マーケティングストーリーラボ(MSL)

CONNECT THE STORIES, TO LIVE AND LONG ENGAGEMENTS “生きたStoryを感じる”「場創り」と「コンテンツ創り」

テーマは「がけっぷち」?? 第11回日本マーケティング大賞表彰式 パネルディスカッションの様子をお届けします

こんにちは。2019年度新卒で入社しました、しろです。只今、Digital x Globalにてローテーション研修中です。
今回は第11回日本マーケティング大賞表彰式に取材へ行ってまいりましたので、受賞企業・法人・自治体のパネルディスカッションを中心にその様子をお伝えします。
パネルディスカッションは、奨励賞・地域賞を受賞された企業・法人・自治体で行われました。


奨励賞:公益財団法人日本フィルハーモニー交響楽団「耳で聴かない音楽会」、株式会社ロッテ「お絵かき爽ハッピー」、株式会社TESS「COGY あきらめない人の車いす」、神戸タータン協議会「『神戸タータン』による地域連携マーケティングプラットフォーム構築」、株式会社有隣堂「老舗書店『有隣堂』の挑戦」
地域賞:株式会社阪急阪神百貨店「阪急うめだ本店デパ地下『食品メーカーとコラボでヒットを連発するオンリーワン戦略』」、株式会社クラスタス「南島原発!宅配クリーニングNexcy/ネクシ―」、北海道三笠市「高校がまちを変える~廃校からの決断~」

1.プロジェクトについて

プロジェクト立ち上げの背景

まずは、それぞれの担当者がプログラムに取り組もうと思ったきっかけをお話してくれました。「耳で聴かない音楽会」から登壇の宇佐美雅俊氏は、もともとメディアアーティストの落合陽一氏とONE OK ROCKのプロモーションで、聞こえる人を想定した「着る音楽ジャケット」を創作されたそうです。それに、聴覚障がい者の方と日本フィルハーモニー交響楽団の方が感銘を受け、コンサートにまで発展しました。日本フィルハーモニー交響楽団の「音楽を通して多くの方と感動を共有する」という思いを、違う目的で生み出された「着る音楽ジャケット」が偶然にも叶えたということになりました。テクノロジーを活用して、障がいの有無にかかわらず共通の体験をさせることに成功した、非常に興味深いマーケティングだと思いました。

障がい者の方に新たな体験を与えたのは、株式会社TESSの「COGY あきらめない人の車いす」も同様です。この商品は、車いすの人はもう自分の足を使って歩けないという既存概念を覆し、歩行困難者に「あきらめない」という選択肢を与えました。多くの歩行困難者の方があきらめるなか、人間本来の反射力を使うことを思いつき、開発にいたったそうです。鈴木堅之氏があきらめなかった結果、歩くことを断念した人たちに「あきらめない」ことを可能にした、社長の執念を感じました。

株式会社ロッテの川崎大輔氏は、新商品が飽和するアイス界で埋没しかけていた「爽」に、新たなブランドイメージをつけるために、消費者がSNSで自発的に宣伝できる販促物「お絵かきスプーン」を制作しました。消費者がお絵かきした爽をどんどんSNSでアップするので、波及力が生まれ、さらなる売上につながったそうです。

神戸タータン協議会の石田原弘氏は、神戸港の開港150周年を記念して地域・官公庁・企業が協力して制作されたそうです。「神戸は名所が少ないが、地元愛が強い人が多く、自慢になるようなものをつくりたかった」と自虐的なコメントで笑いを誘いながら、神戸への強い愛情を感じるコメントが印象的でした。衣服のみならず、有名キャラクターとコラボした商品を発売したりと、汎用性の高さから認知度の広がりやすさを感じました。

株式会社有隣堂の松信健太郎氏は、本と全く関係ないものも販売する新業態の店舗を出店し、斜陽産業と呼ばれる書籍市場に新たな機能をもたらしました。今までとまったく異なる業務を担当させてしまったが、社員全員が「がけっぷち」を感じていたので、その「がけっぷち」意識で快諾してくれたと、こちらも笑いを交えて紹介。社員全員の意識の統一をされていたことが、スムーズな新業態展開につながったのでしょう。今後も社会貢献のために新しいことを模索するとお話してくださいました。

株式会社阪急阪神百貨店の北部公彦氏は、食品のナショナルブランドとコラボして、誰もが知っているお菓子・食べ物のプレミアム版を販売しました。「新しい価値の創造」として、「モノ」で話題化し、話題を「ギフト化」しようということでプロジェクトが始まったそうです。また、阪急百貨店は、売り場:60%・楽しい:30%・情報発信:10%をめざしているとのこと。阪急百貨店でしか買えないというプレミアム化した商品を売り出し、その売上を、楽しいと情報発信に回すというサイクルをつくっていったそうです。

株式会社クラスタスの神崎健輔氏は、長崎県南島原市でクリーニング店を営んでいましたが、人口減少にともない、「Nexcy」というネットで申し込み、宅配便で引き取り・お届けができる宅配クリーニングサービスを始めました。しかし当初はまったく売れなかったため、「洗濯ハカセ」として洗濯に関する情報をブログやSNSにアップし、信頼度を上げ、お客様が増えていったそうです。幾度ものサイトリニューアルなどすべて自力で解決しようとする姿勢が、ファンづくりにつながったのだと思いました。

北海道三笠市の西城賢策氏は、三重県立相可高等学校からインスピレーションを受け、廃校予定だった三笠高校を食物調理科単科校へと転換させました。そして「三笠高校生レストラン」をオープン、自治体や高校OBの協力もあり廃校直前だった三笠高校を見事再生させました。近年ニュースになっている過疎化の問題を解決し、全国の市町村に希望を与える事例になりました。

プロジェクトでのピンチ

続いての「危機的状況は?どのように解決したか?」との質問にも、それぞれ危機的状況はあってもそこから楽しみながら巻き返したというお話が印象的でした。たとえば、「耳で聴かない音楽会」は、「着る音楽ジャケット」はコストやスケジュール的にも難しいことから、SOUND HUG(サウンドハグ)という新たな形を思いついたそうです。まったく新しいことにチャレンジされている方々たちが成功された秘訣は、「楽しむ」ことなのだとわかりました。

2.最後にメッセージ

宇佐美氏は、「一番難しいことは、一回で終わらせずに継続させること、そして一番楽しいことも継続させること」とおっしゃっていて、困難と楽しいという感情は共存できるのだと発見がありました。また、神崎氏は「地域からも個を出せる」と力強く発言され、ネットの利点をうまく活用した事例だと思いました。地域格差が広がるなかで、デジタルの力を使ってハンデをものともしなかったことは、地方都市の取り組みのヒントになるのではないでしょうか。松信氏の「書籍市場はがけっぷち」という言葉から、COGYや百貨店、クリーニング店も「がけっぷち」だと受賞者の方々が口にし、会場からは笑いが起こる場面も。しかし各プロジェクトはさまざまながけっぷちにいる人たちに道筋を示したのではないでしょうか。

いかがでしたでしょうか?各受賞者の考え、プロジェクトの背景など知っていただけたのではないでしょうか。今回日本マーケティング大賞表彰式に参加してみて多くのことが学べました。共通点として、日本中・世界中で議論の的になっている問題を解決し、新しい価値・市場をつくりだしていると思いました。「がけっぷち」を楽しんで、前向きな気持ちでチャレンジしていました。「ピンチはチャンス」を体現した最前線のマーケティングに触れられて、今や凡庸な言葉となっていますが、成功の原点なのだと再確認できました。

日本マーケティング大賞表彰式の様子はこちらの記事でも紹介しています。
第11回「日本マーケティング大賞」表彰式!グランプリ大塚製薬「ポカリスエット」ほか10件を表彰

しろ
2019年度入社の新卒。マーケティングやデジタルについて日々勉強中。おんせん県出身で、大学ではイギリス文学を専攻。ハマり性の飽き性で、趣味がコロコロ変わります。