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【基本】マーケティングリサーチとは?成功事例と具体的な調査方法

マーケティングリサーチと市場調査は何が違うのでしょうか?商品販売をしている会社では、消費者の反応を効果検証してほしい、と言われることも多いのではないでしょうか?マーケティングリサーチとは、そんな時に必要になる手法です。マーケティングリサーチの調査方法について、成功事例等を交えながら、ご紹介していきます。

マーケティングリサーチとは?

マーケティングリサーチとは、商品・サービスを開発する際や、マーケティング活動をしていくにあたって、消費者からの情報を集めて、分析する過程のことです。マーケティングリサーチを行う目的は、一言で言ってしまえば「企業のマーケティング活動全般を成功させるため」、となります。マーケティング活動が商品を消費者に届けるプロセスであるのに対し、マーケティングリサーチは逆に消費者から顕在ニーズや潜在ニーズを引き出す過程です。

商品・サービスを開発する際は、マーケットインなのか、プロダクトアウトなのか、という考え方があります。両者は、間逆の考え方であり、大きな分かれ道になります。どちらにするべきなのか、という点では議論も分かれますし、明確な正解があるわけではなくケースバイケースとも言えます。

プロダクトアウトの考え方で有名なのがアップル創業者である、故スティーブ・ジョブズです。彼は、例えば携帯電話とパソコンが融合した、多くの人々が欲しがるであろう商品を開発し、世界を驚かせることを得意としていました。しかしながら、プロダクトアウトの考え方による商品は、消費者に受け入れられなかった時、どうするのかという問題がでてきます。この考え方はリスクも大きくマーケットインの発想の方が主流となっているのが現状です。このマーケットインでの商品開発に必要になるのが、マーケティングリサーチです。マーケットインでの商品開発をするためには、少なくとも市場調査が必須です。さらに、マーケティングリサーチによって消費者が必要とするサービスを開発し、かつPRしていくことが必要になります。

しばしば、マーケティングリサーチという単語と、マーケットリサーチ=市場調査が同じ意味として使われることもあります。しかし、マーケッターとしては、厳密には使い分けていますので注意が必要です。マーケティングリサーチと市場調査との違いについては、次章をお読みいただければ、と思います。
日本マーケティングリサーチ協会によれば、2017時点年まで、5年連続でマーケティングリサーチの市場規模が伸びているということで、今後も広がりが予想されています。何か新商品や新サービスを開発し、プロモーションしていく前に、必要なステップとなって定着していくのではないでしょうか。

市場調査との違い 未来の予測を目指すマーケティングリサーチ

「マーケティングリサーチ」と「市場調査」はよく混同されがちですが、市場調査がマーケティングリサーチの一部である、と言うことができます。市場調査が現在の時点、もしくは過去のデータを収集するのみであるのに対し、マーケティングリサーチでは未来を予測することを目指しています。データ取得は、すでに起こったことに対してできることです。市場調査によって、過去から現在の時点までのデータ取得と分析をした上で、かつその先の未来を予測するのがマーケティングリサーチなのです。
そうは言っても、どのようにして予測することが可能なのか、次章ではマーケティングリサーチの具体的な手法について、ご紹介していきます。

参照:
経営業務実態調査 http://www.jmra-net.or.jp/activities/trend/investigation/

マーケティングリサーチの手法

マーケティングリサーチの手法は、大きく分けると定量調査定性調査に分けることができます。定量調査は、数値を集めることによって、主に仮説の検証や現状の実態把握をすることを目的としています。具体的には、WEBや郵送でのアンケートによって数値を集めます。アンケートでは、○か×、1~5段階で答えたりといった質問が一般的です。定性調査は、数値化できない情報、例えば消費者の言葉や行動から仮説そのものを立てる際や何かの原因を把握することを目的に行います。
定量調査と定性調査、どちらが良いか、ということではなく双方を目的に応じて組み合わせ、掛け合せた分析をすることが必要です。

定量調査

定量調査の調査方法の具体的種類には、例えば、下記のようなものがあります。

  • WEB調査
  • 電話調査
  • 郵送調査
  • FAX調査
  • 会場集合調査

または、自社調査でなくとも、下記のような公表されている統計データを活用することもできます。

  • 政府統計
  • 業界団体調査データ
  • 新聞社や放送局の調査データ
  • 調査専門会社の調査データ

定性調査

定性調査は、例えば下記のような手法があります。

  • グループインタビュー
  • デプスインタビュー(インデプスインタビュー)
  • 訪問面接調査
  • 行動観察調査

マーケティングリサーチの成功事例

ここまで、マーケティングリサーチとは何なのか、そしてその具体的手法をみてきましたが、実際の企業活動において、現場ではどのように活用されているのかを見ていきましょう。

事例1:株式会社明治

よく注目を集める事例ではありますが、近年異例の大ヒットといわれる商品の一つに、明治の「ザ・チョコレート」があります。おしゃれなパッケージと、従来のチョコレートの二倍する価格帯でありながらのヒット。既存のチョコレートでは空白地帯であった商品を開発できた裏側には、緻密なマーケティングリサーチがあります。だからこそ、開発途中での社内の反対の声にも毅然とした対応により開発を進めることができました。事前のマーケティングリサーチによって、消費者からの声を集めていたからできたのです。

明治では、その他の商品開発においても同様のアプローチがなされています。例えば、「生活者研究」と呼ばれる、幅広い年齢層の食生活・趣味・交友・ファッション・健康意識といった全般に関する数々のデータを集めています。これは定量調査と呼べるものではないでしょうか。また、重視している調査の一つに、「グループインタビュー」があります。ふだん買っているデザートの満足・不満足な点を聞くことでニーズを探っています。もちろん、新商品やリニューアル商品の試作品を試食してもらいながら、商品をブラッシュアップしていくそうです。こちらは、定性調査の典型的なやりかたですね。さらには、発売後の商品の味の満足度や購入回数などを調査し、リニューアル等にもつなげていっています。

事例2 アサヒビール

こちらも有名な事例ではありますが、アサヒのノンアルコールビール「ドライゼロ」の開発についてです。もともとは、ノンアルコールビールの分野では、「ダブルゼロ」という商品を発売していました。しかし、競合商品の「キリンフリー」や「オールフリー」に勝つことができず、シェアは2%程度に低迷していました。調査の中で浮かび上がってきたのは、ビール愛飲者も、あえてノンアルコールビールを飲んでいるという、意外な実態でした。休肝日をつくりたかったり、仕事が忙しい日の前日にアルコールを控えたり、という飲み方をしていたのでした。また、競合他社の商品のイメージには、「健康」や「女性的」であったため、空白地帯であった「男性的」「ビールに近い」という商品コンセプトをつくることができました。ビールの代替品となるような、飲み応えのある商品を開発し、シェア拡大することができました。

参照:
明治品質コミュニケーション https://www.meiji.co.jp/corporate/quality/mqc/design/

いかがだったでしょうか。ここまで、マーケティングリサーチとは何か、定量調査と定性調査、事例についてご紹介してきました。定量調査と定性調査は、どちらから始めてもよいものです。定量調査から浮かび上がってくる仮説を、定性調査においてインタビュー等から検証する、ということもできます。逆に、定性調査をしたところで浮かんできた仮説について、定量調査から検証する、というアプローチも可能です。マーケティングリサーチをするにあたっては、何のために調査するのか、またその結果を受けて、どうPDCAをまわしていくのか、が重要となるでしょう。ここまでご紹介してきたことが、みなさんのマーケティング活動を進めていくにあたっての、参考になればうれしく幸いです。

 

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<しまうま>
水好きのため、主に川辺に生息する。現在の生息地は荒川沿い。休みの日は、荒川土手をお散歩するのが至福。実は草よりも仕事と勉強が好物のため、デジタルマーケティングを学びつつ、実践しつつでおなかいっぱいな今日この頃。ワーキングマザー歴は15年超のベテランながら、この4月に始まったお弁当作りは、朝早いので苦手です。