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オンラインストアと学校の先生がタッグを組む? 最新の米国・新学期商戦の戦い方とは?

こんにちは。世界のママを研究しつくす!「グローバルママ研究所」のNanaです。
学校の開始時期は異なるものの、どこの国でも新学期前は流通業界にとって一大商戦期。日本でも、スーパーやデパート、オンラインストアでは、ランドセルや文房具など、学校に関連する必需品の販売コーナーができ、売上向上に力を注いでいます。
ところ変わって、消費大国アメリカでは8月から9月は日本とは比較にならないほど大規模な商戦期の一つ。そして、Amazonに代表されるオンラインストアが出てきてから、この商戦の戦い方が劇的に変わりつつあります。それは、消費者である保護者のみならず、学校や先生とタッグを組み、巻き込んでしまおうという画期的なもの。購入時間の短縮や買い間違いを防ぐなど先生、保護者ともにメリットもありオンラインストアの企業側にとっても、クラス単位で顧客を増やすことが可能になるまさにwin-winな戦略。米国・新学期商戦の最新事例を覗いてみましょう。

夏が終わるとアメリカではいよいよ新学期がスタート!8月に入ると至るところで「Back to school(新学期)」というフレーズが聞こえてくる。長い夏休みを終えて、9月に文字通り学校に戻り、新たな一年が始まるよ、というメッセージである。そしてこの時期は新学期に備えて、学用品などをそろえる一大商戦期。バッグ、洋服、文房具、お弁当グッズなど売れる商品は多岐にわたり、アメリカ全体の売上は約860億円にのぼるといわれる。消費者の心をつかむために小売店が行うさまざまな工夫を紹介していく。

商品・プロモーションの概要

親目線での商品揃えで悩みを解消

アメリカの学校ではあらかじめ必要なものリストが配布され、それにしたがって買い物をするのが一般的だ。しかし、店舗に並べられている商品点数は日本よりも多い。だからこそ、悩まず、なるべく一度に済ませたいところ。店舗では、まとめ買いによる値下げはもちろん、オンラインストアでも選びやすいよう学年ごとに売り場を分ける工夫をしている。生徒1人につき平均688ドルを使うという統計もあり、まとまると決して安い買い物ではないからこそ、買う側も真剣だ。近年、話題となっており、人気を博しているのが、”nut free school safe”(ナッツ類未使用)表示つきの食品。ナッツアレルギーはアレルギーの中でも、呼吸困難を引き起こすなど症状は極めて深刻だ。過去、ナッツアレルギーをめぐり学校内で多くの事故が発生していることから、全米では「Nut-free school(学校へのナッツ類の持ち込み全面禁止)」とする学校が増えている。子どもたちを守るためのルールだが、親からすると、「子どもに持たせる食品にナッツ類が含まれていたらどうしよう…」という買い物時の悩みの種でもある。そこでハラル食品のように、「Nut Free(ナッツ類未使用)」の表示がある製品が安心して選べると好評なのだ。表示製品には、ランチやスナックで定番のグラノーラやクッキーなどがある。

伝達しやすいツールを先生に提供

新学期に揃えるものは、「必要なものリスト」として紙や電子データで学校から配布される。この「必要なものリスト」の伝達に目をつけたのが、 AmazonやWalmart などのオンラインストア会社。サイト内では、先生のWishlist(欲しいものリスト)公開ページをつくり、指定する各商品を販売ページへリンクすることで、簡単かつ商品の買い間違えを防ぐことが可能になった。先生、保護者ともにメリットがあることから、Wishlist公開を利用する学校や先生が増えつつある。企業側にとっても、1つのストアですべての商品を揃えてもらうことになれば、クラス単位で顧客を増やすことが可能になる。買い手ではなく、購入を指示する学校側へのアプローチに目を向けた画期的な戦略だ。

売上の一部が学校に寄付されるプロモーション

またユニークなのは、特定のお店で商品を買えば売上の一部が学校に寄付されるというプロモーションだ。例えば「名前を貼るラベリングはこんなに可愛くて丈夫なものがここで買えるよ」と学校から宣伝するのだ。日本人にとっては、学校が特定企業や店の支援をすることに首をかしげてしまうが、アメリカ人は学校のほか、特に地元企業の応援や寄付に積極的だ。単品勝負で大手の商品や販路網に打ち勝つには、アメリカ人の慈善心を動かすのも重要な戦略の一つのようだ。

参考URL
https://nrf.com/resources/consumer-research-and-data/holiday-spending/back-school-headquarters
https://www.cnbc.com/2017/07/26/how-to-save-big-on-back-to-school-shopping.html
https://www.today.com/food/top-rated-allergy-friendly-foods-snacks-t109920

支持されている背景・理由

そもそもアメリカ人は買い物好き

ここまで読むと、「新学期の準備は大ごとだな…」と感じる人が多いかもしれない。日本では学校グッズの準備は親にとって気が重いであろう。特に共働きの多い昨今は、とにかく時短で済んだり、アウトソースできるサービスが人気と聞く。しかしアメリカではそれほどマイナスイメージはない。そもそも買い物が大好きな消費大国。義務的なものでさえ、新しいものを大量に買いそろえるのは気持ちがいいようだ。便利さは追及されているが、Back to Schoolのショッピング需要が小さくなることはないだろう。

アメリカでうける3つのポイント

1.商品や売り場の一工夫が購入の悩みを解消

新学期グッズを購入するにあたり、スーパーやモールの豊富な品揃えの中から必要な商品を短時間で見つけ出すのは困難だ。最近では、学年別に売り場が分かれていたり、表示が明らかにされていたりと欲しい商品の選択に工夫がされている。

2.先生も保護者も嬉しい便利ツール

各オンラインストアでは、一大商戦に勝ち抜くために、学校や先生に視点を合わせたWishlistツールを提供。購入時間の短縮につながるほか、買い間違いもなくなり、先生、保護者ともにメリットは大きい。

3.学校も地元店も潤う寄付プロモーション

新学期に揃える商品の販売先を学校が紹介・支援することで、売上の一部が学校に寄付されるプロモーション。保護者が指定店で購入することで、子どもの通う学校の支援にもつながる。

我が家も新学期になると、そろえる学用品の多さにいつも悩まされています。1つの店舗に買いに行けば、何かが売り切れで他の店舗をはしごするなどということも多くあります。オンラインストアで、必要な学用品がすべてそろうということはまさに時短で買い忘れもなく、特に働く親たちにとっては画期的なシステム。日本でもこのWishlistツールを使ったオンラインシステムが発展してくれたら嬉しいですね。

 

グローバルママ研究所
世界35か国在住の200名以上の女性リサーチャー・ライターのネットワーク(2017年12月時点)。企業の海外におけるマーケティング活動(市場調査やプロモーション)をサポートしている。