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【オーストラリア食品事情】賞味期限切れ間近の商品を無料で!食品ロス施策の好事例とは?

こんにちは。世界のママを研究しつくす!「グローバルママ研究所」のNanaです。
昨今、日本でも問題になっている「食品ロス」。日本では年間約632万トンにも上り、少しでも食品ロスをなくそうと様々な工夫としています。オーストラリアでは、賞味期限切れ間近の食品を活かした画期的なNPOプロジェクトが話題となっており、食物救済の慈善事業として機能しているそうです。今後の事業展開などにぜひお役立てください。

飽食の時代といわれる現代。まだ食べられるにもかかわらず捨てられていく「食品ロス」が問題となっている。国連食糧農業機関(FAO)の調査によると、世界中の飢餓人口は約8億人。9人に1人が食糧不足で苦しんでいる一方で、廃棄される食品の量は年間約13億トンにのぼる。この食品ロスを減らす取り組みを積極的に行っているのが、消費期限切れ間近の廃棄商品を大手小売り業者などから集め、保有するスーパーで無料提供しているオーストラリアの食糧救済団体「オズハーベスト」のNPOプロジェクトだ。

商品・プロモーションの概要

年間5,000トン以上の食品ロスを救済

2004年に設立したオズハーベストは当初、レストランなどホスピタリティ産業から廃棄品を集めて、ひと月に約4,000食をワゴン車で配布していた。13年経った現在では事業も大きくなり、大手ホテルやスーパー、農家、卸売業者、レストラン、カフェなど、食品ドナー(提供者)と呼ばれる3,000カ所以上の企業から廃棄品の寄付を受け、毎週100トン以上の食糧を救い出している。その量はなんと年間5,000トン!集まった食品は、固定店舗のスーパーにて全品無料で提供するほか、地域の慈善団体に寄付している。また、トラックで様々な場所をまわり、できあがった温かい食事の配布も行っている。スーパーでは、野菜や果物を中心にパンや加工食品など様々な食品を取り扱っており、無料ということを除けば、普通のスーパーと何ら変わりはない。アクセサリーなどのようになくても困らない商品とは違い、生きていく上で毎日必須となる食品が無料で入手できるのは、家計の支出を大幅に減らすことにつながり、特に低所得者層にとっては大きなメリットとなっている。

救済だけではない、団体によるベネフィットとは?

同団体が事業の目的として掲げる4つの柱が「救済」「教育」「協力」「革新」だ。
一つ目の「救済」とは、食糧による人々の救済。まだ十分食べられる食品を再利用することで、人々を飢えから救出し、食品ロスをなくすのが目的だ。二つ目の「教育」とは、食育を含む教育のことで、同団体の活動を通し、健康で栄養のある食生活や食品の廃棄、活動持続の重要性を人々に学んでもらうのが狙いだ。三つ目の「協力」とは、廃棄食品の提供業者や地域社会との協力関係のことを指す。食品ロスの減少を目指すという同じ志を持つ食品提供者や、同事業でボランティアに取り組む地域の人々の協力から成り立っている活動だということを重要視している。最後の「革新」は、新たな対策や提案のことで、飢えと食品ロスの撲滅に向け、新しい方法や革新的な解決策を絶えず模索している。このように四つの理念を元に、食品ロスの減少を目指している。この中でも「教育」活動の一環として同団体が食糧提供以外で実施しているのが、定期的な食のセミナーだ。このセミナーでは、食の栄養や健康、保存法、賢い買い物法などが学べるほか、有名シェフを招いて料理教室も無料で開催している。

寄付で持続可能な活動を目指せ!

ニーズに応じて事業は拡大傾向にあるが、気になるのはどのように必要経費を賄っているかという点だろう。廃棄品はすべて寄付だが、事業が大きくなればなるほど店舗や車両などの維持費も膨らむ。経費の支払いで事業が継続できなくなる可能性も充分あり得るのだ。同団体では対策として、ホームページ内で寄付を募るほか、固定店舗などに寄付箱を設置。廃棄品を持ち帰る顧客に活動維持のための寄付をお願いしている。このように完全な寄付制度により、持続可能な運営を目指している。

参考URL:
http://www.ozharvest.org/
http://www.fao.org/home/en/

支持されている背景・理由

食品ロスと貧困を同時に解決!壮大なエコシステム

同団体が支持されている理由は、現代の問題とされる食品ロスへの積極的な取り組みと、食糧不足で苦しむ人々への食糧提供という、「食糧」と「人々」の救済を同時に行っていることにある。また、「(廃棄)食糧」とともに「(経費を賄うための)お金」の寄付も募ることで、持続可能なシステムを作り上げたことも同事業が成功した秘訣だろう。

オーストラリア人の心をくすぐる3つのポイント

1. 食品ロスを減らし、困っている人に届ける社会貢献性

消費期限切れ寸前の廃棄商品を大手小売り業者などから集め、保有するスーパーで食料不足に苦しむ人々を対象に無料提供している。

2.「救済」「教育」「協力」「革新」という4つの柱

単なる無駄な食料と低所得者の救済のみにとどまらず、セミナーなどで食育を提供、地域社会の協力を得て、問題の革新に挑んでいる。

3.寄付金から維持費を捻出、持続可能な取り組み

食料とともに、ホームページ内や固定店舗などに設置された寄付箱から寄付金も募り、活動維持費をまかなうことで持続可能なシステムとなっている。

食品ロスを減らすということと同時に食べるものに困っている人を助けるこのプロジェクト。食べ物を供給するのみならず、食のセミナーも行っておりこの団体が支持され、寄付金が集まる理由がわかります。日本も今後どのように「食品ロス」という大きな課題をクリアしていくのか、必見ですね。


グローバルママ研究所

世界35か国在住の200名以上の女性リサーチャー・ライターのネットワーク(2017年12月時点)。企業の海外におけるマーケティング活動(市場調査やプロモーション)をサポートしている。