マーケティングストーリーラボ(MSL)

CONNECT THE STORIES, TO LIVE AND LONG ENGAGEMENTS “生きたStoryを感じる”「場創り」と「コンテンツ創り」

News Update

「売れない」は「利用されない」ではない!

先日、とある緑茶メーカーのご担当者の方とオンラインでお話をしていたときのこと。「最近の若い人たちはお茶を飲みませんから」と嘆くご担当者。確かに、最近の若い人たちは急須なんで持っていないんじゃないかな……と、ちゃぶ台の上に置かれた急須と湯呑、茶たくをイメージし、「日本の文化が消えていくなぁ」などと感傷に浸ろうと思った矢先、ふと視線の片隅に入ってきた緑茶のペットボトル。そして私は思いました。

「あれ? 本当に若者って緑茶飲んでないの??」

脱・思い込みはデータ×暮らし推察で

調べてみたところ確かに緑茶葉の売上げはこの10年は低い水準で横ばい状態が続いていますが、ペットボトルの緑茶飲料は安定した成長を続けています。令和3年2月に発表された農林水産省の「緑茶の飲用に関する意識・意向調査結果」によると多くの人が緑茶飲料を利用し、次いで茶葉を使用しているという結果が出ています。また、緑茶は飲まないと答えているのは、30歳未満の若年層でも18%と低い結果でした。

普段どのような緑茶を飲むか(複数回答)

令和3年2月発表 農林水産省「緑茶の飲用に関する意識・意向調査結果」より(以下同)

 

「最近の若い人たちはお茶を飲まない」のではなく「最近はお茶の飲み方が変わった」というのが事実のようです。このように、日々の売上げ数値に追いかけられていると、つい「売れない=利用されない」と思い込んでしまいますが、このような状況でこそ少し遠回りですが、消費者の日常を丁寧に見ることが大切です。

先ほどご紹介した調査には続きがあります。

 

緑茶を飲む理由(複数回答)

 

茶葉からいれた緑茶を飲む理由(複数回答)

ティーバッグでいれた緑茶を飲む理由(複数回答)

緑茶飲料を飲む理由(複数回答)

以上のデータからでも見えてくる「暮らし」があります。茶葉からいれたお茶を飲む人は、味や香りといった情緒的な価値に魅力を感じているようです。一方で緑茶飲料には飲みたいと思ったときに、いつでもどこでも飲めるからという利便性に魅力を、ティーバッグには「準備や片付けが楽」「急須などの茶器がいらないから」といった簡便性に価値を感じているようです。

味わいが好きだし、からだに良いと思うからお茶を飲みたい。しかも「手軽に好きな時に、飲みたい場所で」というのが消費者の「緑茶」に対して感じている魅力とニーズだということがわかりました。

 

情緒的価値だけで勝負する難しさ

では、茶葉を売りたいと思ったとき、商品の価値を前面に出していきたいわけですが、実は情緒的価値というのは表現が難しいものです。「お茶を飲むと心が安らぎますよ」と言っても、それはティーバッグでもペットボトルでも言えてしまうからです。

この段階まで来たらじっくりと商品と向き合います。茶葉からお茶を入れるときに感じる「面倒くささ」をどうしたら取り除けるだろうか? ここは目をそらさずに立ち向かってください。では、以降にこの点と真っ向勝負をし、成功した事例をいくつかご紹介します。

 

「見て、淹れて、アレンジする」透明なグラスの急須
「Ocha SURU? Glass Kyu-su 01」株式会社 伊藤園

お茶の時間や味、色合いをスタイリッシュに楽しめ、未使用時もミニマルに収納できるシンプルで飽きがこないデザインをコンセプトとした茶器。取っ手や注ぎ口がないので洗いやすく、ガラス製なのでお茶を作る段階から色が楽しめます。

 

ペットボトル飲料と茶葉のいいとこどり
「朝ボトル」mirume 深緑茶房

オフィスワーカー向け、本格水出し緑茶のテイクアウトサービス。朝に水出し伊勢茶のボトルを受け取って、仕事が終わったらボトルは洗わずそのままお店に返却。お茶は飲み終わったら水を注ぎ足して、3煎目まで楽しめます。茶葉でいれたお茶の味や香りといった情緒的な価値と、手間を省いたペットボトルさながらの簡便性が人気を集めました。

 

アウトドアでも使える
「割れない 透明急須」株式会社LUCY ALTER DESIGN

「急須は割れる」という当たり前を変え、2017年の発売から2022年3月までの出荷7万個を突破した商品です。断熱構造なので取っ手がなくても熱くなく、スタッキングも可能。こちらは茶葉を売るメーカーの商品ではありませんが、「割れない」という価値がコロナ禍に人気を集めたキャンプと相性がよく、キャンプ=コーヒーの概念に一石を投じた商品として取り上げました。

いかがでしたか? 自社商品の真の価値・魅力ってなんだろう? と悩まれたら、リサーチからご提案までYUIDEAがお手伝いいたします。ぜひお問い合わせください。

 

商品価値の見直し&コンサルサービスについて

資料のご請求はコチラから