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【フランス宅配事情】冷凍食品も「地産地消」!地元民が愛する冷食宅配サービスとは?

こんにちは。世界のママを研究しつくす!「グローバルママ研究所」のNanaです。
家族の健康管理を一手に引き受ける主婦として、買い物をするときもつい裏面をみるのが習慣となっている私。特に子どもたちが毎日口にする食材や加工食品は、栄養面だけでなく安全面にも、注意を払いたいですよね。
今、世界各国でサステナビリティの視点から、そして、地域の農業活性化や食料自給力の向上を目的として、地産地消の取り組みが、注目を集めています。なかでも、地場産の食材は、新鮮であるのはもちろんのこと、生産地が明確で、生産者から消費者までの距離も短く、健康やサステナビリティを重視する消費者の間で、関心が高まっています。
今回のテーマの舞台はフランス。なんと当地では、生鮮食料品のみならず、冷凍食品といった加工食品まで地場産にこだわった、一歩進んだ「地産地消」が話題となっているようです。のぞいてみましょう。


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普段、購入する食材の生産地を気にすることはあっても、冷凍食品の生産地まで考慮することは、少ないかもしれない。フランス西部と東部の2箇所に拠点を置く「メゾン・リコ (Maison Ricot)」は、地域限定の冷凍食品宅配サービス業者。「地場産の冷凍食品」を売りにする同社の顧客数は、過去6年で倍増の約25,000世帯。さらなる伸びが期待される企業へと成長を遂げた。家族経営の会社からスタートし、周辺地域の家族向けのサービスを企業モットーにするメゾン・リコ。
その成功の秘訣を、同社の地元である西部地方の事例から紐解いていく。

商品・プロモーションの概要

顧客に声に忠実に!「偽りのない経営」がモットー

メゾン・リコは1985年に、フランス西部のメーヌ・エ・ロワール県にあるショレ Choletで設立された。1991年には企業や個人を対象にした国内の冷凍宅配サービス業者の団体である「GIE Unisson」グループに加入(現在13社が登録)。この加入が商品販売価格値下げの実現へとつながったと、同社の代表クリスチャン・リコ氏は振り返る。
2005年以降は、地元ショレ以外の西部地方2県の各主要都市に物流プラットフォームを設置。近郊の4県を宅配対象地域へと拡大し、顧客に生産地の「近さ」をアピールした。「顧客第一の企業理念に基づき、顧客の声に耳を傾け、偽りのない経営をしてきたこと」が、今日のメゾン・リコ成功理由のひとつだとリコ氏は自負する。
地場産の強みで、生鮮食材を新鮮なうちに冷凍加工。製品によっては、注文を受けてから袋詰めをする。製品の品質については、1商品につき約10種の品質管理テストを毎週実施している。このようなクオリティー向上へのたゆみない努力や企業姿勢が顧客の満足度を高めている。

系列広告代理店の事業拡大とサロンイベントが顧客リピートの鍵?!

ここ10年のメゾン・リコの成長に欠かせなかったのは、2005年設立のグループ系列企業「スタジオ・リコム(Studio_Ricom)」の存在だろう。創立当初はメゾン・リコの商品カタログ製作のみを扱う広告代理店だったが、地元の観光や産業など異業種へサービスを拡大。取り扱う媒体を、印刷物からWebサイトやバナーなどデジタル化し、地域への宣伝を強化したことで、メゾン・リコの知名度は一気に上昇した。
さらに、メゾン・リコは地元ショレで顧客を対象としたサロンイベントを毎年10月に、2日間にわたり開催。食品生産者と顧客の試食を兼ねた、直接対面を行っている。こうしたサービスの改善と、企業成長に向けた努力を重ねた結果が、おしゃべり好きなフランス人同士の口コミによって徐々に広がり、今日の顧客増加へとつながっている。

参考URL:
メゾン・リコ公式サイト
http://maison-ricot.com/
メゾン・リコに関する記事

https://www.ouest-france.fr/pays-de-la-loire/la-roche-sur-yon-85000/maison-ricot-ouvre-son-premier-depot-en-vendee-1125608
メゾン・リコに関するインタビュー記事(広告事業)

http://www.letelegramme.fr/ar/viewarticle1024.php?aaaammjj=20071102&article=1727669&type=ar

支持されている背景・理由

ローカルの食材で地域に根ざした企業経営

地域の家庭を中心とした、顧客の声に寄り添ったサービスの向上を企業方針に掲げている。同社の約700種の製品のうち、4分の3が地元産。他社にはない家庭料理のメニューも豊富なほか、毎月約30種の新製品をラインアップすることで、新規顧客の獲得やリピーター増加につなげている。系列の広告代理店も地域密接型の経営で、地元への宣伝効果は絶大だ。

フランス人ママの心をくすぐる3つのポイント

地域限定だからこそ、行き届いた質の高いサービス

地場産の生鮮食材を新鮮なうちに冷凍加工し、製品によっては、注文を受けてから袋詰めするきめ細かいサービスは、地域密着型のビジネスならではだ。

顧客第一主義の企業モットーが共感を呼ぶ

顧客の声を直接聞く機会を定期的につくり、またその声をできる限りサービスに反映してきた姿勢が、消費者の支持を得ている。

地元産が4分の3!地産地消を求める消費者ニーズに対応

地産地消に注目する消費者の増加に合わせ、地元生産者と協力。販売商品の食材約75%を地場産で賄うことに成功している。

 

地場産の生鮮食品を使用することで、新鮮なうちに冷凍食品に加工されるのは、消費者にとっては嬉しいですね。また、地域に根ざした経営により、消費者とのコミュニケーション機会も多くなり、企業姿勢を伝えやすくなります。
地元を巻き込みながらどうブランドをつくり、地域にも経営側にもメリットがあるビジネスをつくれるか、という視点から興味深い事例。是非参考にしてみてはいかがでしょうか。

 

グローバルママ研究所

世界35か国在住の200名以上の女性リサーチャー・ライターのネットワーク(2017年12月時点)。企業の海外におけるマーケティング活動(市場調査やプロモーション)をサポートしている。