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インバウンドマーケティングとは? コンテンツマーケティングとの違いを解説

皆さんは普段、何かを欲しいと思ったりあるいは困ったことがあったとき、どうしますか? 私は、それが個人的なことでも、ビジネスで必要なことでも、ひとまず「検索」し、「情報」を集めます。商品名で検索することもあれば、そもそも求めているものがどんなサービスか分からず「ステップメール 書き方」など、困っていることをそのまま検索してみたり。今回はこの「検索」という行動を多くの人がとるようになったことで注目されるようになった「インバウンドマーケティング」というマーケティング手法について、解説します。

インバウンドマーケティングとは?

「インバウンドマーケティング」とは、簡単に言うと消費者に「見つけてもらう」マーケティング手法です。「見つけてもらう」とは、ブログやSNS、ホームページなどで、商品やサービス、課題解決につながりそうな情報・コンテンツを発信し、潜在顧客自ら検索によってそれらのサイトに訪れてもらうということです。そして、こうして自社サイトに訪れた潜在顧客と段階的なコミュニケーションをとって見込み顧客化、顧客化するまでの一連のマーケティング施策を「インバウンドマーケティング」と言います。

「インバウンド」というと、最近では特に訪日外国人を指すことが多いのではないでしょうか。「Inbound」という単語自体は「1 帰航の,復航の,本国行きの/2 市内に向かう,上りの(出典:goo辞書)」となっており、「外から中へ」という意味で、訪日外国人・観光客もマーケティング用語も同様です。

アウトバウンドマーケティングとは?

「インバウンドマーケティング」に対して「アウトバウンドマーケティング」という手法があります。これは、テレビCMなどの広告やダイレクトメール、テレアポなど、いわゆる企業からの売り込み(プッシュ)型のマーケティングです。消費者に「見つけてもらう」のではなく「追いかける」施策です。従来、企業はこの「アウトバウンドマーケティング」で顧客を獲得してきました。しかし、このプッシュ型営業の効果が薄れてきたことでインバウンドマーケティングが注目されるようになってきました。

なぜ、インバウンドマーケティングなのか

冒頭で述べたとおり、消費者は自分で検索し情報収集ができるようになりました。またスマートフォンの普及で、その検索もいつでもどこでも手軽にできるようになり、SNSで個人が情報発信することも一般的になりました。CMや雑誌広告など企業が発信する情報よりも、ユーザーが発信する口コミ情報の方を重視するという人も多いのではないでしょうか。

たとえば、マンションの購入電話や新聞の勧誘があったとき、皆さんはどう感じますか? よほど、ちょうど買おうと思っていた、というようなタイミングでもない限り、話を聞くことはせず、むしろ「必要ないのにしつこいな」「信じられるのか?」と嫌悪感を持ったり、疑ったりするのではないでしょうか。また、タイミングがあっていたとしても「自分で調べて検討したい」と思いませんか? ほかにも、テレビは録画してCMはスキップするという人も多いのではないでしょうか。このように、アウトバウンドマーケティングによる企業主体の情報発信に対して抵抗を覚えたり、アウトバウンドによる情報そのものを遮断する消費者が増えてきたのです。

いくつかの調査結果をご紹介します。2015年のニールセンによる世界60カ国・3万人による「メディアに対する消費者信頼度」に関する調査によると、信頼度1位が友人や家族からの推薦83%、2位が企業(ブランド)ウェブサイト70%と答えています。また、2017年のAdobeによる『Adobe Digital Survey 消費者動向調査』では、洋服・家具・家電という小売分野に限定した結果ですが、最も信頼できる情報源として「WEB・SNS」が突出して多く、情報収集後の比較検討段階ではWEBを重視する傾向が強まっているということが報告されています。


比較的高額な買い物をするとき、最も信頼できる情報源はどこですか?(「Adobe Digital Survey 消費者動向調査2017」:https://www.adobe.com/jp/insights/180102-consumer-behavior-survey.html

こうした消費者の購買行動の変化に対応するかたちで、消費者の「能動的な」検索というアクションを通して「消費者が求めている情報」を消費者自身に見つけてもらうインバウンドマーケティングが重要視されるようになりました。

参考:ニールセン『広告信頼度グローバル調査 – 進化するメディアにおける必勝戦略 -』http://www.netratings.co.jp/news_release/2015/10/Newsrelease20151028.html
http://www.nielsen.com/jp/ja/press-room/2015/nielsen-pressrelease-20150928.html

インバウンドマーケティングのメリット/デメリット

さて、インバウンドマーケティングのメリットと効果・デメリットは以下のとおりです。アウトバウンドマーケティングと比較してみます。

インバウンドマーケティングでは、まず消費者(潜在顧客)に見つけてもらうための「コンテンツ」が重要です。コンテンツをサイトに公開することを最初のスタートだとすると、テレビや新聞に出稿していた広告料と比較すると、大幅なコスト削減といえるでしょう。また、広告料は期間中払い続ける必要がありますが、コンテンツは一度公開することで、数年にわたって集客に貢献することも可能ですし、SNSで拡散されれば費用以上の成果に結びつきます。また、企業主体の一方的なアプローチとして悪印象につながる恐れのあるアウトバウンドマーケティングに比べて、消費者が自ら見つけてサイトに訪れてくれているため悪い印象をもたれることもありません。

しかし、実際には「消費者の興味を惹きつける魅力的なコンテンツを作成する」というのは簡単ではありません。また、サイトに集客するためには継続してコンテンツを発信し続ける必要もあるでしょう。メリットだとお伝えした拡散も魅力的なコンテンツがあってこそです。定期的に良質なコンテンツを作成すること、これは非常に手間がかかります。また、せっかく作成したコンテンツを見つけてもらうには、SEO対策も必要になります。意図したターゲットの検索結果として表示されるようになるには、時間がかかることは認識しておきましょう。

SEOについては、こちらの記事でもご紹介していますのでぜひご覧ください。
魅惑のSEOライティング

コンテンツマーケティングとの違い

さて、ここまで読んで、これはいわゆるコンテンツマーケティングなのではないか、と思われた方がいるかもしれません。実際、同じような意味で使われていることも多いです。個人的には、コンテンツマーケティングは、コンテンツによって潜在顧客・見込み顧客を顧客化するという「手法」であり、インバウンドマーケティングはコンテンツによって潜在顧客を顧客化し、さらにファン化するまでの「プロセス」を指している、と解釈しています。

インバウンドマーケティングを提唱したHubSpotが、その違いをマーケターにアンケート調査しています。(「コンテンツマーケティングとインバウンドマーケティングの違いとその重要性」:https://blog.hubspot.jp/difference-between-content-and-inbound-marketing)「コンテンツマーケティングはインバウンドマーケティングに含まれる」という回答がもっとも多かったそうです。さらに「コンテンツマーケティングとインバウンドマーケティングについては、「OR」ではなく「AND」で考える必要があります。マーケティングを成功させるために、この2つはどちらも重要です。」との見解を示しています。

いずれにしても、ポイントは将来の顧客となりうるターゲットが求めている情報・コンテンツを発信し、自社を知ってもらうことです。そのために、名称や解釈はどうであれ、どのようなコンテンツを発信すべきかを考えることが一番重要ではないでしょうか。

コンテンツマーケティングについては、こちらの記事でもご紹介していますのでぜひご覧ください。
【基本】コンテンツマーケティングとは? その種類とメリット・デメリット

インバウンドマーケティングの流れ(手法)

では、具体的にインバウンドマーケティングの流れをみていきましょう。

STEP-1 潜在顧客に見つけてもらう(認知の獲得)

まず、もっとも重要な顧客に見つけてもらうためのコンテンツの作成です。潜在顧客の興味を喚起するようなコンテンツを作成するためには、その潜在顧客がどのような検索をするのか想像し、考えなくてはなりません。たとえば、まだ課題を課題と認識していない段階では、いきなり解決を提示するのではなく、ターゲット業界や業種などのトレンドネタや日常業務のTIPSのような話題も良いかもしれません。SNSでの拡散から潜在顧客の目に触れることを意識するのも重要です。潜在顧客に「役に立つ」「おもしろい」と思ってもらい、繰り返し訪れてもらえるよう定期的に良質なコンテンツを発信しましょう。コンテンツの内容を考えるために、ターゲットペルソナの設定をしてみるのも良いでしょう。
■主なツール(施策):ブログ/SNS/SEO(検索キーワード)/自社サイト など

ペルソナ設定については、こちらの記事でもご紹介していますのでぜひご覧ください。
ペルソナ設定のレシピ~具体例とともに~【サンプルDL付】

STEP-2 見込み顧客へと育成する(理解の促進)

次は、サイトに訪れた潜在顧客を、氏名・連絡先などが分かる見込み顧客(リード)へと育成します。そのためには、顧客と信頼関係を築く必要があります。顧客がメディアへ安心感をもてた段階で、たとえば業界の課題解決事例など、さらに知りたくなるような内容を提供するメルマガ登録やホワイトペーパーダウンロードなどを促します。信頼できる情報を発信しているメディアだと思ってもらえていれば、個人情報を登録してくれるはずです。こうしてメルマガ等で定期的なコミュニケーションをとりながら、課題への気付きやその解決方法(自社のサービス・製品)の理解を促していきます。
■主なツール(施策):メルマガ登録/ホワイトペーパーDL/セミナー参加 など

リードナーチャリングについては、こちらの記事でもご紹介していますのでぜひご覧ください。
リードナーチャリングで顧客と戦略的にコミュニケーションを!メリットと手法を解説

STEP-3 顧客化する(購入意思の決定)

見込み顧客に課題や解決方法の気付きを与えたあとは、具体的に自社のサービス・製品を選んでもらうための段階です。適切なタイミングで情報を送り、購買プロセスを進めるステップメールや、無料体験・導入事例などで、サービス・製品への理解を深めてもらいます。具体的なイメージをもってもらいながら購買意欲を高めていくのです。そうして行動履歴などから確度を見て営業へと引き継ぎます。
■主なツール(施策):無料体験/料金表/サービス(製品)比較表/導入事例/導入フロー/メールマーケティング など

ステップメールについては、こちらの記事でもご紹介していますのでぜひご覧ください。
【入門】ステップメールとは?メルマガとは違う書き方とシナリオ設計の方法を解説
【ステップメールの書き方】例文テンプレートを事例別にご紹介!

STEP-4 ファン(ロイヤルカスタマー)化する(定着と促進)

サービスを購入・導入してもらったら終わり、ではなく、購入後も顧客フォローを続け、さらにそのサービスや企業のファンになってもらいます。ユーザーの口コミやSNSの影響力が、次の顧客につながります。たとえば購入者限定のコンテンツを提供したり、要望や問い合わせに、顧客の期待以上の回答を届けられる工夫をすることで好感につながります。簡単なことではありませんが、より良いコンテンツを提供し続け、顧客との信頼関係を強固なものにしていきましょう。
■主なツール(施策):会員サイト/ユーザー会/カスタマーサクセス など

これらは実践しながら、効果検証を行うことが重要です。どのタイミングで連絡をするとより顧客化につながるのか、どういった行動をする顧客が商談につながるのかなど、試行錯誤しながら施策を続けていきましょう。

最後に

インバウンドマーケティングについて、その背景やメリット・デメリット、手法をお伝えしてきました。確実に消費者の購買行動は変わってきており、従来の営業方法が通用しなくなりつつあります。インバウンドマーケティングは効果を得られるまで時間がかかる手法です、これまでの営業方法での新規顧客獲得に不安があるのであれば、今から導入を検討されてはいかがでしょうか? この記事がみなさまの参考になれば幸いです!

 

ishi
元編集ディレクター。2017年秋よりマーケティング部に異動してマーケティングストーリーラボ編集長に。慣れないマーケティング用語に悪戦苦闘中です。