マーケティングストーリーラボ(MSL)

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News Update

サステナブル・ブランディング WEBメディアにおけるコミュニケーションの重要性

「サステナブル(持続可能な)」という単語はもはやただのバズワードではありません。
サステナブルな取り組みに世界中の企業が力を入れています。すべての企業が環境保護や人権に関して責任を負っているという認識のもと、サステナブルな視点をなくすと、持続可能な生産を続けていくことが難しい一面があります。
ブランドマネージャーの立場では、これまでは「サステナビリティへの関心は高まっているが、商品の購買にはつながらない」と考えられており、それが長年の常識でした。
サステナビリティを推進するには、CSR・企業理念・パーパスなどの企業活動の根幹から、どのように取り組むかを決め、自社の取り組みを見直すことで、持続可能な企業活動、つまり、企業にとっても、地域住民や従業員にとってもプラスになるような活動を行うようシフトする必要があります。企業にとって、サステナブルな視点での生産活動は避けては通れない、そんな時代になっています。一方で、サステナビリティを企業活動の戦略の中心においているブランドであっても、消費者への情報発信が不十分であったり、サステナブルブランドとしての認知が十分でなかったり、あるいは商品やサービスの機能的な面での訴求に偏ったりしている場合、せっかくの取り組みに見合う認知が得られないことがあります。マーケティング活動において、社会課題やサステナビリティにどのように貢献できるかを、自社の商品やサービスと適切にむすびつけて発信し消費者に選ばれ続けることが重要です。
今回は、サステナブル・ブランディングに関連する企業の取り組みと、それをどのような形で消費者に発信しているという点に着目して、いくつかの事例を紹介いたします。

Adidas 消費者の価値観を理解した取り組み


Adidasでは「END PLASTIC WASTE」を掲げ、海洋プラスチックごみ 対策としてプラスチックをリサイクルした製品を開発しています。また、2024年までに、すべての製品にリサイクルポリエステルを100%使用するという目標を設定しています。
Adidasのこの取り組みは、突然始まったことではありません。2015年に海洋環境保護団体パーレイ・フォー・ジ・オーシャンズと連携して以降、社内外のブランディングの延長線上にあるという点がポイントです。唐突なサステナブル宣言ではなく、ブランドのターゲットの価値観にあった”かっこいい”という文脈に落とし込むことで、消費者に商品が選ばれ企業として利益を生み出し、この取り組み自体のサステナビリティも担保できているといえます。
自社のターゲットの価値観を理解した上でのサステナブル・ブランディングに取り組んでいる一例です。
参考:For the oceans -サステナビリティ-
https://shop.adidas.jp/sustainability/

LIXIL 慈善活動ではなく、事業戦略としてのサステナビリティ

次に紹介するのは、住宅設備メーカーLIXILの取り組みです。LIXILのコーポレートサイトでは、コーポレート・レスポンシビリティの取り組みが説明されています。
『コーポレート・レスポンシビリティ戦略』
LIXILでは、「グローバルな衛生課題の解決 ”すべての人に衛生を”」「水の保全と環境保護 “CO2ゼロと循環型の暮らしを”」「多様性の尊重 “すべての人に働きがいを””すべての人によい製品を”」と3つの優先的取り組み分野を定めており、その一つである「グローバルな衛生課題の解決 ”すべての人に衛生を”」ページ内では、実際の現地取材画像と共に世界の衛生環境に関する動画も公開されています。また、同ページには実際の取り組み事例に関するコンテンツへの導線や、これまでの「MAKE A SPLASH!」プロジェクトとの進捗報告資料のダウンロードリンクもあり、一般生活者、個人投資家などコーポレートサイトへ訪れるさまざまなステークホルダーに向け、厚みのある情報が提供されています。
参考:MAKE A SPLASH!
https://www.lixil.com/jp/makeasplash/

オイシックス・ラ・大地  「食品ロス削減」を目指して


有機・特別栽培野菜や添加物を極力使わない加工食品、ミールキットなどを提供しているオイシックス・ラ・大地のコーポレートサイトではサステナブルな取り組みについて積極的に情報発信をしています。特に「食品ロス削減アクション」のページでは、展開する「Oisix」「大地を守る会」「らでぃっしゅぼーや」の3ブランドのサービスがどのような形で「食品ロス削減」につながるか、消費者が親しみをもてるビジュアルとわかりやすい文章で情報を発信しています。また、実際にどの商品がどのような形でフードロス削減に役立つか紹介し、「●●でアクション!」といったような表現で該当商品の購入につながるリンクボタンも用意しており、消費者が「面白そう!」「やってみよう!」と思ったタイミングで次のアクションにつながるような仕組みも印象的なつくりになっています。
・参考:フードロス削減アクション
https://www.oisixradaichi.co.jp/foodloss-action/

最後に

いかがでしたでしょうか、事例にあげた企業に 共通するのは、まずは単に”いいこと”を行うというのではなく、自社の事業活動や商品・サービスを通してサステナビリティをどのように実現するかを明確にコミットしており、自社の生産活動の延長上にサステナブルの貢献があるということ。そして情報の発信の際、ターゲット層の価値観を意識したクリエイティブを使ってコミュニケーション設計している点が共通しています。自社の商品、サービスや取り組みが、サステナブルな社会構築にどのように貢献しており、消費者がそれを選ぶことによってどのように取り組みに参加できるかを発信しています。
サステナブル・ブランディングは、生活者が毎日のなかで感じるライフイシューや社会課題を可視化し、それを自社の商品やサービスの力でどう解決しようとするのかを発信することで「共感」を生み、ロイヤルティやライフタイムバリューの向上を目指す、新しい時代に即したマーケティング・コミュニケーションのあり方です。
生活者のエンゲージメントが高まることで、事業活動にも利益をもたらし、企業のサステナビリティ(=存続)にもつながっていくでしょう。

最後になりますが、このようなサステナブル・ブランディング視点での情報発信の初期設計や再構築に多数取り組んできたYUDEAにご関心をお持ちいただけましたら、具体的な事例やQ&Aを掲載している Sustainable Brand Journey も併せてご覧ください。サステナビリティやSDGsの実践に役立つ情報だけでなく、マーケティングやコミュニケーション設計に関するトレンドやノウハウもご紹介しています。

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