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「Amazon」はない!ニュージーランドのネット通販事情~ママの強い味方「ゴリラ君」とは?~

こんにちは。世界のママを研究しつくす!「グローバルママ研究所」のNanaです。

最近、配送問題やリアル店舗「Amazon Go」の出現などで何かと話題にのぼる「Amazon(アマゾン)」。日本でもっともポピュラーなネット通販といえばやはり、このサービスではないでしょうか。

Amazonでそろわないものはないのではないか、と思ってしまうほどの商品数を展開しており、今や“生活になくてはならないサービス”となりつつあります。子どもの学校用品や生活用品をはじめ、翌日に届くものも増えており、買い物に行けないけれど急に手に入れたいものがあるときなど、何度助けられたことか…。

日本では2000年11月に「Amazon.co.jp」として書籍の販売から開始したこのサービス。調べてみると、意外に世界展開国数は多くないようです(2016年時点、世界14か国で展開)。

では、Amazonが進出していない国ではネット通販はどのように発達しているのでしょうか?

 

今回はAmazonのない国ニュージーランドのネット通販事情から紐解きます。

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「おかあさ~ん、この新しいレゴ買ってー!」

 

息子たちが見せにくるのは、おもちゃ屋の「チラシ」ではなく「タブレット」。

デジタル世代の子どもたちは、欲しいものをインターネットで探してくる。

発売開始前の商品でも、ネット上に画像が載っていれば、簡単に欲しくなってしまう。

 

我が家から、一番近い町までは12キロ。

おもちゃが買える店といえば、大型ディスカウントショップが1店舗だけ。

最新商品の入荷も遅く、先行予約もできない。

ニュージーランドには「トイザらス」も「Amazon」も

参入していないのだ。

 

しかし、ニュージーランドのママたちは、まったく困っていない。

子どもたちの無理難題を解決してくれる、

強い味方「ゴリラ君」がいるからだ。

 

今回はニュージーランドで数多くの「オンラインショップ大賞」を受賞している、

ゴリラ君「Mighty Ape」(ネット通販サービス)を、ご紹介しよう。

ゴリラ君「Mighty Ape」(ネット通販サービス)とは?

Mighty Ape」は、ニュージーランドのインターネット通販会社である。

創始者のSimon Barton氏がオークランドに1995年にビデオゲーム販売店

「GameZone」を設立したのが始まりだ。

 

1998年からはネット販売を開始。

2008年に現在の「Mighty Ape」となり、同年に書籍やおもちゃの販売も開始。

2011年以降は、他ジャンルの商品(※)も豊富に取り扱うようになる。

 

社員数約70名。5,500㎡の巨大倉庫では、毎日約80人が3,000~4,000件の発送業務に従事している。

なお、同社は株式非公開会社で、事業報告書を公開していないが、

2014年のインタビュー(Mighty Ape trongarms online business (2014年10月26日))で、Barton氏は、売上高は

およそ50万~100万NZドル(37億5,000万~75億円/NZドル=75円換算)と答えている。

 

リサーチ会社Nielson社から発表されたレポート(New Zealanders shopping online anytime, any place (2014年7月9日))によると、

ニュージーランドの総人口の11%の当たる37万人以上が

Mighty Ape」のサイトを閲覧とある。

いかにニュージーランド内での影響力が大きいかわかるだろう。

 

社名の「Mighty(強力な)Ape(類人猿)」と、会社ロゴの「ゴリラ」は、

任天堂ゲーム「マリオ vs ドンキーコング」から採ったそうだ。

社名とロゴを変更してから、女性顧客が20%から51%にも上昇した。

ここでも日本のソフトパワーが威力を発揮している。

 

Barton氏は、Amazonの動向を常にウォッチ。

発送特典が受けられる「Prime Ape会員」や

個人で出品できる「マーケットプレイス」はもちろん、

ニュージーランド総人口の46.9%を占める

3都市(オークランド、ウエリントン、クライストチャーチ)で、

当日発送といったサービスのほか、

オークランドでは「Pick Up」(―注文した商品を、顧客が流通センターに取りに行ける。

センター内に設置されているPCからも注文可能。在庫があれば、その場で商品を引き取ることができる。)も可能だ。

 

予約注文」では、発売日までに値段が変動しても、

予約期間中の最安値で購入できる。

 

購入価格に応じて貰える「ポイント」など、

Amazonと似たサービスを充実させている。

※:同社公式ホームページより https://www.mightyape.co.nz/

 

「各部門の商品の販売開始時期と取扱数」取扱数は「値段カテゴリー」より算出(2017年5月現在)

 

2008年 書籍、おもちゃ販売開始(書籍300万冊以上、おもちゃ16,000点以上)

2011年 ホーム用品販売開始(ホーム用品8,600点以上)

2012年 ホビー、衣料品販売開始(ホビー用品14,000点以上、衣料品3,4000点以上)

2013年 ベビー、オフィス、ヘルス用品販売開始(ベビー用品5,600点以上、オフィス用品7,200点以上、ヘルス用品2,500点以上)

 

「その他の取扱商品」

・コンピュータ、電化製品 9,300点以上

・DVD、Blue-ray 15,000点以上

・ミュージック、楽器 7,000点以上

・ゲーム 4,300点以上

・食品、飲料 1,000点以上

 

なぜ、支持されているのか?

なんといってもスピードが速い。

 

1999年に「Trade Me」という巨大オークションサイトが

オンラインサービスを開始。Barton氏は「価格競争では勝ち目がない」と、

迅速な発送」に重点を置くようになった。

 

できるだけ多くの在庫を自社で抱え(その数なんと46万点以上)、

倉庫を社屋に隣接させたのも、そのためだ。

 

それ以外にSNS(ソーシャルネットワーキングサービス、交流サイト)も

フル活用している。BNZ銀行が行ったインタビュー(BNZ Online Retail Sales Report)で、

同社の「商品、ウェブ担当」のDylan Bland氏は、

メディアの活用は「顧客の興味を会社に惹きつけておくのが目的。

顧客には購買プレッシャーをかけないようにしている」と述べている。

 

実際、同社のFacebookページ(Mighty Ape Facebook) は、

最新ゲームやプレゼントキャンペーンなどの情報であふれている。実際、「親子でぬりえをしよう」というキャンペーンがあり、筆者も息子と、「ぬりえ」をダウンロードして、楽しんだことがある。

もちろん、誰でも無料でダウンロードできるのだ。

 

最後に忘れてはならないのはきめ細かな顧客サービスと品ぞろえだ。

 

「GameZone」時代から、数多くのオンラインショップ賞(※3)を

受賞している同社だが、顧客に対しては、あくまでも「直接対応」を貫く。

 

以前、筆者が注文した商品が「在庫切れ」だったときのこと。

翌朝の7時頃にMighty Apeの社員から、ひな型ではない

丁寧な「お詫びメール」が送られてきたのには、感心した。

 

同社の取扱商品は多岐に渡るが、主力商品は、

会社設立当初から販売している「ビデオゲーム」や「おもちゃ」である。

「おもちゃ」の取扱数は16,000点以上、うち80%以上も

在庫で保管しているのも、強みだ。

 

ママと子どもたちにとってこんなありがたい仕組みはない。

 

「Amazon」が参入していないニュージーランドでは、

総合オンラインショップ「Mighty Ape」はニッチながらも、

盤石な基盤を築いているようにみえる。

しかし、いつ“敵”が乗り込んでくるかはわからない。

 

『いつか「Amazon」が参入してくるのは脅威だが、

この国の「15%」という高い消費税は、彼らにとって

大きな挑戦になるだろう。』とBarton氏は分析している (Mighty Ape trongarms online business (2014年10月26日))。

 

※3:受賞(カッコ内は主催者)

https://en.wikipedia.org/wiki/Mighty_Ape

 

2004年 ベストオンラインストア賞(NetGuide NZ)

2007,2008,2009年 ベストオンラインショップサイト賞(NetGuide NZ)

2010,2011,2012年 ベストゲームショップ賞(NetGuide NZ)

2011,2012年 ベストショッピングサイト賞(NetGuide NZ)

2012年 ベストソーシャルネットワークページ賞(NetGuide NZ)

2014年 ベストビジネス賞(Westpac銀行)

2014,2015年 顧客サービス配送賞(Westpac銀行)

2016年 家電機器、テクノロジー部門ベストショップ賞(Consumer New Zealand)

ニュージーランド人ママの心をくすぐる三つのポイントとは?

1.豊富な在庫、迅速な発送システム

誕生日やクリスマスなど、季節ごとのイベントや期日が

決まっている贈り物をしたいときには、特に重宝する。

 

2.複数ジャンルの商品を、ワンストップで購入できる

Amazonの参入していないニュージーランドでは、

総合オンラインショップは、あまりない。

書籍もおもちゃも、食料品も一気に手に入るのは

他には代えがたい。

 

3.すぐれたカスタマーサービス

顔が見えないオンラインショッピングだからこそ、

顧客に誠実なショップを選びたいもの。

ネットサービスであろうとも対応をオンライン任せにしない、

その顧客対応姿勢が消費者に支持されている。

 

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まさに、痒い所に手が届くサービスをきめ細かく展開している、ニュージーランドの「Mighty Ape」。ネットショッピングで購入したら即日届くことが当たり前となっている今、優れたカスタマーサービスやSNSを活用したキャンペーンなどによる付加価値提供は、顧客満足度を高めるうえで重要な要素となりつつあります。

今後、「amazon」や「Mighty Ape」のようなオンラインショッピングが、どう進化していくのか楽しみに見守りたいものです。

 

グローバルママ研究所

世界33か国在住の170名以上の女性リサーチャー・ライターのネットワーク(2017年4月時点)。企業の海外におけるマーケティング活動(市場調査やプロモーション)をサポートしている。
http://gm-ri.com/