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News Update

COVID-19のCPG商材への影響:2021年のeコマース統計からわかること

パンデミック後の1年間に起こった状況を振り返ると、eコマースの状況が急速に変化したことがわかります。たとえば、日用消費財(CPG)の業界は2020年3月から5月までのわずか3ヵ月で、eコマースがこれまで以上にブランドを成長させるために重要なチャネルになることを体感しました。つまり、消費者が自宅で過ごすようになったため、オンラインショッピングは 2020年に急増し、多くの消費者は、娯楽・服・燃料などといった生活に必要なもの以外の支出を削減し、日用消費財(CPG)のカテゴリの商品の購入を優先しました。CPGブランドのeコマースの機会はかつてないほど多くなり、CPGブランドがチャネル全体で繁栄し、リピーターを獲得する機会は増え続けています。

この記事では、COVID-19によってCPG業界 がどのように変化したか、様々なデータをもとに説明します。

2020年のCPG商材の成長

CPG(日用消費財)とは食品や飲料、パーソナルケア用品、家庭用品など、消費者がほぼ毎日使用し、頻繁に交換する商品のことです。パンデミックによって引き起こされた健康と安全への懸念から、多くの消費者がオンラインでCPG商品 を購入しています。米国での2020年の市場調査結果ですが、米国の消費者の5人に2人 がDtoC企業を知っており、その内の7割がそのブランドで購入した経験があると答えています。日本でも同様に、注目され始めているDtoCチャネルを用いた消費者との接点の確保はますます重要になると思われます。

COVID-19によるCPG商材への影響

インターネットを利用した一世帯あたりのCPGの食品関連の項目の売上は、2020年3月から5月にかけての3ヶ月間で各世帯1ヵ月当たり平均およそ2,600円増加 し、前年比で169%となりました。一方で、レジャー関連としてチケット、旅行関連の商材の売上は5月の一世帯当たりの平均の購買額で前年比-91%まで落ち込みました。COVID-19の影響で以前までの購買習慣が制限され、消費者の安全上の懸念が高まり始めたため、インターネット経由での出前 の注文額の平均は前年比168%にのぼりました。2020年3月から5月にかけての3ヶ月間、オンライン上のレジャー関連を除いたCPG売上は62%、金額にすると8,579円増加しました。
このように、コロナ禍においてCPG商材を巡る状況は大きく変化しました 。

■2019年―2020年 インターネットを利用した1世帯当たりの1ヵ月間の支出(2人以上の世帯)

■2020年 インターネットを利用した1世帯当たり1ヵ月の支出(2人以上の世帯)前年比

■2020年 インターネットを利用した1世帯当たり1ヵ月の支出(2人以上の世帯)前年比 レジャー/レジャー以外

「家計消費状況調査年報 令和2年 時系列表 インターネットを利用した1世帯当たり1か月間の支出(二人以上の世帯)」(総務省統計局)
https://www.stat.go.jp/data/joukyou/2020ar/index.html)より作成

海外ではオンラインでの 購入、店頭での受け取り(BOPIS :Buy Online Pick-up In Store とも呼ばれます)などのハイブリッドオプションは、多くの消費者の間で人気です。パンデミックにより2020年5月のBOPISは前年比で106.9%となりました。BOPISの売上高は、2020年に前年比で107%、過去最高の724.6億ドルに達し、2024年まで毎年成長が続くと予測されています。2021年末までに、BOPISの売上高は9.9%を占めると予想されます 。

「Click and collect, an already popular option, finds a new gear」(Insider Inteligence)
https://www.emarketer.com/content/click-collect-already-popular-option-finds-new-gear

これからのCGPブランドに求められること

COVID-19の影響で、長持ちし、高価値で、手頃な価格で入手できる商品は、ますます消費者に選ばれていきます。 このような状況下で、企業にはどのようなことが求められているのでしょうか。
パンデミックが収まり、経済が改善しても、商品の価格は多くの消費者にとって購入を決める上で重要な要素です。多くのCPG商材は生活をする上で欠かせないものなので、消費者にとって生活必需品にあてる支出のカテゴリに分類されますが、価格競争に巻き込まれることを回避するためにも「ニーズ」よりも「ウォンツ」に訴えかけることが重要になっていくでしょう。
また、消費者は商品購入によってどんな価値が手に入れられるかを知りたがっています。オンラインでの購買行動が主流になった時に、いかに消費者から選ばれ続けるか、 CPGブランドは、これを念頭に置く必要があります。

最後に

いかがでしたでしょうか。CPGブランドは、パンデミックの発生後、多くの脅威に直面したと同時に、多くの機会を得ました。今後、現在の消費者を引き付けるものを深く理解していくこと、そしてその理解に基づき「商品やサービスの価値を再定義する」ことが、が 企業やブランドにとって比類ない成長を遂げるチャンスとなるのではないでしょうか。

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