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News Update

ママが熱狂した、香港のコインランドリーサービスとは? 秘訣は付加価値提供とLTV(ライフタイムバリュー)の最大化

こんにちは。世界のママを研究しつくす!「グローバルママ研究所」のNanaです。
ショッピングやグルメなど、活気あふれる国際都市・香港で、今、新しいトレンドが誕生しているそうです。それは、意外なことにコインランドリー!過去4年の間に、東京のわずか半分ほどの土地に180もの店がオープンしたことからも、その人気ぶりをうかがうことができるでしょう。近ごろ、日本でもおしゃれなコインランドリーが登場していますが、香港では日本とは異なる独特の洗濯事情がその流行の裏にあるのだとか。今回は、たった数年でコインランドリーが、ここまで急激に香港で人気になったその理由と背景を探っていきます。

世界的な金融センターであり、観光地としても名高い香港。活気あふれるエネルギーに満ちた国際都市では、今、不動産価格の高騰が深刻な問題となっている。東京都の約半分の約1,100km²という狭い土地にもかかわらず、人口密度は世界第3位の6,747人/km²と深刻な土地不足に陥っており、そのため住居の狭さが悩みの種だ。そんな住宅事情もあり、香港の家の中で置き場に困るのが洗濯機。この状況を改善するべく、ここ数年香港で注目されているのが、コインランドリーだ。今回は、数年前まで主流だった伝統的なクリーニング店と最近急増しているコインランドリーの特徴を比べながら、香港ママの洗濯事情についてお届けしたい。

商品・プロモーションの概要

住宅問題と深刻な空気汚染に起因する香港の洗濯環境とは?

「世界でもっとも家を持つことが困難な都市」に、8年連続で選ばれた香港。国際通貨基金によると、住宅価格は「好景気かつ過大評価」の状態で、行政長官が「当局による抑制策が機能していない」と指摘する事態になっている。香港の住宅では、スペース確保のため、洗濯機はキッチン台の下に備え付けの場合が多い。また、ベランダなしの物件がほとんどのため、基本的に洗濯物は部屋干し。それでも、おひさまの下で洗濯物をパリッと乾かしたいという万国共通のママの願いから、香港で晴天時によく目にする光景が、公園や道路に干された洗濯物だ。さらに、香港の空気汚染は深刻で、中国の北京よりもさらに悪い数値が出ることもある。大気汚染指数が「健康に良くないレベル」に達することもしばしば。その上、亜熱帯気候のため年間を通して湿度が高く、湿度が80%を超えることは珍しくなく、100%になることもあり、とにかく洗濯物が乾きにくい。このように、理想の洗濯環境から程遠い香港では、洗濯、乾燥から折りたたみまですべて引き受けてくれるクリーニング店が日常的に利用されてきた。

香港の新しいトレンド!コインランドリー

香港で、ほんの数年前まで洗濯を外注する際に主流だったのが、現地で「洗衣便利店」と呼ばれる、重量で値段が決まる料金一律制のクリーニング店だ。朝の出勤前に洗濯物を出すと、当日の帰宅時間帯には受け取ることができるという、迅速で便利なサービスのクリーニング店だが、その反面、洋服が床に直接置かれたり、他人の洗濯物と混ざったりと、衛生面での不安点や、営業時間が短いという弱点もあった。そこに現れたのが、コインランドリー。驚くことに、香港におけるコインランドリーの登場は2014年と、つい数年前のことで、香港の人々にとってコインランドリーで洗濯をすることは、新しいトレンドなのだ。宅配物受け取りサービスやWifi提供、壁のスペースを使ったアート展示、こだわりのコーヒーが飲める併設カフェなど、さまざまな工夫と集客イベントによって、瞬く間にコインランドリーが香港ママたちの間で浸透していった。

参考URL
https://www.mofa.go.jp/mofaj/area/hongkong/data.html(外務省 香港基礎データ)

https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2018-01-05/P22BVZ6S972901(Bloomberg)
https://www.businessinsider.com/the-most-expensive-cities-to-live-in-around-the-world-in-2018-2018-1(Business Insider)
https://bit.ly/2yJVrS5
https://www.nytimes.com/2018/04/03/world/asia/hong-kong-housing-prices-laundromats.html(The New York Times)

外に干す洗濯の様子

支持されている背景・理由

忙しい香港ママのニーズに対し、付加価値を提供

洗濯と待ち時間を有効活用するサービスの融合が、ソーシャルメディアで話題になり、この4年間で180店ものコインランドリーがオープンした。朝、洗濯物を出すと当日の夕方仕上がりの地元クリーニング店に対し、コインランドリーはわずか1時間弱で洗濯を完了できるうえに24時間営業であることから、自らタイム・マネジメントが可能であり、忙しい香港ママのニーズにぴったり。また、従来のクリーニング店では服の紛失や他人の洗濯物がまざることもあったが、コインランドリーではそのようなトラブルはまず起きない。それに加え、待ち時間に近所の人との交流が生まれるというメリットもある。ひとり暮らしのお年寄りの憩いの場になったり、忙しい香港人にちょっとした息抜きの時間をもたらしたり、「コインランドリーのおかげで近所の人を知るきっかけになった」という声もあり、誰にでも気軽に話しかけるおしゃべり好きが多い香港人には、その点からも評判が良い。付加価値を提供するコインランドリーは、顧客の満足度が高く、長期に渡るリピート利用者が期待できる。香港におけるコインランドリー・ビジネスの成功は、香港ママを中心とした「ライフタイム・バリュー(LTV)の高い顧客」を確保した結果といえるだろう。

香港でうける3つのポイント

住宅問題や空気汚染に悩む香港人の洗濯事情

高湿気や空気汚染が深刻で、住居が手狭な香港では、自宅で洗濯物を干す場所や洗濯機置き場の確保が困難。洗濯から乾燥まですべて仕上げてくれる洗濯ビジネスが重宝されている。

忙しい香港ママのニーズにうまく合致

コインランドリーは、衛生面や紛失などの従来のクリーニング店につきものの不安点もクリア。24時間営業、1時間弱で洗濯が完了できることから、忙しい香港ママのニーズにマッチした。

付加価値があるサービスと空間

宅配物受け取りやアート展示、カフェ、Wifiのサービスやコンテンツに加え、ご近所さんとのおしゃべりや気晴らしの場としても機能。洗濯以外にも付加価値を生み出す空間を提供している。

 

日本人の感覚からすると驚くのが、香港にコインランドリーが登場したのがほんの数年前であるということ。日本よりも高温多湿な香港。コインランドリーはまさに消費者のニーズと合致し、瞬く間に国内に広がっていったのも納得できます。さまざまなサービスが併設されているコインランドリーは日本でも広がりを見せていますが、まだほんの一部にとどまっています。香港のような付加価値があるサービスがもっと広がるとうれしいですね。

 

グローバルママ研究所
世界35か国在住の250名以上の女性リサーチャー・ライターのネットワーク(2019年4月時点)。企業の海外におけるマーケティング活動(市場調査やプロモーション)をサポートしている。