一人勝ちの様相を呈している。

商品・プロモーションの概要

Zillowが支持される背景とは?活発な中古不動産売買と情報開示

アメリカには、特有の不動産事情がある。中古住宅売買戸数は約700万であり、住宅ストックに対する流通比率は7.9%(日本は1.6%)、中古比率は75%(日本は35%前後)と巨大な市場を有する。こうした不動産事情を踏まえた上で、Zillowが大きな支持を集める背景として以下、3つが挙げられる。

1)ライフステージに合わせた転居

ビジネスや社会の変革スピードが速く、雇用が流動的なアメリカでは、転職やキャリアチェンジが一般的で、必然的に転居が多くなってくる。子どもの就学のタイミングで優良学区内に家を購入し、高校卒業後に大きな家を売却して夫婦で家や生活をダウンサイズするパターンも、アメリカではよく聞く話だ。

2)リノベーションによる中古住宅の価値の維持

日本と違い、築年数の経過は、住宅価値に対してそれほど大きなマイナス材料にならない。ただし、価値維持のための投資は必要で、水回り/外壁や屋根/冷暖房設備/厨房機器などのリニューアルに必要な予算は物件価格の年間0.5〜1%が目安と言われている。劣化した中古住宅を割安で購入し、大規模なリノベーションや増築を行う例もある。

3)売買情報の透明性

アメリカでは、構造/築年数/面積といった物件概要、所有者や抵当権などの権利関係、過去の売買価格などの物件詳細が、仲介業者だけでなく一般に公開されている。このシステムが、Zillowのように情報一元化を可能にしている。不動産に関しては、アメリカではプライバシーの保護は存在しない。

さらには、前述した物件に関する基本的な概要に加え、契約書類サポート、インテリア関連サイトなどの掲載まで、住宅売買・賃貸に必要なあらゆる情報がワンストップで収集できる利便性も、同サイトが人気を博している理由であろう。

参考URL:
https://expandedramblings.com/index.php/zillow-statistics/
https://www.cnbc.com/2018/04/13/zillow-shares-plunge-on-plan-to-start-flipping-homes-rival-opendoor.html
https://www.redfin.com/
https://en.wikipedia.org/wiki/Redfin
http://www.jresearch.net/house/jresearch/kizon/pdf/kizon08_02.pdf

 

支持されている背景・理由

全米を網羅、ローンまで、ワンストップですべて完結!

Zillowは自らをメディア企業と称しており、仲介業者への広告による安定収入を得ている。豊富なコンテンツによってサイト閲覧数を確保することで、仲介業者とコンシューマーをマッチングするマーケットプレイスを確立。
さらに、マイクロソフトやYahoo!などとの提携、同業・関連ビジネスを手掛ける他社を積極的に買収することで、業界シェアとブランディングを確立した。最近では、住宅ローン業者とのマッチング、不動産契約の効率化、自社による不動産投資などの派生ビジネスも展開し、総合不動産情報企業へとさらなる進化を続けている。ちなみに、筆者が物件を購入した際にもZillowで情報収集のほとんどが完結した。特に親として、引っ越しの際に気になるのが公立学校の評価であるが、全米すべての学区を網羅しており、非常に参考になった。
また、これ以外にも過去の物件価格や近隣相場・固定資産税の推移、ローン計算が役に立った。現在も、自宅の価値や近隣の売買動向をチェックしたり、Zillow Porchlightというインテリアアイデア集を見たりと、Zillowアプリは住宅の売買という大イベントが終了したあとも、いつ見ても飽きない。
一方、不動産サイトは競争の激しい領域でもあり、自ら仲介業者でもあるRedfinが不動産情報サイトを充実させ、Zillowの牙城に食い込もうとしている。Redfinは全米をカバーしていない点でZillowにおよばないものの、仲介手数料割引を打ち出し、自社の仲介ビジネスへの集客との相乗効果も狙っており、今後両社の攻防にも注目したいところだ。

アメリカでうける3つのポイント

1.ワンストップ完結型!総合不動産メディアサイト

全米1.1億件を網羅する物件概要、過去の売買価格、固定資産税、学区情報・周辺売買事例、独自の見積価格、ローン計算機能などを一挙に掲載。さらに、仲介・ローン業者とのマッチング、契約書類サポート、インテリア関連サイトまで、住宅売買・賃貸に必要な情報がワンストップで収集できる。

2.巨大なニーズがある中古住宅売買市場に着目

転職やライフステージに合わせて家を住みかえていくのがアメリカ流。住宅に関する情報開示が進んでおり、リノベーションで住宅価値を維持向上させることが一般的である。この巨大な中古住宅売買市場が、Zillow成功の背景にある。

3.積極的な提携や事業展開により、利便性が他を圧倒

同業・類似企業の買収や提携、周辺サービスへの拡大で、業界シェアとブランディングを確立。単なる物件情報サイトから、不動産総合サービス提供企業へと変貌しつつある。

 

日本だとつい新築に目が行きがちですが、中古物件に巨大なニーズがあるアメリカの特性も踏まえた便利なサービスですね。親ならば誰もが気になる近隣学校の評価もわかりやすくランキングですべて網羅しているのもありがたいポイント。また、ローンまでワンストップで解決できるのは、忙しい現代人には嬉しいですね。
鮮やかなビジネス展開、不動産売買後もリピートしたくなるコツも含めて、是非参考にしてみてはいかがでしょうか。

 

グローバルママ研究所

世界35か国在住の200名以上の女性リサーチャー・ライターのネットワーク(2017年12月時点)。企業の海外におけるマーケティング活動(市場調査やプロモーション)をサポートしている。